サービスの達人に会いにいく/著者:野地秩嘉

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書籍情報

タイトル

サービスの達人に会いにいく

プロフェッショナルサービスパーソン

発刊 2023年10月2日

ISBN 978-4-8334-2510-0

総ページ数 231p

著者

野地秩嘉

出版社勤務を経てノンフィクション作家に。人物ルポルタージュをはじめ、ビジネス、食や美術、海外文化などの分野で活躍中。『TOKYO オリンピック物語』でミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。

出版

プレジデント社

もくじ

  • 第1章 タイ馬鹿一代記 タイカレーを売る男 ヤマモリ会長 三林憲忠(三重県桑名市)
    • タイカレーを情熱で売るタイ馬鹿
    • 情熱その1 レトルト技術のヤマモリ
    • 情熱その2 タイカレーを現地生産
    • 情熱は続く
    • 生のハーブでないとダメ
    • 高級スーパーへのセールス
    • 回収でひどい目に遭う
    • タイカレーで終わってはいけない
  • 第2章 過疎と戦うジェットコースターDJ社長 シンセン社長 松田一伸(北海道札幌市)
    • 七つの顔を持つ男
    • 炭鉱の町、歌志内で育つ
    • 「オレはDJになる」
    • セントジョージのFM局でDJに
    • DJの勉強よりも人生勉強
    • シンセン・ラジオ・ステーション
    • DJとして優れているところ
    • 忍者麺と北海道愛
  • 第3章 彦寿しと活け締めの名人 彦寿し 泉明彦(福岡県福岡市)
    • 白身魚の刺身はどこよりもおいしい
    • 「博多前」の寿司店で修業
    • 姪浜の達人夫婦
    • 針金でぐいっと鯛を神経締め
    • おいしい寿司は職人ひとりではできない
  • 第4章 長袖シャツの炭焼き焙煎士 ポケットファクトリー 川上敦久(愛知県名古屋市)
    • 半袖シャツは着ない
    • 缶コーヒーを飲む男
    • コーヒーとの出会い
    • 炭火焙煎を学ぶ
    • 修業の終わり
    • 楽しさをもたらすコーヒー
  • 第5章 純ちゃんの「ミニスカ床屋」 ニュー東京 小山純子(東京都千代田区)
    • お姉様方がいる床屋
    • 理容店は減った
    • 熊本市内の理容店で修業
    • 純ちゃん、家出する
    • 「ミニスカ床屋」誕生!
    • 事業は拡大していき、やがて……
    • 「1000円カットの床屋」とコロナ禍
    • 昭和の床屋のサービス
  • 第6章 モジリアニの絵に似たアプリデザイナー くふうカンパニー執行役 池田拓司(東京都港)
    • 新しい仕事の誕生
    • アプリデザイナーとは?
    • クックパッドに入社するまで
    • スマホが急速に普及するなか、アプリデザイナーに
    • アプリデザイナーの仕事
    • ファーストビューが大事
    • 悪いデザインは淘汰される
    • ユーザーファースト
  • 第7章 神戸を色で表現する文房具店 ナガサワ文具センター 竹内直行(神戸県神戸市)
    • 年間2万個以上売れるご当地インク
    • 神戸がいちばん美しい
    • なくなっていく文具店
    • 逆風下のインク作りに車内は動揺
    • 客の好みを引き出すサービス
  • 第8章 津軽の伝承料理を引き継ぎ伝える介 津軽あかつきの会 工藤良子(青森県弘前市)
    • 津軽の味
    • 「食べるものを変えなくてはダメだ……」
    • 昔の味にはならない
    • 台所の情景
  • 第9章 幸せを呼ぶリハビリの権威 ねりま健育会病院院長 酒向正春(東京都練馬区)
    • 幸せを運ぶ男
    • 戦後のリハビリ史
    • リハビリ医として
    • 褥瘡を憎む男
    • 10人のチームで患者を見守る
    • 酒向医師は監督権プレーヤー
    • リハビリ病院では患者の生活をみる
    • コロナ禍を乗り越えて
  • 第10章 人気サウナのサンクチュアリ 神戸サウナ&スパ総支配人 津村浩彦(神戸県神戸市)
    • 全裸の男の横で
    • 熱波師と神戸サウナ
    • 清潔さと情熱
    • サンクチュアリについて
    • 入れ墨、タトゥーの禁止など
    • ボディケアもまた素晴らしい
    • いちばんのサービス
  • 第11章 眠らないにぎりめしの店 にぎりめし店長 本間直也(北海道札幌市)
    • 札幌の真冬、深夜に行列
    • 1日に800人はやってくる
    • 料理はすべてホームメード
    • ナオちゃん店長のいいところ
  • あとがき_答えはユーザーファースト

