目次
書籍情報
タイトル
新型コロナワクチン 本当の「真実」
著者:宮坂昌之(みやさか まさゆき)
大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授。1947年長野県生まれ。京都大学医学部卒業、オーストラリア国立大学院博士課程修了。金沢医科大学血液免疫内科、スイス・バーゼル免疫学研究所、東京都臨床医学総合研究所、大阪大学医学部教授、同大学大学院医学系研究科教授を歴任。医学博士・PhD。著書に「分子生物学・免疫学」(医学書院、監修)、「免疫と「病」の科学」「免疫力を強くする」「新型コロナ 7つの謎」(いずれも講談社ブルーバックス)など
そで より抜粋
出版
講談社現代新書
内容
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が2020年1月にパンデミックを起こしてから1年半以上が経過しました。2021年7月27日時点で、確認されているだけで感染者は1億9471万人、死者は417万人に達しました。厄介なことに、世界各地で次々に感染力の高い変異ウイルスが誕生しており、これまで比較的感染者が少なかった地域でも感染が広がっています。
2021年に入ると、危機を打開する新型コロナワクチンが登場しました。ウイルスが報告されてから1年も経過しないうちに、有望なワクチンが次々に登場しているのです。ワクチンには「感染予防」「発症予防」「重症化予防」がありますが、ファイザー社やモデルナ社が開発したmRNAワクチンはこの3つとも効果がきわめて高いのです。
両ワクチンの臨床試験の暫定結果で90%を超える予防効果がみられたと発表しました。インフルエンザ向けワクチンの有効率は40~60%程度しかないことを考えると、これは驚くべき数字です。
最初はワクチンに対して慎重な意見を持っていたため、毎日新聞の取材で「私は当面はワクチンを打たない」と明言しました。しかしその後、世界に先駆けて摂取を始めたイスラエル、英国、米国のデータが集まってきました。
ビックデータの分析結果は従来のワクチンと同程度のリスクと出ており、懸念された副反応は深刻なものではないと分かってきました。ワクチンはきわめて優れていることがわかりました。こうした情報を総合的に判断して、私は、大きく意見を変えることとなりました。
個人的な見解ですが、「打たないという選択肢はない」というのが率直な感想です。
新聞やインターネット、書籍の情報は化学的なエビデンスが著しく不足しているものが多く、「嫌ワクチン本」はお粗末な内容となっております。
この本は免疫学者である著者が、新型コロナウイルスとワクチンに関する最新の科学的知見を分析して、一般の方々にぜひ知っていただきたい情報をまとめたものです。
新型コロナウイルスとは
新型コロナウイルスは高病原性ウイルスの仲間
人に感染するコロナウイルスとして、SARSウイルスMERSウイルスがあります。SARSウイルスは感染すると、致死率が9~16%とかなり高く、怖いウイルスです。中国南部でアウトブレイクし、香港、台湾、シンガポール、カナダにも広がりかけましたが、約8000人が罹ったところで、流行がストップしました。MERSウイルスはサウジアラビアを中心に広がり、当初の致死率は30%を超えるものでした。感染者の隔離策が功を奏して、感染は収束しました。
新型コロナウイルスの特徴
一般的な風邪ウイルスの場合は、感染した数日以内に発症するのが普通です。新型コロナウイルスに感染すると、平均5日前後で発症し、潜伏期間は最長で14日に及びます。感染していても、2週間も症状が現れないこともあるのです。
COVID-19は感染しても症状が現れない方が感染者の5割近くいます。こうした方の中には他人に感染させるだけのウイルス量を排出し、無自覚のまま感染を広げているケースがあるようです。
新型コロナウイルスは、発症する3日前から他人を感染させるのに十分なウイルス量を排出していることがわかりました。発症してからも5日間ほど感染させ、約一週間に渡って他人に感染させる危険があるわけです。
PCR検査はウイルス感染者をスクリーニングするきわめて有用な検査ですが、症状が現れる前にPCRで陽性になる確率は62%以下と低く、発症してからも一番高くて80%くらいです。PCR検査では発症から5日後以降も過半数以上の陽性率を検知します。7日以降は感染力がほぼなくなっているにもかかわらず、多くの医療機関でPCR検査陰性を退院の条件としているため、「コロナ病床」がすぐに満床になってしまい、「医療崩壊」を招いています。
