皮膚の科学/監修:本田哲也

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書籍情報

タイトル

今と未来がわかる 皮膚の科学

発刊 2024年8月1日

ISBN 978-4-8163-7585-9

総ページ数 239p

監修

本田哲也

浜松医科大学皮膚科学講座教授。皮膚科専門医、医師博士。
患者と向き合いながら、新しい皮膚科学の発見を目指し、臨床研究・基礎研究に取り組んでいる。

出版

ナツメ社

もくじ

  • はじめに
  • 序章 皮膚とは?
    • 人体最大の臓器
    • 生命維持に欠かせない5つの機能
  • 第1章 皮膚の構造
    • 皮膚の構造
    • 表皮
    • 真皮
    • 皮下脂肪組織
    • 皮膚付属器
    • Column 皮膚の進化のフシギ ~ヒトとほかの生物との違い~①植物
  • 第2章 皮膚の機能と役割
    • 皮膚の物理的バリア機能
    • 皮膚の免疫機能
    • 皮膚の感覚機能
    • Column 皮膚の進化のフシギ ~ヒトとほかの生物との違い~②魚類
  • 第3章 皮膚の一生と老化
    • 加齢による皮膚の変化
    • 自然老化と光老化
    • 老化による現象
    • 美容注射とケミカルピーリング
    • Column 皮膚の進化のフシギ ~ヒトとほかの生物との違い~③哺乳類
  • 第4章 皮膚の不調と外的要因
    • 皮膚の不調①かゆみ
    • 皮膚の不調②乾燥
    • 紫外線
    • 腸内環境と食生活
    • 活性酸素
    • ストレス
    • Column 皮膚の進化のフシギ ~ヒトとほかの生物との違い~④類人類
  • 第5章 アレルギーとアトピー性皮膚炎
    • アレルギーとは?
    • アトピー性皮膚炎
    • Column 皮膚の進化のフシギ ~ヒトとほかの生物との違い~⑤旧人類
  • 第6章 皮膚の病気
    • どのような病気があるか
    • 炎症性・免疫性皮膚疾患
      • 乾癬
      • 掌蹠膿疱症
      • 湿疹・汗疱・異汗性湿疹
      • 接触皮膚炎
      • 蕁麻疹
      • 脂漏性皮膚炎
      • 薬疹
      • 水疱症
      • 尋常性白斑
    • 悪性腫瘍(皮膚がん)
      • 悪性黒色腫
      • 日光角化症
    • 感染症
      • 白癬
      • 疥癬
      • 梅毒
      • 帯状疱疹
      • 単純ヘルペスウイルス感染症
      • ウイルス性疣贅
      • 蜂窩織炎・丹毒
    • 皮膚付属器疾患
      • 円形脱毛症
      • 男性型脱毛症(AGA)
      • 尋常性痤瘡(にきび)
      • 多汗症・無汗症
    • 物理化学的皮膚障害
      • 熱傷(やけど)
    • Column 皮膚のギモン ~どんなものがある?~爪の異常
  • 第7章 皮膚の薬と治療法
    • 外用薬の種類
    • ステロイド外用薬
    • 内服薬・注射薬の種類
    • 理学療法
    • 皮膚科の最新治療薬
    • Column 皮膚のギモン ~皮膚科でも使われる?~漢方薬
  • 第8章 健康な皮膚を保つには
    • 健康な皮膚とは?
    • 保湿
      入浴・洗顔・洗髪
    • UVケア
    • 汗のケア
    • 部位別ケアのポイント
    • ムダ毛処理
    • 食生活と生活習慣
    • 生活環境
    • ストレス対策
    • Column 皮膚のギモン ~実は逆効果?~間違ったスキンケア
  • 第9章 最新皮膚研究と未来
    • 皮膚がんの治療薬
    • 皮膚常在菌
    • 皮膚ガス
    • AIと皮膚医療

書籍紹介

皮膚の奥深さに迫る

 皮膚は、私たちの身体の最前線で外部からの刺激や侵入を防ぐだけでなく、体温調節や触覚など多くの機能を持っています。しかし、その複雑さや役割はあまり知られていません。本書は、その皮膚の構造や機能についてわかりやすく解説し、日々の健康管理に役立つ情報を提供しています。

