※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
目次
序章
過去50年間でもっとも重要で影響力のあった園芸植物の第1位はバラです。
カナダのアルバータ州からオーストラリアまで、多くの庭で少なくとも1本は咲いています。
結婚式、記念日、生死の人生の節目に、私たちはこの花を選ぶのです。
バラはエジプトの女王やローマ皇帝、中世の僧侶や十字軍の騎士、テューダー朝などの多くの君主たちに好まれました。
バラの癒しの特性と芳香は珍重されてきました。政治、宗教、王権、学者と、これほど高い地位を占める花はありません。
書籍情報
花と木の図書館
バラの文化誌
キャサリン・ホーウッド
イギリスの社会史家。30年以上にわたって園芸に従事しています。
原書房
いにしえのバラ
UnsplashのDaniel Pintileiが撮影した写真
現存する世界最古のバラ標本が示すのは、古代世界でバラがどのように使われていたのか、そしてどの種が存在したのかを明白にする証拠でした。
キュー王立植物園に到着した当時はロサ・サンクタと命名されましたが、現在ではロサ・リカルディーと呼ばれています。
孔子の書物によると、古代のバラは始皇帝のずっと前の時代から北京の宮廷の庭園で広くバラが栽培されていたとのことです。伝説上の炎帝神農の時代(紀元前3000年ごろ)にバラ園ががつくられたのではないかと言われています。バラははるか昔から栽培されていたのはまちがいないでしょう。
古代エジプトでは、花は装飾であると同時に、王朝の賓客への贈り物でした。衛生が管理できていない時代には香水が必須だったのです。エジプト人はバラから精油を蒸留する技術はありませんでしたが、煙を使った素朴な抽出方法は使っていました。それはのちに香水(パフューム)と呼ばれるようになります。
バラ園ロザリウム
Image by Karsten Madsen from Pixabay
原野で摘まれ、観賞用に栽培され、花びらや香りが商売に使われてきました。
バラにはバラ専用の庭が用意されることが多く、古くはペルシアのグリスターンから、イギリスのロザリウム、降らすのラ・ロズレ、アメリカのホワイトハウス・ローズ・ガーデンまで、「バラ園」の伝統は脈々と受け継がれています。
中東やインドのムガル帝国のチャハル・バーグ(四分庭園)という世界遺産では、貴重な水をふんだんに使い贅沢なバラ園を造っていました。
16世紀、17世紀のヨーロッパの庭は、形式が何より重要視され、バラの品種が入っていたものの、どう使われていたのかは様々でよくわかっていません。18世紀でもバラは市街地の庭で人気を保ち続けていたようです。
バラと文学
Image by Kim A. Tolman from Pixabay
バラは、旧約聖書から古代のギリシア人やローマ人、中国の唐、栄の時代、シェイクスピア、イギリスのロマン派の詩人たち、それ以降も、常に文学の名作を彩ってきました。
ほとんどのバラには棘がありますが、バラの棘は様々な愛の大小の隠喩をふんでいます。情欲、生死、神といったものの象徴として扱われることも多いのです。
中世のヨーロッパ文学に『薔薇物語』という作品があります。バラは女性と叶わぬ愛を象徴し、壁に囲まれた庭園を舞台に宮廷風恋愛の掟が描かれました。プラと肉な恋愛感情に、人妻であるがゆえに届かない存在の女性に対する若い騎士の熱愛を描きます。
シェイクスピアの作品にはバラがとにかく登場します。『ロミオとジュリエット』の「名前がなんだというの?バラと呼ばれるあの花を別の名前で呼んでみても、甘い香りに変わりないはず」は有名なセリフです。ときには「手袋はダマスク・ローズの香りつき」と具体的な品種名をあげることがあります。ところかしこにバラが出てきます。
19世紀前半のロマン派は、バラの魅力と掛け合わせて、はかなさと美しさを表現する比喩として使われています。また、生命力を表すこともあったようです。
花束・花びら・香水
UnsplashのStella Dimitrovaが撮影した写真
バレンタインデーがやってくると、世界中で何万本もの赤いバラが愛しい人に捧げられます。そこにこめられたメッセージに疑念の余地はなく、わざわざ言葉にする必要はありません。
19世紀に送られるバラには、白バラは「わたしはあなたにふさわしい」、ダマスクは「得がたい美」、黄色いバラには浮気心を責める気持ちが込められていたようです。
近代になるにつれて下火にはなっていきますが、自宅に持ち込みたいという欲求は消えなかったようです。ロスチャイルド家は、家族の結婚式のために温室で3000本のバラを育てました。
一年中入手可能なバラには、香りがありません。社交行事や結婚式で使われる最近のバラにはほとんど香りがないものでしょう。高級品の取引では香りの強いものを求める傾向があり、その要望に応えているようです。
香りの豊かなダマスク・ローズはインド北部とパキスタンでも大々的に栽培されており、花飾りや礼拝用の花びらとして地元で利用されています。バラ油(アブソリュート)は高価なものになっていて、スプレーやアトマイザーを使う西洋のこうするとは異なり、直接肌に塗ることができるイスラム教徒の御用達品となっています。
バラ油を混ぜた西洋の香水もあります、ジャン・パトゥの「ジョイ」、シャネルの「No.18」、ゲランの「ナエマ」、エスティ・ローダーの「ビューティフル」、どれもバラを全面に押し出したわけではないが、かなりの人気作です。
年々数種類が消えていく一方で、2016年には140種類の新種が紹介されました。世界中であいされている花と蜜月には決死終わりは来ません。
感想
サイト管理人
古くなってしまった精油や、お試し品で開けてあるような安いローズアブソリュートやローズオットーがあれば、たまに買っています。5年に1回くらいでしょうか。それでも、使えきれないというエッセンシャルオイルの10mlです。
どうしてもノルマをこなさなければならない時に、頑張れないとあれば香りを超音波で噴霧させて、部屋中バラの香りにします。ヤバいほど、脳が良い感じにトロトロになり、サクサクと作業がはかどるのです。
イスラム教徒の人が、濃いバラの匂いをつけていますが、同じ香りです。インド人が1日に5回ほど、お参りの時間だっていって、祈って返ってきたときにブワッと甘い香りが漂ってくる独特の馴染みのない匂いがバラです。
ローズゼラニウムなど、似たような香りでも効果は同じなので、10分の1くらいの値段で買えるから、セール品で叩き売りということでない場合は、似たような香りを選ぶことをオススメします。なんたって、ローズアブソリュート10mlで1万数千円しますから。一回開けてしまっただけのやつだと、日本人は衛生にこだわりすぎて売れないのでしょう、500円くらいで買えるときがあります。常に風呂や洗濯する文化のある日本人が、ここにお金を使う価値はそんなにないように思います。
そんなことを思いながらも、結構バラの香りは好きだったりします。男性はたぶん好きな香りです。女性は苦手な方もいらっしゃいます。気になったのでバラに関して読んでみるかと手に取りました。
バラの歴史が思ったより深いとか、昔からバラのイメージがそんなに変わらないとか、現在のバラにはそんなに香りがないとか、いろいろ良い発見につながったと思います。
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