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目次
書籍情報
ロスチャイルドの女たち
発刊 2023年11月4日
ISBN 978-4-7505-1815-2
総ページ数 643p
ナタリー・リヴィングストン
歴史学の最高学位を取り、「デイリー・エクスプレス」紙の特集ライターとしてキャリアをスタート。様々な雑誌に寄稿し、ロンドンに在住。
亜紀書房
- まえがき
- 第1部 グートレ、ハナ、ヘンリエッタ
- 勃興の母
- ただの機械
- 家庭を築く
- 婿探し
- アダム・モンテフィオーリ
- より健康的な気候
- 調和、誠実、勤勉
- 裏切り
- ロスチャイルド夫人の並外れた財政手腕
- 婚礼と葬式
- 第2部 シャーロット、ハナ・マイヤー、ルイーザ
- 「濃霧に満ちた憂鬱なこの世界」
- キリスト教徒と結婚して一族を離れる
- ユダヤ教徒として結婚し、一族に入る
- 幼児の養育
- 芸術の女神
- 「もちろん、われわれは嫌悪しすぎることをよしとはしません」
- 底知れぬ深淵
- 逃げ道と遺産
- ホテルでの暮らし
- 母親の教え
- 第3部 コンスタンス、エマ、ブランチ
- 恋のたわむれ
- 後継ぎとたしなみ
- 薔薇と獅子
- 初めての演説
- ボヘミアのブランチ
- 王室の印章
- 救出と防止
- 登用
- 「大砲が夜のうちに届き」
- 第4部 ロジカ、ドリー、ミリアム、ニカ、ロージー
- 国境を越えて
- 入隊
- 復興
- 休暇
- 戦果を前に
- 姉妹の戦い
- 残響
- 男爵夫人、バードとモンク
- ノミの女王
- スペア・リブと刺繍の叛乱
- すばらしい小春日和
- 母と娘
裏切り
1820年代、ロスチャイルド家はオーストラリア、プロシア、ロシアなど君主権力への出資によって名声を高めました。一部ではヨーロッパ反動主義の銀行家と見なされるようになったのです。
ハナ・ロスチャイルドは、奴隷制度の廃止、社会改革、宗教少数派の公民権を獲得しています。彼女の同志に空想社会主義者のロバート・オーウェンがいました。環境が人柄と人生を作るというオーウェンの信念に共感してハナは後援者になったのです。ハナが行ったユダヤ無料学校の仕事に大きな影響を与えています。
オーウェンがアメリカで活動家として投資しはじめて、急進的な思想を高めた結果、宗教的で不吉な意見が混じるようになり、ハナの怒りを買うようになったのです。
宗教の解放、ユダヤ教徒の自由を考えていたハナは、貴族院と対立して、かつて金銭的に援助した人たちに裏切られて「ユダヤ人は価値のない外国人だ」と公然と非難します。
逃げ道と遺産
自分がいきているうちにユダヤ解放が現実するかもしれないと、ハナは感じていたに違いありません。キリスト教の宣誓の言葉を変えるかどうかの投票するための話し合いがおこなわれた。その変更提案が庶民院で決定的に拒絶されてからわずか数週間後に倒れました。
ハナが死後、ルイーザはライオネルの解放運動に冷めかけていました。彼女は図書館のための仕事を通じて、多くのユダヤ人が過酷な労働に苦しんでいるのを知り、ユダヤの無料学校が必要だと感じるようになります。
無料学校は改革の真っただ中でした。1840年代の終わりに資金調達の方法を変えるということは、ユダヤ無料学校が始めて政府の視察を受け入れることを意味しています。
その姿勢に援助する人が現れて活動を大きくなっていきました。姉を失ったこともあり、貧しい者を救済する努力をこれまで以上に続けることにしたのです。
戦果を前に
ヴィクトリア朝の晩期になると、ロスチャイルド家の領袖たちが舞台を降りていきます。
エマ・ロスチャイルドが90歳で死去し、ウォルターが就寝中に他界しました。ヴィクターが三代目を引き継ぎ美術品やウォルターの動物学の資産をミリアムが継承し、兄弟の関係に亀裂が入ります。ミリアムが選ばれた理由は、動物学に関心を持ち、実験での冒険を恐れない才能があったからです。
彼女は資産や資本だけでなく、使用人の手当などの管財業務もうまくこなしていました。けれど自然史博物館への焼夷弾と油脂爆弾の攻撃が運命を変えてしまいます。
ガラスの山とともにすべて砕け散ったと意気消沈するも、三日後には、「ドイツ空軍が私を完全に自由なみにしてくれたのだ」と言って、突然ベットから立ち上がりました。