 例えば、皮膚の層構造やそれぞれの役割、さらには皮膚が健康に与える影響まで、多角的な視点から皮膚を捉えることができます。また、アレルギーや皮膚病、紫外線によるダメージについての具体的な対策や予防法も詳細に説明されており、実生活に役立つ内容が詰まっています。

未来の皮膚科学

 本書では、未来についても少し触れてます。近年、皮膚に関連する研究が急速に進んでおり、生物的製剤などのバイオテクノロジーや新薬など、まさに「未来の医療」と呼べる技術が登場しています。このような最先端の研究についても触れられており、読者に未来の皮膚科学の可能性を感じさせる内容となっています。

日常のケアに役立つ知識

 さらに、日常生活で実践できるスキンケアの方法や、皮膚の健康を保つための食事やライフスタイルについてのアドバイスも充実しています。これにより、専門的な知識を持たない人でも、自分自身の皮膚の健康を守るための手段を具体的に学ぶことができます。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

皮膚の免疫機構

 免疫に関わるさまざまな細胞は、ヒトの体内の一部の臓器だけで作られるわけではありません。人体で最も大きな免疫器官は皮膚であり、「人体最大の免疫臓器」ともいわれています。

 皮膚には、B細胞、T細胞、肥満細胞、好酸球、好中球など、多くの免疫に関わる細胞が存在し、細菌やウイルス、ダニ、カビなど、免疫反応を引き起こす有害な物質から人体を守っています。

 抗原が侵入した際、初期に作用する原始的な免疫機能が自然免疫です。これに対して、侵入した抗原に特異的に反応する免疫機構が獲得免疫です。皮膚は免疫器官として、自然免疫と獲得免疫の両方がそれぞれの機能を発揮することで、全体的な免疫応答を誘導します。

 皮膚は病原体や有害物質と戦う、生体防御の最前線に位置しています。

乾燥とバリア機能

 皮脂膜、天然保湿因子、細胞間脂質の3つのタイトジャンクションは、皮膚のうるおいを保ち乾燥を防ぐバリア機能を担っています。これらのはたらきが何らかの理由で正常に機能しなくなると、皮膚の病気を発症しやすくなるのです。

健康な皮膚

  • 皮脂膜や天然保湿因子、細胞間脂質などのはたらきにより水分が保持される
  • 体内からの水分蒸発を防ぐ
  • 外界からの刺激や異物の侵入を防ぐ

乾燥した皮膚

  • 皮脂が減少して皮脂膜が失われる
  • 天然保湿因子や細胞間脂質が減少する
  • 水分が蒸発しやすい
  • 外部からの刺激に過敏になりやすい

皮膚への紫外線の影響

 紫外線には3種類あり、そのうちUVAとUVBが地上に降り注ぎ、ヒトの皮膚にダメージを与えます。

 UVBは地上に到達する量は少ないものの、散乱性が高く、乱反射してさまざまな方向から皮膚にダメージを与えます。

 一方、UVAはUVBほど皮膚に直接的なダメージを与えるわけではありませんが、波長が長いためメラニンの産生を活発にし、皮膚の褐色化を促します。

 紫外線は皮膚にダメージを与えますが、DNAを修復するヌクレオチド除去修復や、損傷を乗り越える組み換え機能が私たちの体を守ってくれます。しかし、ダメージが蓄積し、修復能力を超えると、修復ミスや遺伝子の突然変異が起こり、それが皮膚がんの原因になると考えられています。

洗顔・洗髪は低刺激が基本

 洗顔の目的は、皮膚の汚れを落とし、清潔な状態を維持することです。洗顔料は汗や皮脂などの汚れを落とし、クレンジングはメイクや皮脂などの油性汚れを浮かせて落とすものです。

 刺激は皮膚の不調につながります。特に目の周りは皮膚が薄いため、きめ細かい泡でやさしく洗うことが重要です。

 洗髪では、まずお湯だけで予洗いしたり、ブラッシングしたりすると汚れが落ちやすくなります。

 シャンプーや洗顔料、クレンジングオイルなどは、刺激が少なく、清涼感が控えめなものがおすすめです。しっかりと泡立ててから洗顔するなど、工夫が必要です。基本的には、使用感の好みに合わせて選んでください。

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