※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
目次
書籍情報
シニアが無理なく儲ける株投資の本
発刊 2024年3月20日
ISBN 978-4-534-06089-1
総ページ数 249p
川島睦保
1979年に東洋経済新報社に入社。1991年から92年までハーバード大学経済学部客員研究員。東洋経済新報社の編集長、出版局長を経て、フリージャーナリストになる。
日本実業出版社
- はじめに
- 第1章 「老後資金に2000万円必要」はナンセンス
- 金融庁の報告書はとても参考になる
- 高齢夫婦無職世帯の毎月赤字額は5万円
- 「にわか投資」では遅すぎる
- 90歳代まで生きるとすれば2000万円以上は必要になる
- 何をどう買って良いかわからない
- まずは月々の赤字額を知ること
- 毎月約6万円のおカネが不足する⁉
- 生活費を切り詰めるか、再就職で働き続けるか、資産運用で稼ぐか
- 年をとれば生活費は自然に減っていく
- 老後の資金対策の第一歩は健康であること
- 生活費の切り詰めには限界がある
- 老後も働き続けて「老後をなくす」⁉
- 退職後は仕事の目的や意義が変わってくる
- 人生においていちばん大切なことは何だったか?
- まとめ
- 第2章 低成長・低金利経済下資金運用は株式投資が有利
- 定年退職後の資産運用は必須科目
- 保守的すぎる日本のシニア世代
- 50歳代になったら総資産の棚卸を!
- 「資産3分割法」が基本原則
- 株式投資の基本スタンスは「配当狙い」
- 配当利回りの高さが株価が下落を抑止する
- なぜ業界トップ企業が長期投資に向くのか
- 毎月10万円投資で第二の個人年金をつくろう
- インフレにも強い”自分年金”ができた!
- 半分は貯蓄、半分は給与から資金をねん出
- 新NISAで大幅な節税も可能に
- まとめ
- 第3章 そもそも株式投資の基本スタンスとは?
- 相場センスは個別の銘柄で磨かれる
- 長期投資では素人の勘が生きる
- どのようなときに投資信託を活用すべきか
- 安全運用の鉄則
- 「長期に持てば必ず儲かるという保証はない」という盲説
- 個人投資家は株式ディーラーではない
- 個人が「美人投票」に熱中すると大やけどする
- 上昇すれば喜び、下落すれば忘れる
- 政府も株高を”支援”している
- 東証もPBR1倍割れ企業に「喝!」
- 長期投資と分散投資でリスク回避
- 配当金狙いで地味に長く保有する
- 二兎を追う者は一兎をも得ず
- 配当金利回りは預金金利より断然有利
- 銀行預金は銀行への寄付と同じ
- 「銀行預金に預ける」くらいなら「銀行株を買おう」
- 配当金は心の支え
- まとめ
- 第4章 「高配当利回り銘柄への投資」の基礎知識
- 死ぬまで月6万円の資金を手に入れる方法
- 「老後資金2000万円」には別の根拠があった
- 飛行機の操縦席のような計器は不要
- トップ企業ならROE、ROAなどをクリア
- 資産と負債の両建てで生活を豊かにする
- 年齢を重ねるほど現金を大切にすべし
- 住宅ローンで手元のキャッシュが増やせる
- リバースモーゲージへの乗り換えで
- キャッシュのない老後は寂しい
- インフレで住宅ローン残高は目減りする
- 資本主義は冷酷なシステム
- まとめ
- 第5章 「高配当利回り銘柄への投資」の実践法
- 長期投資に向いた銘柄の発掘法
- 高配当利回りランキングの注意事項
- 高利回りランキングは千差万別
- ランキングの別の落とし穴
- 投資信託が組み込んでいる「高配当銘柄」
- 配当利回りの差が意味するもの
- トップ企業以外で過去に減配、無配のある起業は要注意
- 高配当利回りでも買ってはいけない銘柄
- 「業界のトップ企業」の定義とは何か?
- 二番手企業は背伸びをする
- 数字の差以上に序列は意味がある
- 行動経済学から見た好ましい銘柄
- 配当利回りが高い業種、低い業種
- 長期投資のインセンティブ
- 数年前こんなにあった高配当利回り株
- 超金融緩和の是正が追い風の銀行株
- 商社株=資源株は業界の常識
- 銀行株はこれからっでも間にあう
- 商社株は一時的に下げたところが狙い目
- 買い場は必ず到来する
- 有力業種をどう見つけるか
- 薬品株も長期投資の有力候補
- 配当利回りの低下は別の銘柄へ乗り換えるサイン
- 持ち株に異変が迫ったときの見抜き方
- 長期金利が5%台に乗せたら半分は国債へ乗り換え
- まとめ
- 第6章 投資雑誌や証券会社との賢い付き合い方
- 個人投資家にはROE、ROA、DOEは無用?
