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目次
書籍情報
GX時代に下剋上を起こす
下請け製造業のための脱炭素経営入門
発刊 2024年1月16日
ISBN 978-4-478-11875-7
総ページ数 215p
大場正樹
株式会社ゼロプラス代表取締役。
大手非鉄金属商社に14年勤務し、国内工場の新設や中国子会社の経営再建などを実現しました。
日本の中小製造業が持つ技術力、現場力を活かす支援をしたいと経営コンサルタントとして独立。
ダイヤモンド社
- プロローグ
- まえがき
- 推薦のことば
- 第1章 脱炭素は250年に一度の下剋上のチャンスだ
- 1 産業革命以来の大革命がやって来る
- 何百年に一度レベルの大課題「脱炭素」
- 大企業から中小企業へと押し寄せる脱炭素の波
- あらゆる商品に加わる新しい価値「カーボン」
- 2 今始めれば、誰でも先進企業になれるチャンス!
- 脱炭素に取り組む中小企業は1万社に1社
- 中小企業は他社の脱炭素を待っている
- 脱炭素の先進企業になれるチャンス!
- 3 経営課題の中心に$\ce{CO2}$削減を据えよう
- 中小企業が脱炭素に取り組む3つのメリット
- $\ce{CO2}$削減は単なる義務ではなく、新たなビジネスチャンスだ
- コラム 産業革命と人口
- 1 産業革命以来の大革命がやって来る
- 第2章 中小企業にも脱炭素の波がすぐそこに
- 1 脱炭素は全企業、全人類が避けて通れない
- 日本が世界に宣言した目標:2030年に$\ce{CO2}$排出量46%削減
- 脱炭素先進国を目指す日本
- $\ce{CO2}$排出量の削減は中小企業の対応も必須
- 2 グローバルで進む脱炭素の実質義務化
- 金融市場では脱炭素を意識した投資が始まっている
- ヨーロッパ発の国境炭素税が世界の脱炭素を加速させる
- ヨーロッパのバッテリー業界では脱炭素規制が始まった
- ヨーロッパのバッテリー規則が全世界に波及する
- 3 100兆円単位の投資でカーボンニュートラルを進める日本の本気
- 150兆円の官民投資とGX経済移行債20兆円
- $\ce{CO2}$価格が1トン1万円の価値になる日も近い?
- 4 脱炭素を新たな成長の機会へ
- 経済効果は290兆円、雇用創出効果は1800万人
- 脱炭素の時代に成長が見込まれる産業
- 5 大企業が主導するサプライチェーン全体の$\ce{CO2}$排出量把握
- 大企業が求められる$\ce{CO2}$排出量の開示
- $\ce{CO2}$排出量の算出範囲
- 大企業からの要請開始
- 6 脱炭素に対応できない企業は市場から追い出される
- 全世界を巻き込んだ脱炭素の波
- 中小企業に求められること① $\ce{CO2}$排出量の開示
- 中小企業に求められること② $\ce{CO2}$排出量の削減
- $\ce{CO2}$排出量の開示・削減をうまくアピールする
- コラム 世界197カ国・地域の共通目標
- 1 脱炭素は全企業、全人類が避けて通れない
- 第3章 GXで取引先から選ばれ続ける中小企業になる
- 1 トヨタ生産方式をひっくり返すかもしれない価値軸の大変革
- 新たなる価値軸:C(カーボン)
- 商品価値軸の革新的変化:QCDC
- 商品価値軸の変化によって勝ちパターンが変わる例① トヨタ生産方式
- 商品価値軸の変化によって勝ちパターンが変わる例② 海外生産
- QCDCの商品価値軸が主流となる社会
- 2 大企業から絶対的な信頼を獲得するカーボンデザイン提案
- カーボンデザイン:製品あたり$\ce{CO2}$排出量を設計する
- カーボンデザインの具体例
- 大企業が求める$\ce{CO2}$排出量の削減とカーボンデザイン
- 3 ライバルがいないうちに取引先を囲い込め
- 先行者利益を獲得できるチャンスは一度限り
- 攻めのGX:脱炭素が大きな成長につながるという発想の転換
- コラム 大企業から下請け企業に対する脱炭素の押しつけは独占禁止法にあたるおそれ
- コラム カーボンフットプリントの現在地
- 1 トヨタ生産方式をひっくり返すかもしれない価値軸の大変革
- 第4章 GXブランディングで人手不足を解消
- 1 未曾有の人手不足時代に突入
- 消えゆく日本の労働人口
- 生産力が企業の成長を左右する
- リスクを取って従業員を確保する
- 2 若い世代ほど脱炭素/環境を重視する
- 環境意識の高い若い世代
- 就職先企業を決定した理由の1位は社会貢献度
- 3 若い世代にカーボンニュートラルの取り組みをアピールする
- 環境に配慮することで人材を確保した事例
- 自社の脱炭素の取り組みをホームページでアピールする
- コラム 従業員に利益を還元することが最も大切
- 1 未曾有の人手不足時代に突入
- 第5章 脱炭素に向けて第一歩を踏み出そう
- 1 最初にやるべきは世の中にGXへの取り組みを宣言すること
- 世論から認められることでメリットを享受できる
- $\ce{CO2}$排出量削減ステップ ── ダイエットを例にした削減アプローチ
- 国際基準に準拠した$\ce{CO2}$排出量の算定範囲
- 中小企業における$\ce{CO2}$排出量の算定範囲
- 2 現状の$\ce{CO2}$排出量を把握しよう
- 中小企業ではまず燃料・電力の$\ce{CO2}$排出量把握をおこなう
- 減らすフェーズを意識して$\ce{CO2}$排出量を細かい粒度で把握する
- 3 国際機関から認証を受けよう
- 認証が必要な理由 ── $\ce{CO2}$削減計画の立案になぜ認証が関係する?
