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目次
書籍情報
円安の何が悪いのか?
村上尚己
アセットマネジメントOne株式会社シニアエコノミスト。
生命保険、証券会社勤務を経て現職。投資家目線で財政金融政策を分析する。
フォレスト出版
- はじめに
- 第1章 「円安悪玉論」を検証する
- なぜ「通貨安=日本衰退の象徴」なのか?
- 為替レートは「通貨の価値」で説明できる
- 物価はモノ やサービスの量で決まる
- 購買力平価説
- 物価上昇率をコントロールするのは中央銀行
- 為替レートは通貨の供給量によって決まる
- 中央銀行が直接供給する米ドルの通貨量が減ると円安になる
- 2022年の円安の正体は日米のマネタリーベースの差
- 「予想インフレ率」も為替レートに影響する
- 替レートは結局「マネタリーベース」の変動が示す金融政策で決まる
- 1990年代半ばからの苛烈通貨高の教訓を生かせ
- 円安で「失われた20年」から完全に脱却できる
- 円安への批判に対する筆者からの反論
- 「安すぎる円」は日本経済の構造的な弱さのせいか?
- 国内製造業が弱いから円安になるのか?
- 購買力平価は為替予想値にはなりえない
- 購買力平価で円高の時代が日本の暗黒時代だった
- アベノミクスの効果が賃金まで波及してきた矢先の利上げは愚策
- 第2章 日銀が犯した歴史的な大失政
- 2024年8月5日のマーケット急落は日銀の失態
- 「行き過ぎた円安」という思い込みが招いた不祥事
- 需給ギャップが示す 「デフレ脱却」を完了していない現状
- 利上げによる円高・株安で好転に水を差された
- せっかくの追い風を自ら止める最悪のシナリオが懸念される
- 再び繰り返される日銀の悪夢が蘇る
- 日銀が犯した政策ミスの歴史
- バブル崩壊後の足を引っ張った「円高シンドローム」
- 経済安定化政策を放棄した日銀
- 15年後に再び起きた日銀の失政
- 早すぎた日銀の利上げにリーマン・ショックが追い打ちをかける
- 各中央銀行の打ち手から単独で遅れる日銀
- 責任を真摯に全うする組織「FRB」
- 大規模金融緩和政策に果敢に打って出たバーナンキ議長
- デフレ懸念に素早くQE2、QE3を実施
- 日本株はなぜ、リーマン・ショック後も沈んだままだったのか?
- 日銀はデフレがお好き? 行きすぎた円高を放置する体質
- 第3章 円安の追い風を吹かせた米国経済
- リーマン・ショック時に明らかになったFRBと日銀の手腕の差
- 日本経済は首相の政策で再び停滞する懸念がある
- FRBと日銀の2022年以降のインフレへの対応策はリーマン・ショック時と真逆
- 2022年当時は、筆者もFRBの急速な利上げに懐疑的な目を向けていた
- FRBのインフレ対応策は さっそく効果を発揮し出した
- 2023年も利上げは続いたが、ソフトランディングに成功
- 株式市場はいったん下がるもその後持ち直す
- 2024年に入っても、米国経済は堅調
- とうとう、2024年9月に金融引き締め政策が終わり、利下げが始まる
- 今後のアメリカ経済の展望
- なぜ、FRBはコロナ禍以降のインフレからソフトランディングできたのか?
- 日銀はFRBになることはできるのか?
- トランプ政権による日本経済への影響とは?
- 米大統領が誰になるにせよ、日本経済は日銀次第なことに変わりはない
- 第4章 日本にとって円安と円高のどちらが有利なのか?
- 160円からの円高反転はしごく当然のこと
- 石破政権に変わっても、政権と日銀への不信感は変わらず
- 購買力平価より円安で問題なのは、消費者への所得移転の進展
- 「円が紙くずになる」まで通貨安 が続くのか?
- 円安が止まらないと予想する論者の理屈とは?むしろ、想定外に円高が進むシナリオに備えるべき局面
- 貿易赤字の犯人は「円安」なのか?