- シニア投資家には成長株よりも割安株が向いている
- 疑問が生じたら広報・IR部署に直接電話してみよう
- 初心者は対面証券がお勤め
- 対面証券のメリット、デメリット
- ネット証券のメリット、デメリット
- 営業担当者との賢い付き合い方
- 一方的な営業電話は一方的な質問攻めで撃退せよ
- まとめ
紹介
実用的な投資ガイドブックであり、シニア層を主な対象としています。老後の資金繰りに関する現実的な懸念と、それに対処するための株式投資戦略に焦点を当てています。金融庁の報告を引用しながら、老後2000万円問題の深刻さを浮き彫りにし、同時にこれを乗り越えるための具体的な方法を提供します。
特に保守的な日本のシニア層に対し、株式投資における「配当狙い」のアプローチを推奨しています。この手法は、低成長・低金利の経済環境下で、安定した収入源を確保するための効果的な戦略として位置付けられています。本書では、「資産3分割法」や「新NISA」を活用した節税方法など、リスクを抑えつつ利益を最大化するための実践的なアドバイスが豊富に提供されています。
株式投資の基本スタンスについても言及し、長期投資と分散投資の重要性を強調しています。彼は、投資信託の活用時期や、安全運用のための鉄則、さらには政府と東京証券取引所の株式市場における役割についても触れ、投資家に広い視野を持つことの大切さを教えています。
特に注目すべきは、シニア層に特有の問題や懸念に対して、著者が提案する具体的かつ実践的な解決策です。例えば、高配当利回り銘柄への投資戦略は、退職後の安定した収入を確保するための魅力的な方法として提示されます。この章では、適切な銘柄の選択方法、ランキングの落とし穴、そして投資信託の選び方まで、幅広いトピックがカバーされています。
川島氏のアプローチは、老後を安心して過ごすための賢い資産運用を促します。彼は、投資雑誌や証券会社との賢い付き合い方についてもアドバイスを与え、シニア投資家が成長株よりも割安株を好むべき理由を説明しています。この本は、老後の資金不足に直面しているシニア層だけでなく、将来に備えたいと考えているすべての年齢層の読者にとって、有益な情報を提供することでしょう。
毎月10万円投資で第二の個人年金
月額8万円、年間96万円を稼ぐには、どれくらいの資金を準備しておく必要があるでしょうか。
たとえば、株価1000円で1株あたり年40円の配当をする銘柄があるとします。この銘柄で月8万円を稼ぐには、2400万円の資金が必要になります。つまり、退職前までに最低2400万円を貯めておく必要があるということです。
世帯主が60歳以上で2人以上の世帯における60~69歳の平均貯蓄額は2460万円です。平均のマジックがかかっていて、実際に実行できる高齢者がどれくらいいるかはわかりませんが、その貯蓄額をすべて株式投資に投じれば、配当金だけで月8万円、年間96万円を稼ぐ生活を送ることができます。
実際に65歳までに2400万円の投資をどう実現するかというと、月10万円ずつ配当利回り4%の銘柄に投資し続け、配当金も再投資にあてたとすると、10年で1496.3万円になります。さらに株価が上昇することを想定すれば、2400万円も時間をかければ夢ではないことがわかるでしょう。
高配当株の失敗例
インターネット上の金融情報サイト「THE GOLD ONLINE」でファイナンシャルプランナーの牧元拓也氏が連載している記事「退職金3000万円をつぎ込んで『高配当株投資』を始めた65歳男性の末路」が目に止まりました。
退職金3000万円を元手に、少しずつ高配当の日本株に投資を開始しました。株式市場が堅調に推移し、投資開始から半年後には含み益が投資総額の8%になったため、残りの退職金1000万円を追加で購入しました。
しかし、投資開始から1年後にコロナ禍で株式相場が悪化し、保有株式も10%程度下落してしまいました。残りの資金を投資したものの、含み損を回収できるほどには至りませんでした。
慌てて精神的に参ってしまったため、1500万円分の株式を損切りしました。しかし、皮肉なことに、その翌月から株式相場は急回復し、数か月後には下落前の水準に戻りました。
老後資金として大切な柱である退職金を投資する場合は、「長期・積立・分散」という投資の原則を絶対に守らなければなりません。
株式投資も自動車の運転と同じで、安全速度と法令順守を心がければ、大きな事故を引き起こすことはありません。
キャッシュのない老後は寂しい
現在住んでいるマンションの売却代金と手持ちのキャッシュの範囲内で購入できる中古物件を探しました。私のような高齢者でも、超低金利と住宅ローン減税を利用すれば実質ゼロ金利で借りることができます。
わざわざ現金で家を買う必要はなく、年を取ってキャッシュが少なくなるのは寂しいと思います。
おかげで変動金利型の住宅ローンを組むことができ、新築マンションを購入することができました。古いマンションの売却代金と、新しいマンションの購入に充てる予定だった預貯金は、そのまま手元に残りました。
新しいマンションと老後の資産運用の原資の両方を手に入れたことで、どことなくリッチな気分になったのを今でも覚えています。
投資信託が組み込んでいる「高配当銘柄」
投資信託の高配当銘柄
●日本たばこ産業 5.53%
●ソフトバンク 5.14%
●JFEホールディングス 4.73%
●日本製鉄 4.66%
●SOMPOホールディングス 4.64%
●いすゞ自動車 4.42%
●商船三井 4.38%
●MS&ADインシュアランスグループ 4.33%
●日本郵便 3.94%
●ゆうちょ銀行 3.78%
ソフトバンクは、メディアの露出などからかなりの人気を獲得している企業です。その実態は、海外で積極的なM&Aを繰り返して大きく成長する企業となっています。現在はAIを推進しており、様々な投資活動を行っています。
ソフトバンクが保有する含み益を売却すれば、借金を返済できないという事態にはならないという意見もあります。しかし、孫会長の先見性でなりたっていた会社だけに後継者問題といったリスクがあります。孫会長は66歳に達しており、これから10年先を展望する長期投資において、不安要素があるのは間違いないでしょう。