- 中小企業ではSBTがおすすめ
- とにかく早く取り組むことが大切
- 島田工業株式会社のSBT認証の活用事例
- 中小企業版SBT取得までの流れ
- 4 認証されたら$\ce{CO2}$排出量の削減活動を始めよう
- スコープごとに削減アプローチを変える
- $\ce{CO2}$排出量削減活動を進める3ステップ
- $\ce{CO2}$排出量削減の事例紹介
- 5 国の支援策を最大限に活用しよう
- 脱炭素に取り組むことで1億円近くの補助金がもらえるチャンス
- 補助金活用のメリット
- 補助金の具体的な活用事例
- 補助金の今後
- 困ったときは国に相談
- $\ce{CO2}$を削減し続けることで国からも応援される
- コラム GXはノーリスクでファーストペンギンになれる
- コラム 地球温暖化の仕組み
- 1 最初にやるべきは世の中にGXへの取り組みを宣言すること
- あとがき
- 本書のカーボンフットプリント計算について
紹介
グリーン・トランスフォーメーション(GX)が進む中で、下請け製造業が直面する課題と機会に焦点を当てた画期的な書籍です。
環境への配慮を経営戦略に組み込むことで、サステナビリティとビジネスの成長を両立させる方法を探ります。
脱炭素化がもたらす経済的利益や競争上の優位性について、具体的な事例とともに解説しています。また、再生可能エネルギーの活用、省エネルギー技術の導入、サプライチェーン全体の環境影響の削減など、実践的な脱炭素経営の戦略が豊富です。
特に小規模な製造業者や、環境問題に取り組むことで新たなビジネスチャンスを見出したい企業にとって、貴重なガイドとなるでしょう。
大企業が求められる$\ce{CO2}$量の開示
2022年4月から東証プライムに上場する全企業に対して、企業の気候変動への取り組みや影響に関する財務情報の開示が義務付けられました。
$\ce{CO2}$排出関係の非営利団体から毎年質問状が送られるようになっています。そんな流れがあって、質問状に回答するまでもなく、一部の大企業では$\ce{CO2}$排出量の開示を始めました。
$\ce{CO2}$排出量の算出は、3つのスコープごとに分かれて管理されます。自社の燃料の燃焼、他社から供給される電気などの使用、自社の$\ce{CO2}$排出ではないが自社の活動に関連する他社の排出です。
中小製造業に部品の$\ce{CO2}$排出量を問い合わせるといった業務が発生しています。ベンダー企業とよばれる自社製品を販売する場合は、上下のサプライチェーンの$\ce{CO2}$排出量を気にしなければなりません。
大企業からの要請開始
2023年時点で取引先から「あなたの会社の$\ce{CO2}$排出量はどれくらいですか?」どれくらいですか?」と聞かれたことがある方は少ないと思います。現時点では、実測値ではなく、購入金額から推計しているからです。
しかし、これでは供給業者の$\ce{CO2}$排出量の削減努力が反映されません。単に安い製品を購入すれば$\ce{CO2}$排出量を削減したことになるのです。
政府もこうした状況を問題視しており、サプライチェーンでの$\ce{CO2}$排出量の把握では、なるべく実測値を利用するべきだという指針を出しています。
企業間で実測を連携させる実証実験が進められており、これらの動向から最短で2025年ごろから$\ce{CO2}$排出量を実測値で計算して公表する大企業がではじめると予想されているのです。
今後、サプライチェーンの$\ce{CO2}$排出量の管理要請も増える見込みがあります。
先行者利益を獲得できるのは今
大企業が$\ce{CO2}$排出量の開示を始めた段階であり、ほとんどの企業がカーボンデザインの考えを持っていません。競争相手がいないということです。
競争他者がカーボンの価値に気づくまでの間が、既存の取引先との関係を深め、新たな取引先を獲得する絶好のチャンスです。
国・取引先の統制に最低限答える義務に対応するといった守りの姿勢で大企業からの受注を失うか、自社製品の低カーボンを商品価値として提案し受注を増やす攻めの姿勢をとるか。
脱炭素の社会に適応するために発想を転換し、時代を先取りして準備を進めることで成長の機会を掴みましょう。
補助金のメリット
補助金を活用すれば事業リスクの低減につながります。例えば、1500万円の設備を購入したとして、補助金が1000万円でたとしたら、実質500万円の投資と同じです。毎年200万円の利益を見込めるとしたら、回収するのに3年とかかりません。
さらに、事業の成長を加速させることができます。社内インフラを充実させることができるため、継続的に補助金を受けることができれば時代に沿って成長を加速できるのです。
また、補助金は営業外利益として計上できるので、数字を上乗せして表示できます。事業を補てんする補助金となっていますので非課税ではありませんが、赤字経費であれば当然非課税となります。初期投資の一部が収益になると考えると、かなりのメリットなのではないでしょうか。
感想
サイト管理人
あまり脱炭素ビジネスやグリーンビジネスは上手くいっておらず、欧米でコケている企業が溢れて顕在化してきています。
このまま、2025年までにカーボンニュートラルが進行して、マメに環境値を発信する中小企業が増えるとは、全然イメージできません。ましてや、GXやSDGsを話すコンサルタントは怪しいものが多いと思います。
しかし、補助金がかなりもらえるという話なのであれば、環境改善を前面に押し出して設備投資するのもありなのではないでしょうか。
なぜか、この書籍の評価が高かったサイトがあるのですが、個人的にはGXやSDGsの書籍の購読はオススメできません。バッテリーや車やロケットなどの技術面における情報なら、まだ楽しめるような気がします。