THE GOOD LIFE

※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

はじめに

 「ハーバード成人発達研究」は同膣家族の二世代にわたる被験者郡を80年以上追跡調査してきました。

 こうした研究は強い信頼関係がなければ成立しないのです。被験者のプライバシーは守りつつ、引用した発言などには手を加えていません。

書籍情報

タイトル

グッド・ライフ

幸せになるのに、遅すぎることはない

第1刷 2023年6月20日

訳者 児島修

発行者 廣瀬和二

発行 辰巳出版(株)

印刷・製本 中央精版印刷(株)

ISBN 978-4-7778-3039-8

総ページ数 406p

著者

ロバート・ウォールディンガー

ハーバード大学医学大学院・精神医学教授。

マーク・シュルツ

ハーバード成人発達研究の副責任者。ブリンマー大学の心理学教授。

出版

辰巳出版

もくじ

  • はじめに
  • 第1章 幸せな人生の条件とは?
    • 研究史上「最も幸福な男」が恐れたこと
    • 人生における最高の投資とは
    • ボストン都市部とハーバード大学で始まった研究
    • 時を見通すレンズ
    • 大量の質問。本当に。膨大な。
    • 幸せな人生の条件とは何か?
    • 日常生活をデータでとらえる
    • 科学はようやく先人の知恵に追いついた
  • 第2章 なぜ人間関係が重要なのか
    • 選択肢のある人生が幸せとは限らない
    • 「電車の中の見知らぬ他人」という実験
    • 文化が人を惑わせる
    • お金について語るときに私たちの語ること
    • 人間関係は格差を超えて影響力を発揮する
    • 意志の力で変えられること
    • 適応能力が人を強くする
    • よい人生を動かすエンジン
  • 第3章 紆余曲折の人生を俯瞰して見よう
    • 「鳥の目」で人生を眺める
    • ミニ・ハーバード研究をやってみよう
    • 重要なライフイベントとタイミング
    • 人間関係から見たミニ・ロードマップ
    • きょうだいが親代わりになる場合
    • 発達のペースは人それぞれ
    • 大人になれない若者たち
    • 仕事と家族のバランス
    • 中年期にも人生は開花する
    • 人生を導くのは想定外の出来事だ
    • ライフサイクルという視点をもっておく
  • 第4章 ソーシャル・フィットネス―よい人間関係を維持するために
    • 心は身体であり、身体は心である
    • 人は自分が何をしたいのかわかっていない
    • 孤独感は痛みになる
    • 人生を数字でとらえてみる
    • 幸福の二大予測因子
    • ソーシャル・ユニバースを描いてみる
    • 人生を支えてくれる人間関係を把握する
    • 人間関係を点検し、蘇らせる方法
  • 第5章 人生への最高の投資―「注意」と「気配り」のすすめ
    • 今日の「時間不足」と明日の「余剰時間」
    • 心がさまようと不幸になる
    • 「注意」と「気配り」こそ、人生の本質だ
    • スクロールをやめて、人と関わろう
    • 今、ここへの「注意」が人生を豊かにする
    • 大切なのは「共感する努力」
    • 毎日、ほんの少しずつ注意と気配りを増やそう
  • 第6章 問題から目を背けずに立ち向かう―人間関係の課題を乗り越えるための5ステップ
    • 問題に背を向けるか、助けを求めて立ち向かうか
    • 頑固さが人を脆弱にする
    • WISERモデルで反射的な感情をコントロールする
    • 人間関係の行き詰まりを抜け出す方法
    • 人生の試練を乗り越えるには、絆やつながりが必要だ
    • 立ち止まり、振り返って、進むべき道を見い出す
  • 第7章 パートナーとのグッド・ライフ―隣に寄り添う人とのつながり
    • 親密さとは、心を開くこと
    • たしかな絆が人生を豊かにする
    • 「触れ合い」は麻酔薬のように痛みを和らげる
    • 感情は、心の底の動きを伝えるシグナルだ
    • 反射的な感情を見逃さない
    • 二人の間に違いがあるのは当然だ
    • カップルの関係はダンスのように
    • 意見の不一致がもたらすチャンス
    • 人と人の関係は、「ほったらかし」では育たない
    • 親密な関係と人生の満足度をグラフにしてみる
    • 片割れは万能ではない
    • パートナーとの関係を改善するための3つの方法
  • 第8章 家族のグッド・ライフ―ライフステージによってつながり方は変化する
    • 「家族」とは誰のこと?
    • 幼少期の逆境の影響は無効かできる
    • 感情のコントロール法は、いくつになっても身につけられる
    • 家族の試練への向き合い方
    • 人生を軌道修正するための4つの方法
    • 家族とのつながりを維持する方法とは?
    • 家族や親戚と強い絆を育むための3つのルール
  • 第9章 職場でのグッド・ライフ―つながりに投資しよう
    • 人生を変えた二日間
    • 仕事と死政策のバランスをどうとるか?
    • イライラを家庭に持ち帰らないために必要なこと
    • 心通い合う関係は、福利厚生になる
    • 不平等や権力勾配がもたらす歪み
    • 世代を超えて与え合うことで得られる幸せ
    • 引退後に気づく、職場でのつながりの大切さ
    • 仕事の質を変えれば、人生の質も変わる
    • 職場での人間関係を豊かにするための5つの問い
  • 第10章 友情とグッド・ライフ―友とのつながりが人生を左右する
    • 友人の存在は、人を健康にする
    • 命を守ってくれた友の支え
    • 友情を求める心に男女の差はほとんどない
    • ハーバード成人発達研究の中で育まれた友情
    • 「弱いつながり」は遠くまで届く
    • ライフステージが変われば、友情も変わる
    • 友人関係にはメンテナンスが必要だ
    • いくつになっても友達をつくることはできる
  • 結論 幸せになるのに、遅すぎることはない
    • 自分こそ自分の人生の専門家、とは限らない
    • 「私は重要な存在なのだろうか?」
    • 科学が言えること
    • 4つめの「R」
    • 幸せな人生への途上で
    • 今すぐ決断すべきこと
  • 謝辞
  • 原注
  • 参考文献