- 大幅な円高とデフレのダメージで日本人は貧しくなった
- 10年で2倍というものの、なぜそこまで「デジタル赤字」を騒ぐのか?
- 貿易赤字もデジタル赤字も何の問題もない
- 第5章 円安がもたらす7つの効果
- 円安によって多くの日本人は再び豊かになる
- 大規模な金融緩和、アベノミクスの功罪
- 日本株は米国 株に追いついただけ
- 日本へのデフレ期待が円高と株安をもたらした
- 円安は対外的な価格競争力を強化している
- 輸出企業にはJカーブ効果の期待も
- ストック効果が経済活動を刺激
- 輸出産業に限らずインバウンド効果で国内にも恩恵
- 円安によって企業利益は膨らみ、株高をもたらす
- 米中覇権争いの中で重要性増す日本
- 製造業の国内回帰が始まっている
- 円安の弊害家計の実質所得減少をどう考えるか?
- 税収は4年連続で過去最高。遅れた国民への還元
- 円安によって国内雇用が増加、 賃金アップも
- 円高とデフレの先に日本に起きた悲惨な現実
- 再度、「豊かな国」になるチャンスが巡ってきた
- 円安が日本社会に与えたポジティブな効果
- 日本経済は、デフレを伴う長期停滞から抜け出しつつある!
- 円安は財政赤字を縮小させている実情を認識すべき
- おわりに
書籍紹介
現在の日本経済において「円安」が話題に上ることが多いですが、その影響について賛否両論が飛び交っています。そんな中、村上尚己さんがエコノミストとしての豊富な経験と知識をもとに、円安に対する一般的な見方を覆す視点を提供してくれます。
円安は悪なのか
この本の大きな特徴は、「円安=悪」というメディアや一部の専門家が広める俗説に対して、客観的なデータと分析で反論している点です。過去3年間、つまり2022年から2024年にかけて進んだ円安が、実は日本経済にとってマイナスどころかプラスに働いていると主張しています。たとえば、円安によって輸出企業の競争力が高まり、企業の業績が向上していること、またインバウンド消費が増えて地方経済にも良い影響を与えていることなど、具体的な効果を挙げて説明しています。これらは普段のニュースではあまり強調されない視点なので、新鮮に感じられる方も多いのではないでしょうか。
希望とリスク
アベノミクスが始まって10年以上が経過し、日本経済がようやく息を吹き返そうとしている今、円安がその追い風になっているという見方は、希望を感じさせるものでした。ただし、すべてが楽観的というわけではなく、行き過ぎた円安がもたらすリスクについても触れられており、バランスの取れた議論が展開されています。
済の動きに興味がある方や、ニュースで耳にする「円安」の本当の意味を知りたい方に特におすすめです。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
今後のアメリカ経済の展望

現在の安定成長が続く状況下では、大幅な利下げは必要ありません。今後も毎回のFOMC(米国連邦公開市場委員会)で0.25%ずつの小刻みな利下げが行われると、著者は予想します。
米国経済の安定成長が続くか否かのカギを握るのが、労働市場の調整のスピードと深さです。今後、失業者が増えて雇用者数が減れば、家計の可処分所得増加にブレーキがかかり、個人消費支出が大きく減速します。個人消費が半年にわたり減少するのであれば、景気後退に陥るでしょう。FRB(米連邦準備理事会)が警戒していることです。
このまま労働市場に対して緩やかな調整が続けば、経済成長減速も警備となり、景気後退に至ることはなく、2%程度の安定成長をするのではないかと、筆者は予想しています。
円安によって企業利益は膨らんでいる

2024年半ばまで企業利益は順調な増益が続いています。2023年以降の経済成長率にブレーキがかかる中で、円安による利益押し上げで、企業利益拡大が続いている状況です。
円安の企業利益押し上げが大きいことは、株式市場の値動きからも明らかであり、円安になり、企業業績が高まるメカニズムは明らかです。海外投資家にとっても日本株投資の魅力が高まります。
また、円安が株高をもたらすことで、金融資産が増える経路が経済活動を刺激しています。