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目次
書籍情報
人はなぜ老いるのか
_老化の謎に挑む科学

発刊 2023年10月1日
ISBN 978-4-469-26966-6
総ページ数 339p
スー・アームストロング
科学、健康、発育や発達問題を専門とするライター、放送作家。
ニューサイエンティスト誌、WHOなど様々な出版物を執筆し、科学のトピックスに関するメディアに携わってきた。
大修館書店
- 序文
- 老化とは何か?
- 磨耗や損傷とは?
- テロメア_細胞の寿命を計る
- 細胞老化_機能が低下してもなくなるわけではない
- 老い先短いヒトの早老病
- ミンという名の貝とその他のモデル生物たち
- それは遺伝子の中にある
- 少食で長生き?
- 免疫システム_最初の応答者
- 免疫システム_スペシャリストが引き継ぐ
- 微生物たちの反撃
- HIV/AIDS(エイズ)_泣きっ面に蜂
- エビジェネティクスとクロノロジー_時間がもつ2つの顔
- 幹細胞_基本に戻る
- 血液中の何か?
- 壊れた脳
- アルツハイマー病_先導する家族
- アルツハイマー病_アミロイドへの挑戦
- それは環境なのだ、愚か者よ
- 病気ではなく、人を診る
- 老化研究_研究室から私たちの生活へ
- 謝辞
- 訳者あとがき
- 参考文献
- 索引
- 著者紹介・訳者紹介
テロメア_細胞の寿命を計る
1961年にヘイフリックが、細胞レベルの老化というノーベル賞を受賞していたウイルス学者のペイトン・ラウスの推論を、培養フラスコに入れた細胞で観測した正確なデータとともに否定しました。ヘイフリックの限界としてしられ、老年学において最も注目されている研究分野の1つです。
末端部のない染色体は「ねばねば」していて、くっついたり分解したるするための保護先端があると言われていました。ギリシャ語の「テロス(末端)」と「メロス(部分)」に由来する「テロメア」と名付けられています。
ブラックバーンは淡水池に生息する小さな単細胞生物で研究し、テロメアの実体を発見しました。そのテロメアのDNA配列を研究して、コピーではなく後から染色体に追加されることに気づきました。
何度も細胞分裂を繰り返す様子を観察して、DNAがコピーされるときに、テロメアが緩衝材として効果的に機能し、分裂のたびに、テロメアの一部が切り落とされていたのです。このキャップ構造が短すぎて染色体を損傷から守れなくなると、細胞は分裂を停止して老化細胞なりました。
少食で長生き?
科学者たちは、必須栄養素を欠いた餌を与えられたラットは通常よりも成長が遅く、成体になっても発育が不良で、病気にかかりやすく、早く死ぬ傾向があることを知っていました。
そこで、カロリーだけを減らしたらどうなるかと実験することにしたのです。72匹のげっ歯類を2種類のカロリー制限食に36匹ずつ割り振り、さらに完全カロリー食を与えて自由に餌を食べられるようにした34匹の対象群を設けて、4年間にわたり研究しました。結果、最も厳しいカロリー制限食を割り振られた群が長生きしたのです。
地球をバイオスフィア1として、他の惑星での長期滞在の実現可能性を検証するための宇宙ステーションのプロとタイプ、バイオスフィア2という人間テラリウムの実験が1991年にアリゾナ砂漠で行われました。
バイオスフィア2は、空気、水、有機物を循環させ、食料は自前の農場で生産するという自給自足が前提です。2年間の間に昆虫を含む3800種の動物の20%以上を失い、酸素も通常のレベルから21%→14.2%にまで低下してしまうという悲惨な状態に陥りました。厳しい食事制限を課さざるを得ません。
バイオスフィア2の乗組員は、ストレスフルな状態で、体重が激減したが、血圧やコレステロール値の劇的な低下やブドウ糖の代謝効率の向上など、げっ歯類でのカロリー制限の研究で示されていたような生理学的改善が彼らに見られました。
壊れた脳
アルツハイマー病は珍しい病気と考えられており、認知症とは区別されていました。1968年、老年期の認知症に関するあやふやな仮説を覆す論文を発表しました。
認知症で亡くなった人々の脳を調べ、アルツハイマー病の特徴であるグミ状のプラークとタングルがあったのです。
1980年代になって、タングルでのらせん状フィラメントは、タウと呼ばれるたんぱく質からなることがわかりました。タウのタイプは明らかな欠陥があり、細胞骨格と通信ネットワークの「路線」を崩壊させるものです。顕微鏡下でみて「排水溝に詰まった髪の毛のようだ」と観察者が述べています。