※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
目次
はじめに
本書では、ユーモアが存在するのはどうしてで、ユーモアが脳内でどう機能していて、どうしてコメディが芸術だと言えるのかを説明します。
ぼくらは隠れていた推論エラーをふいに見つけ出したときにおかしみという愉しみを経験します。進化がうまく加工して脳に配線された源泉は、われらがコメディアンやジョーク作家たちの手で過去数世紀にわたって次々に考案・洗練を重ねてきたのです。その超常刺激によって、くすぐりたおされてきました。
書籍情報
ヒトはなぜ笑うのか
ユーモアが存在する理由
第1刷 2015年2月20日
訳者 片岡宏仁
発行者 井村寿人
発行 (株)勁草書房
ISBN978-4-326-15432-6
総ページ数 563p
マシュー・M・ハーレー
ダニエル・C・デネット
レジナルド・B・アダムズJr.
勁草書房
笑いのツボを探す
「可笑しい」という一点をのぞいて、ダジャレ・ドタバタ劇・古典的喜劇・下ネタの共通点を見つけ出すのは非常に難しいものです。
認知処理を行うこの生得的な神経系-「笑いのツボ」は、なにかのためにあるにちがいありません。あらゆる人間にもれなく見られるし、その活動には協力な報酬がともなうからです。
この笑いの能力が発達しているのは、人間だけのはずです。ユーモアによく似たものは他の種にまったく見当たりません。
このユーモア活動が、進化の観点からみて、人間の衝動性が存在していることを表しています。そのことによって、生殖が確実になることが割に合う重要プロジェクトになっていることがわかっているのです。
志向的構え
ある音が医者に打ち明ける。妻と、セックスレスなんです。
医者はその男性に「奥様に来院していただけますか」と言い、後日、その男性の妻に来てもらいました。
医者「どうしてダンナさんとセックスしないのですか?」
奥様「毎朝、タクシーで出勤しているのですが、お金がなくてと言うと必ずタクシーの運転手はこういうのです。『さて、代金は明日はらってもらえますかね、それとも…?』と、だから私はそれともの方よというのです。出勤したらしたで遅刻でしょ、そしたら上司がこういうのです『このことを報告書に記入しとこうか、それとも…』だから今度もそれともの方をするの。帰るときもタクシーを使うので『それとも』なの。家に帰ったらクタクタで、ダンナとしたくないの。」
医者は少し考えた後に、口を開きました。
医者「さて、この件を旦那さんにお話ししましょうか、それとも…?」
志向的構えというのは、信念・欲求その他いろんな心の状態・働きを他の人たちの心に帰属させる方策です。
大半の受け手にとって、他人やその人たちの心を喚起するジョークの方が、ダジャレより興味を引くのも疑いようがありません。
志向的構えを利用することで、他人が信じていることをモデル化し、ぼくらはうまく社会生活を送っています。他人の心も自分と同様のプロセスを利用していると仮定し、他人が備えている知識のモデルを組みたる試みを自動的にやるようになっているのです。
上記のジョークでも、夫と妻それぞれの信念と、夫と妻がお互いの信念について信じていることが、うまく構造化されたモデルにとらえられていればこそ、ジョークになります。
予測を立てることなしに現代の社会を生き抜くことはできないでしょう。
NGジョーク
ぼくらはみんな、各自に特有の信念も持っています。文化でけいせいされたものもあるし、じぶんの個人の経験によって形成されたものもあるでしょう。どの信念をとってみても、その信念の具体的なあり方は人によって少しちがっているのです。
独身の男性パーティーで雇われたダンサーがケーキから飛び出す恒例行事があります。しかし、そんなものを目撃してこなかった人たちにとって、このジョークの設定を耳にしてこの信念を活性化する確率はゼロに近いのです。絶滅寸前のジョークの好例です。
分析しようにも、自分にわからないジョークのなかに誤信念を探してみたって望みはありません。
コメディアンなどのユーモアを提供する人は、似たような経験を持っている人たちに上手に狙いをつけられたときには、信念を共有することができたことになるのです。
癒しのユーモア
人を癒すユーモアはいろいろなところで活用されています。2003年の著書『緊急時サバイバル読本』で、ローレンス・ゴンサレスは、戦闘機パイロットたちが空母での危険な離陸や着艦の際に縁起でもないネタのユーモアを使ってパニックを防いでいる方法を記述しています。
悲惨な事態についてジョークを飛ばすことで、パイロットたちは、危険な任務を遂行するために必要となる陽気さを発揮できているのです。
マイナスの情動がマイナスの要因を生むスパイラルを断ち切るために、プラスの情動は使えるのかもしれません。
感想
サイト管理人
エロスと笑いは相性がいいなとおもっていましたが、生殖に繋がるために必要なプロセスがユーモアとのことで、当然のことだったようです。
実は、海洋生物のシャチは人間くらいの知能もっているので、何かで遊んだり、仲間内で笑っていたり、ときには嘲笑うようなことがあります。人間いがいに笑う生物がいないわけではなく、他に類を見ないだけです。ですが、笑う機能がある生物は本当に珍しいでしょう。
場を和ましたり、ミスを繰り返さないために、笑いで雰囲気をつくるというのが非常に効果的というのを学びました。リスク管理をする上でも、大事なコミュニケーション能力のようです。
下にリンクを貼っておきますので、本書の購入を検討してみて下さい。
購入リンク
紙
※amazonの商品リンクです。画像をクリックしてください。