もしも豊臣秀吉がコンサルをしたら/著者:眞邊明人

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書籍情報

タイトル

もしも豊臣秀吉がコンサルをしたら

発刊 2024年6月20日

ISBN 978-4-7631-4143-9

総ページ数 284p

書評サイト ブクログ読書メーター東洋経済オンライン

出版社リンク サンマーク出版

著者

眞邊明人

大日本印刷、吉本興業を経て独立。
コミュニケーションスキルの開発、政治家のスピーチ指導、ビジネス研修に携わる。
研修でのビジネスケーススタディを歴史の事象に喩えた話が人気。

出版

サンマーク出版

もくじ

  • 浅草こがね庵の事業継承
  • 石和温泉ホテル買収騒動

書籍紹介

 この小説は、現代のビジネス問題を解決するために、歴史上の偉人である豊臣秀吉をコンサルタントとして登場させるというユニークな設定を持っています。物語は、祖父からコンサル会社を引き継いだ主人公、武田倫太郎の視点から展開されます。幼少期から特異な感性を持っていた倫太郎は、中学の歴史授業で源義経の霊を見て以来、霊と対話する能力を持つようになります。この能力が、ある大企業の難しい案件を任された際、豊臣秀吉の霊の助けを借りるきっかけとなります。

エンターテイメントとして楽しみながら学ぶ

 この小説は、エンターテインメント性と教育性を兼ね備えた作品です。豊臣秀吉のマネーゲームの才能や人心掌握術が、現代のビジネスシーンでどのように活用されるのか、そのアイデアは驚きと共に読者を引き込みます。物語を通じて、歴史上の人物が持つ知恵や戦略が今も有効であることを示し、人間関係やビジネスの本質について深く考えさせられる一冊です。ビジネス、歴史、ミステリーなど、多様なジャンルを融合させたこの作品は、エンターテインメント小説として楽しむだけでなく、ビジネスパーソンや歴史愛好者にも新たな視点を提供してくれます。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

商品の味見

「すみませんが、いくつかの商品を味見させていただけませんか」

 倫太郎は商品の味見を依頼されていた。すぐに何品か皿に盛って、テーブルの上に置かれる。

「一応、売れ筋のものです」

「こりゃええ。わしはアマイモンには目がないんじゃ。上様のために探し回ったからのう。任せておけ」

 藤吉郎は目をギラつかせて皿の上を凝視している。

 倫太郎は甘いものは得意ではなかったが、仕方なく出された三色団子を口に運ぶ。

「ほほう、こりゃ、なかなかの美味じゃ。味は悪くないが、誰に向けてるかわからんのぅ。何事も目的が必要だがや。微妙にずれておる気がするの。昔からこんな味じゃったのか」

 倫太郎には甘いか甘くないかくらいの差しかないが、尋ねることにする。

「最近、味を変えたようなことはありましたか」

「社長がつくった新作に合わせて味を調整したんです」

「新作とやらも食うてみたい」

 藤吉郎が言う。うるさいやつだ。

「あの、新作も食べさせてもらえますか」

 茶をすすってから、一気に菓子を口に放り込む。求脂をかみ切るとジュワッとオレンジのジュレが飛び出します。洗練された味であり、これまで食べた売れ筋の田舎っぽい味に比べると格段にマシに感じた。

「たしかに変わった趣向じゃが、あれでは勝てん。洗練されすぎじゃ」

「それは藤吉郎が甘いもん好きだからだろ」と倫太郎は反論する。

「わぬしは店で何をみとったんじゃ。どんな客が来て、なにを買って、なにをしていたかじゃ」

「えっと、年配の女性が二人、子ども連れの若い奥さん、それから枯れ木みたいに痩せたじいさん」

「お、ちゃんと覚えておるではにゃーか。」

「かっていたのは、おはぎ、団子、柏餅、そんなもんか」

「新作とやらをかっていったもんはおったか」

「いなかったな」

「みな、何をしておった」

「店員と楽しそうに世間話をしていたと思う」

「菓子は、誰かと話すための道具でもあるんじゃ。」

「だけど、新作は若い人に人気なんだぜ。年配の常連にばかり頼っていたては商売は伸びない」

「たわけ。わぬしは、あの菓子を何回も食いたいか?」

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