ポケットファクトリー 川上敦久

 美杉コーヒーの入社して5年が経ちました。結婚して家庭を持ち、子どもも生まれ、充実した人生が続くと思っていたのです。

 しかし、名古屋の中心地にカフェを出店したのがうまくいかず、その余波で連鎖的に倒産してしまいました。

 川上自身も無職になったとき、社長に頭を下げて、焙煎する方法を教えてもらえるように頼み込んだのです。

 豆は自分で買うため、毎日、焙煎するほど大量には買えかったのですが、コーヒー豆の輸入業者が代金を現金払いではなく、ツケにしてくれました。そして、催促は一切ありません。

 配達で親しくしてくれた喫茶店のおじさん、おばさんも応援してくれました。「美杉コーヒーでなくていいから、コーヒー豆持ってきて」と言ってくれたのです。師匠の社長に教えてもらったレシピを委託焙煎会社に持っていき、できたコーヒー豆を喫茶店に卸しました。

 炭火焙煎を初めて2年、テレビ取材を受けたときに、師匠から合格をもらうと、豆の受注が増えたのです。それ以来16年間、焙煎したコーヒーを販売して生活しています。

ニュー東京 小山純子

 ニュー東京を開店し、お店では女子だけを雇いました。女子従業員は、バラバラの服装で、新しい店の一体感が感じられません。そこでユニホームを作りました。

 ユニホームは赤いプリーツのミニスカートです。そのミニスカートが大衆にうけて、毎日大勢のお客様がいらっしゃいました。

 現実には誰と結婚しようとも、「夫にやさしくシャンプーやマッサージをする妻」は地球上に存在しません。そんな夢を追いかけて何度もニュー東京に通っているうちに、いつからか美脚の美女よりも、優しく微笑む理容師を指名するようになり、食事に誘い、いつの間にかゴールインすることもありました。

  お見合いの場にもなったニュー東京は、理髪だけでなく、美顔、マニキュアといった紳士向け美容サービスを強化しています。客ひとりあたりの単価をあげて、有名な理髪店へと成り上がったのです。

ナガサワ文具センター 竹内直行

 竹内が働いているのは三宮にある本店とハーバーランドにある煉瓦倉庫店です。レンガ倉庫店の入り口横には専用のデスクが設けてあり、お客様の相談に乗ります。サービスマンとして万年筆やインクを販売しています。

 万年筆を買いたいけれど、購入金額を抑えたいという女子中学生にはガラスペンをオススメです。軽いですし、インクが多彩に選べます。

 ピンクのインクが良いと、リクエストがあれば、ピンク3色と紫1色のインクを出して、なみなみ線を書きます。そして、お客様が本当に欲しい色を探っていくわけです。

 ラブレターを書くインクの色というリクエストには、「インクの色だけでは恋は実りません。手紙の内容に加えて実際の行動に尽きます」とアドバイスを付けることも忘れません。

神戸サウナ&スパ総支配人 津村浩彦

 神戸サウナは一部のファンの間で「日本一のサウナ」浩彦と呼ばれています。サウナ内の熱波師はさすがの技をもっています。この熱波を送るパフォーマンスには、なんと検定試験があるのです。

 試験などのこだわりが出るほど、おじさんたちの聖地だった場所に若者が大挙して押しかけるようになりmした。

 ロウリュの時間になると、サウナ室前に10人前後の列ができます。そして24時間営業なので、いつ行っても、身体をととのえることができるのです。

 塩サウナ、スチームサウナ、フィンランドサウナ、メインサウナ、温泉プールなど色んな施設を利用することができるのでメインサウナが混在していても、どれかを利用することで楽しめます。

 入浴時間はフリータイムで2900円。一般のそれよりも高い値段設定です。しかし、アメニティが充実しているので手ぶらでも満足して利用できます。床が塗れていたり、老朽化していることがなく、凄く「清潔」を感じるので決して高く感じないのだそうです。

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