The Power Law 下/著者:セバスチャン・マラビー

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※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

書籍情報

タイトル

The Power Law(ザ・パワー・ロー)

ベンチャーキャピタルが変える世界 下

発刊 2023年9月22日

ISBN 978-4-296-11508-2

総ページ数 427p

著者

セバスチャン・マラビー

米外交問題評議会で国際経済担当のポール・A・ボルカー・シニア・フェロー。

出版

日経BP

もくじ

  • 第9章 Peter Thiel, Y Combinator, and the Valley’s Youth Revolt
    • ピーター・ティール、Yコンビネーター、そしてシリコンバレーの若者たちの反乱
  • 第10章 To China, and Stir
    • 中国へ、そしてかき回せ
  • 第11章 Accel, Facebook, and the Decline of Kleiner Perkins
    • アクセル、フェイスブック、そして凋落するクライナー・パーキンス
  • 第12章 A Russian, a Tiger, and the Rise of Growth Equity
    • ロシア系、ヘッジファンド系、そして担い手が広がるグロース投資
  • 第13章 Sequoia’s Strength in Numbers
    • 全員で戦うセコイア
  • 第14章 Unicorn Poker
    • ユニコーンをめぐるポーカー・ゲーム
  • 結論 Luck, Skill, and the Competition Among Nations
    • 幸運、スキル、そして国家間の競争
  • 謝辞
  • 年表
  • 補遺・図表
  • 原注

フェイスブックの資金調達

 フェイスブックはグーグルと同じようにエンジェル投資家たちから資金を調達しました。グーグルと異なる点は、資金提供者がソーシャルネットワークのニッチな事業に焦点を合わせている起業家たちばかりなことです。彼らはグループを結成して、特定の種類のソフトウェアのスタートアップを特定の時期に立ち上げた経験を、共有して団結していました。

 時代の潮流からして、起業家兼エンジェル投資家の新しい集団が伝統的なベンチャーキャピタルのコミュニティに懐疑的なのは自然な成り行きです。

 ショーン・パーカーは、マイケル・モーリッツに対して特別な怒りを抱いていました。ザッカーバーグの奇抜なパジャマ姿は、パーカーによる手の込んだプラクソ(Plaxo)をめぐっての意趣返しです。パーカーのようにモーリッツにわだかまりを抱いた投資家は1人ではありません。ピーター・ティールなどのザッカーバーグを支援する仲間がいたのです。

クライナー・パーキンスの凋落

 1980年と90年代を通じて、クライナー・パーキンスは業界を主導する存在でした。インターネットが創出した市場の価値の最大で3分の1を、同VCの投資先の企業群が占めていたのです。ところが、その後の運用成績のまわりパッとしないファンドが何本も続き、2015年ごろには、クライナー・パーキンスはランキングの上位から滑り落ちてしまいました。

 ベンチャー投資には経路依存性という現象が起こります。良し悪しともに、過去の行動や意思決定が今に繋がっていることです。投資先のスタートアップが成功した場合、そのVCの評判は高まります。けれど、成功は必然ではありません。世代ごとに新しく評判を獲得する必要があります。

 一般的には、太陽光発電やバイオ燃料、電気自動車といった気候変動対策に貢献するテクノロジーに賭けたり、さらにリスクをとって10億ドルの新しいファンドを形成したりと、投資判断が見事に裏目に出て、クライナー・パーキンスは失墜したとされています。

セコイアの団結

 セコイアの成功の秘訣はモーリッツとレオンの団結にあります。

 2人はベンチャーキャピタルの歴史上、最も成功した相棒どうしです。モーリッツは戦略立案に長け、レオンは現場で巧みに任務を遂行しました。

 ドン・バレンタインが引退した1990年代半ば以降、2人はセコイアの方向性に関するすべての主要な意思決定に参加しています。サンドヒル・ロードで最も厳格に統制された文化を生み出す一方で、最も実験的な文化を培いました。

 モーリッツとレオンは、組織の内部で卓越性を追い求める取り組みを始め、それを徹底することが、外部での投資の成功に繋がっていくと考えました。文化を定着させることに勢力を傾け妥協しません。強い目的意識を持って新しく採用した人材を育成しました。

 知的で規律を重んじる文化があるセコイアですが、チーム・ビルディング・の取り組みにはソフトです。「オフサイト」では結婚相手や職場の不安などを打ち明けられる空間があり、ポーカーのトーナメント戦や、フラッグフットボールの試合で泥んこになるのです。

 新聞で普段はベンチャー企業への投資が一匹狼のビジネスであるかのように取り上げられますが、セコイアでは勝利を担当したグループ全体に介しています。投資の成功はほぼ、常に集団的な取り組みのおかげだからです。

経済や社会にプラスするもの

 特定のベンチャーキャピタルやベンチャーキャピタリストが備えているスキルがどのようなものであれ、彼らはグループとして経済や社会にプラスの効果を及ぼしているという主張があります。

 ベンチャーキャピタリストがグループとして最終的にはスティーブ・ジョブズに資金を拠出しました。生まれた企業は数えきれないほどの消費者を喜ばせ、従業員には雇用を、投資家には富を作り出したのです。

 未来の産業に資金を提供するという点で、ベンチャーキャピタルに有意性があることを裏付けらるように、ベンチャー投資の拠点はアメリカ以外にも広がっています。ベンチャーキャピタリストによる投資額で世界の上位10都市のうち4都市はアメリカの外です。北京、上海、深圳、ロンドンとなっています。東南アジアやインドにも出現しました。

 ベンチャーキャピタリストの※ハンズオン型の対応を我々の繁栄に一層貢献していくでしょう。

ハンズオン型
 投資やM&Aをする場合に、どれだけ経営に関わるかを示す用語として使われます。社長や社外取締役の派遣などに関与して深くマネジメントするといった場合です。

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