※ 毎朝、5分ほどで読める書籍の紹介記事を公開します。
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
目次
はじめに
ここ数年の経済の動きを整理することは難しいです。長引いたデフレに、突如インフレの波がきました。地政学的なリスクの高まりで変容したグローバル経済や、気候変動の対応に苦慮している企業があります。
最近の経済の動きは、経済学の文献を読むこと以上に教えられることが多くあります。現実の動きから教えられることがあまりにも多いのです。
書籍情報
世界のインフレと日本経済の未来
超円安時代を生き抜く経済学講義
第1刷 2023年3月1日
発行者 永田貴之
発行 (株)PHP研究所
装幀 齋藤稔(株)ジーラム
編集協力・組版 (株)PHPエディターズ・グループ
印刷 大日本印刷(株)
製本 東京美術紙工協業組合
ISBN 978-4-569-85411-3
総ページ数 220p
伊藤元重
東京大学名誉教授。
安部政権の経済財政諮問会議議員も務めました。国際経済学、ミクロ経済学を専門しています。
PHPビジネス新書
ポストコロナと財政再建
問題は、コロナ禍の収束にあわせ、世界的にインフレと金利上昇が始まり、それまでの「低位安定」に戻るとは思えないことです。
ポストコロナの財政運営をきちんと考える時期に来ていることは明らかです。
実質金利が非常に低かったのは、民間企業が投資に消極的で巨額の資金余剰出したからです。景気の低迷が財政運営を助けていた面があります。
ただし、コロナ後にこのような長期停滞に戻ることがあってはなりません。経済を活性化するには、起業が投資を拡大させ、賃上げによって国民の所得を引き上げる必要があるのです。
財政を悪化させずに済む政策は、税金などで財源を確保した上で財政支出を行い民間投資を刺激するのが有効です。
貧困問題の解決
世界では、途上国の貧困について多く研究されています。1日200円以下の生活では、十分な栄養を摂ることことが難しいのです。そうした絶対的貧困の状態にある人にどう支援をするのかが問われています。
最も簡単な対応策は、十分な栄養を摂れるように100円なり200円なりの金銭的支援を行うことです。しかし、こうした金銭支援は、ほとんどは貧困層の親の酒代となってしまいます。金銭支援が評価されない理由です。
金銭のかわり食料などを現物支援しても、飢餓や栄養失調を減らす効果しかありません。根本となる貧困の改善にならないのです。
とりあえずは、緊急避難的に所得支援や食糧支援が必要になるでしょう。
所得格差を解消して貧困の連鎖をどう断ち切るのかが、日本にとって大きな問題です。
日本は教育格差がそのまま貧困の連鎖へつながっています。高齢化に資金がとられ、教育への予算が減っているのです。
戦後の日本の復興と掲載成長のは、優れた教育制度が基本にありました。教育は未来に向かっての架け橋となるものです。
日本の労働環境
終身雇用で守られているのは、労働者全体の3割程度に当たる大企業の労働者や公務員だけであり、中小企業の従業員など残りの7割は終身雇用の恩恵を受けられません。また、多くの職場でパートやアルバイトなどの非正規労働が増えています。
年功賃金で賃金が硬直的であることも、優秀な人材を確保できない要因になっています。例えばデジタル技術の広がりでIT人材が極端に不足しているのです。IT人材の有効求人倍率は10倍に近い水準となっています。
日本の仕組みは、雇用に安定をもたらすといわれてきました。しかし、安定は硬直にもつながったのです。経済条件の変化に対する賃金や雇用の反応が遅く、好ましくない状態が長引くことにつながります。
年功賃金で固定的であるということは、新規雇用の労働者の生活が苦しくなるということです。物価が上がって賃金が上がらなければ、実質賃金は下がっています。
北米などのように、政府が市場に柔軟性を持たせるほうがよいのではないでしょうか。
GAFAから考える「創造的破壊」
GAFAの企業価値を断ち合わせただけで、日本の企業すべての企業価値と同じ規模です。
単に米国経済はすごいという話ではありません。米国の全体の株価を表すS&P500社からGAFAを引けば、この10年の日本企業の株価の動きとそんなに変わらないのです。
GAFAに共通するのは、「既存のビジネスや社会秩序を破壊しながら新しい成長を生み出す」という創造的破壊のメカニズムです。
日本の経済の活力を高めるためには、この創造的破壊を活性化させなければなりません。
日本の経済動向は安定を好み新陳代謝が進んでいませんが、時代は明らかに変わりつつあります。経済の不安定化は好ましくない面も多いけれど、変化に刺激されて経済が大きく動く可能性が出てくるのです。
経済活力を高めることを願っています。
感想
サイト管理人
日本経済について、世間で語られていることの「まとめ」のような記述でした。
日本経済について、いっかい頭を整理するのにちょうどいい書籍かもしれません。
下にリンクを貼っておきますので、本書の購入を検討してみて下さい。
購入リンク
紙
※amazonの商品リンクです。画像をクリックしてください。
電子
※amazonの商品リンクです。画像をクリックしてください。