人間関係は格差を超える

Image by Tammy Cuff from Pixabay

 14歳のアラン・シルバは映画に夢中でした。1942年の夏、ボストンのトンプソン・スクエアで靴磨きの仕事を始めると、週2回はチャールズタウンの映画館に行き、花形スターの主演作を観て過ごせたのです。

 被験者となった他の少年たちと同じく、アランの家も貧しいものでした。父はポルトガルからの移民で海軍造船所の機械工でしたが、収入は家族を食べさせるだけで精一杯だったのです。しかし、アランは両親の金銭的な苦労には気づいていませんでした。

 貧困の影響や、労働者階級と知的職業階級の格差という厳しい現実はあります。しかし、恵まれた人間関係は社会経済的格差を超えて影響力を発揮します。

 アランの場合、愛情深い母親がいました。母親は常にアランの味方となり、信頼を寄せ、大きな夢に後押ししました。母の励ましと支えもあって、被験者グループのなかで大学に進んだ数少ない少年の1人です。

 95歳になったアランは孫たちにも恵まれ、人生を誇りに思っています。

 アランのストーリーは、誰の人生にも、自分の力ではどうにもならないこととどうにかなることが混在しています。一人ひとりが、配られた手札で道を切り拓いていくほかありません。

人生を数字でとらえてみる

Image by Leopictures from Pixabay

 筆者の2人の場合、毎週電話かビデオ通話で話をしているが、直接会うのは年に合計で2日(48時間)程度です。

 今後数年間の見通しはどうでしょうか。本書が刊行される頃、ボブは71歳、マークは60歳になっています。100歳まで生きるとして、これから29年間、年に2日会うとなれば、一緒に過ごせる残りは58日間です。実際の数字はこれよりも少なくなるでしょう。

 このシミュレーションの目的は、好きな人と実際に過ごしている時間の長さは、見過ごされることが多いという事実です。仲が良くても、四六時中一緒にいる必要はありません。たまに会うから元気になれるということもあるものです。しかし、たいていの場合は、十分に会えていない友人や親せきがいるのではないでしょうか。

 最も大切にすべき人との関係にほんの少し気を配るだけで、気分や生き方に大きな変化が起きる可能性があるでしょう。

今日の「時間不足」と明日の「余剰時間」

Image by Nile from Pixabay

 自分の自由になる時間について矛盾した感覚をもっているものです。

 やりたいことをする時間、すべきことをする時間が足りていないという感覚がある一方で、未来のどこかで「余剰時間」を手にできるはずと考える傾向があります。

 20世紀に比べれば、圧倒的に労働時間は減少しているはずなのに、現代人は時間が足りないと感じています。

 多忙だと感じてしまうのはマルチタスクができているという感覚があるからです。神経科学によれば、人間の意識は1度に1つのことしか処理できません。マルチタスクはそれだけ脳に大きな負担がかかるのです。タスクを切り換えて、その対象に注意を向けるには時間がかかります。

 現代人は注意を常に微細に調整しながら生きているのです。

仕事の質を変えると、人生の質も変わる

UnsplashBrandon Cormierが撮影した写真

 コロナ禍で嫌というほど痛感したことでしょう。

 リモートワークは柔軟な働き方もできるし、家族と過ごす時間も混在するようになるのです。通勤に時間やコストをかけることもなくなります。

 リモートワークはメリットが大きい反面、デメリットも直接的な交流や物理的な問題に対してストレスを受けることがあるのです。また、子どもや同居人の影響を仕事中に受けることで、脳の負荷が増える可能性もあります。

 新たなテクノロジーの素晴らしさにも職場のストレスという刺激に対しても強く反応します。それを穏やかにするには良い人間関係が重要です。人間関係については見過ごされやすく、人間関係の構築を退職するまでにしてこなかった人は、「仕事に人生を捧げすぎた」と後悔することになるのです。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 人間関係くらいは、社内コミュニティ以外にも作っておかないと後悔します。そんな話でした。

 神とは言わないものの聖人のようなことを書いているので、宗教観は否めません。

 けれども、仕事以外のコミュニケーションは造っておいたほうが、退職後にやりたいことするにしても良いと思います。

 悩みには人間関係は付き物です。人間関係のグッド・ライフについて学びたい人は読んでみてはいかがでしょうか。

 下にリンクを貼っておきますので、本書の購入を検討してみて下さい。

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