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目次
書籍情報
道と駅
発刊 2023年10月20日
ISBN 978-4-642-07530-5
総ページ数 161p
木下良
神奈川大学教授などを歴任。地理学専攻。道路や駅にまつわる著書多数。
吉川弘文館
- 序章 「道と駅」の歴史に学ぶ
- 第1章 奈良時代の交通制度と道路
- 古代道路についての誤解
- きわめて企画的だった古代国家
- 全国的な計画道路網の存在
- 世界の古代道路に見る共通性
- 古代の駅
- 伝馬と郡家
- 水駅について
- 第2章 平安時代の制度と道路の変化
- 伝馬の廃止と復活
- 駅路と伝路の統合
- 全国の駅名を記す『延喜式』
- 衰えゆく駅伝制
- 第3章 宿と鎌倉街道
- 『義経記』に出てくる宿
- 宿の成立
- 鎌倉幕府の交通制度
- 鎌倉街道の道筋
- 鎌倉街道の形状
- 道路に沿う中世集落の発掘
- 第4章 江戸時代の街道
- 近世的交通の幕開け
- 五街道
- 脇往還
- 外国人に誉められた近世の街道
- 一里塚
- 橋と渡し場
- 関所と番所
- 第5章 諸街道の宿場
- 宿場の設置
- 宿場の施設
- 宿場の風景
- 第6章 明治の国道と駅
- 問屋に替わる陸運会社
- 郵便馬車と中牛馬会社などの設立
- 運送業を独占する陸運元会社
- 人力車の登場
- 国道の改修と新設
- 道路の幅
- 土木県令三島通庸が造った道
- 第7章 鉄道と駅
- 鉄道の敷設と地形
- 標準軌間と広軌・狭軌
- 鉄道忌避と宿場町の衰微
- 鉄道の駅
- 駅前集落の発達
- 産業革命の担い手としての鉄道
- 鉄道の政治路線の拡大
- 新幹線の登場
- 第8章 道路の復権
- 鉄道を補完する道路交通
- 道路の改良
- フェリーの発達
- 海底道路トンネルと架橋ブーム
- 高速自動車道の構想
- 高速道路と古代駅路との共通性
- 古代の烽とマイクロウェーブ
- 終章 「道と駅」の未来に向けて
- あとがき
- 参考文献
- 『道と駅』と木下良先生
- 索引
世界の古代道路
ローマ道は、紀元前312年にローマからカンパニアのカプアまでの195キロメートルに造られたアップア街道が最も古い道です。
イタリアでも豊かな穀倉地帯だったので、食料の輸送に活用されています。ローマの支配地域の拡大に伴ってアッピア街道も延長され、紀元前291年には長靴状の国土の踵の部分にあるブルンディシウムに達しました。
ローマはイタリア半島を統一し、ローマ道も全土に敷設されたが、植民地は中・南ヨーロッパ、北アフリカ、西アジアに拡がり、一隻の最大領域時代にはローマ道の総延長は29万キロです。
古代日本が模範とした中国では、秦王朝が全国的な道路網を完成させています。秦の馳道は大道だったけれど遺跡が不明だったため、誤りと考えられていたのです。中国は日本以上に近代までの道路は貧弱だったので、壮大な道路網があるなどとは想像できませんでした。
海外人に誉められた近世の街道
江戸時代の街道は、徒歩の交通を前提にしたものです。道幅も3m~6mほどで、路面はならして砂や砂利を敷いて踏み固める程度でした。
並木は松や杉のほかに樹種があります。夏は日陰をつくり、冬は積雪を防ぐということで、旅人にとってはありがたいものです。
このような街道の整備は、長崎から江戸に上る外国人たちには好評で、砂を敷き詰める風景美を絶賛していたりします。
ヨーロッパで見られる車輪の跡がなく、適度に水を撒いて埃になっていないことから、かなり綺麗に見えていたようです。
運送業を独占する会社
陸運元会社は、各駅の陸運会社との業務提携を進めました。太政官布告は、みだりに運送業を営むことを禁止し、営業を希望する者は陸運元会社を提携するか、入社するように指導したので、全国的に通運業務を独占することになりました。
しかし、明治12年の太政官布告によって、通運業の自由が計られることになり、20年代にんると次第に鉄道に長距離運送を奪われるようになりました。
道路の改良
1970年代以降は、交通輸送量に自動車が占める割合は急速に上昇し、1985年には内航海運も主流になりました。
従来の街道は狭くて直角に曲がることも多く、自動車の通行には不向きでした。自動車販売店など自動車交通に関連する業務がバイパス沿いに立地され、マイカー時代になり旧市街地や商店街などが駐車場を備えた店舗やレストラン、パチンコ店が並ぶようになったのです。また、遊園地などの娯楽施設ができると、道路に渋滞ができようになりました。
過疎地に車が入り人口流出を止められなくなって過疎を進行させることにも繋がりました。路線バスも減り、過疎地問題が浮上していきます。
問題も出てきましたが、自動車交通に伴う道路関係施設も増えて、ドライブインやガソリンスタンド、「道の駅」なども設けられてインフラが整い便利になっていったのです。