感染したときの症状は、発熱、呼吸器症状(席、痰、息切れ、咽頭痛)、頭痛、筋肉痛などです。ただし鼻水、鼻づまりなどの頻度は低いといわれています。
世代で著しく異なる重症度が厚生労働省のデータで出ています。30歳代の重症化率を基準(1倍)とすると、40歳代4倍、50歳代で10倍、60歳代で25倍、70歳代で47倍、80歳代で71倍、90歳以上で78倍と50歳以上になると重症化リスクが10倍以上に跳ね上がります。
新型コロナウイルスの感染対策の効果
2020年秋から2021年春にかけて、インフルエンザで医療機関を受診した患者は1万4000人にとどまりました。インフルエンザの患者数は毎年約1000万人と言われていて、大まかに計算して1000分の1程度まで激減したことになります。
スーパー・スプレッダー
1人で多くの人に感染させる能力がある患者のことです。
スーパー・スプレッダーになりやすい要因として、「年齢」、肥満度を表す指数「BMI」「新型コロナウイルス感染症の経過」という3つがあり、高齢でBMIが高いほどなりやすいと報告があります。こうした人をいち早く見つけることができれば、感染拡大の勢いを止めることが可能になります。
スーパー・スプレッダーまだ未解明なことも多いため、詳細な解析を進める必要はあります。
新型コロナウイルスの構造
新型コロナウイルスは、塩基配列、アミノ酸配列はすべて明らかになっています。
サイト管理人
抽象的なことをいうと、新型コロナウイルスはスパイクタンパク質という細胞内行の切符を持っていて、ヒトの細胞の表面にあるACE2というタンパク質の停車駅につくと、TMPRSS2の案内係が切符を切って細胞内へ扉を開き、ウイルスは細胞内へ侵入することができます。 この反応はわずか10分程度です。
ヒトの細胞へ侵入し、タンパク質合成工場を乗っ取ると、自分のコピーを大量に作り出して、細胞外に放出します。普通のウイルスであれば、Ⅰ型インターフェロンというタンパク質の警備ロボットが配備されて、体中に警報をならし、私たち免疫系によって抑え込まれていきます。新型コロナウイルスの場合はこのⅠ型インターフェロンがうまく作られないのです。
特に優先してワクチン接種を受けた方が良い方
新型コロナウイルスは、肺、腸にも感染し、口腔粘膜、鼻腔粘膜、血管内被細胞といったACE2が通るところ全てに炎症が広がっていきます。
免疫力が低下している高齢者や、基礎疾患があると、重症化リスクが高くなります。なので、優先的にワクチン接種を受けることが認められています。以下に記述
- 慢性の呼吸器の病気
- 慢性の心臓病
- 慢性の肝臓病
- 慢性の肝臓病
- インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病又は他の病気を併発してる糖尿病
- 血液の病気
- 免疫の機能が低下する病気
- ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている
- 免疫の以上に伴う神経疾患や神経筋疾患
- 神経疾患や神経筋疾患が原因で新他の機能が衰えた状態
- 染色体異常
- 重症心身障害
- 睡眠時無呼吸症候群
- 重い精神疾患や知的障害
- BMI30以上を満たす肥満の方
新型コロナワクチンは本当に効くのか?
先進国ではワクチン接種を競うように勧めており、日本は全人口比で役37%にとどまっています。ですが、「ワクチンの対策が遅れている、コロナ敗戦国だ。」と批判を受けておりますが、ワクチン確保については、日本は優秀な成績を収めていて、2021年6月上旬時点で、ファイザー製が9700万人分、モデルナ製2500万人分、アストラゼネカ製が6000万人分に達しています。
ファイザー社とモデルナ社どちらのワクチンを打てば良いのか?
日本国内で摂取可能なのは以下の2つのワクチンです。
- ファイザー社 ワクチン名:コミナティ 備考:mRNAワクチン 摂取回数2回 摂取間隔3週間
- モデルナ社 ワクチン名:COVID-19ワクチンモデルナ 備考:mRNAワクチン 摂取回数2回 摂取間隔4週間
①発症予防の効果
発症者が減少する効果がどのくらいあるのか?といった指標です。
ファイザー社とモデルナ社が臨床試験での有効率を計算しており、ファイザー製95%、モデルナ製94%となっています。
季節性インフルエンザワクチンの有効率30%~60%と比べても非常に高い数値です。
②重症化予防の効果
死亡・入院などの重症患者が減少する効果がどのくらいあるのか?といった指標です。
これについても、ファイザー社とモデルナ社ともに高い効果があるので、どちらを選んでも問題は無いでしょう。
ファイザー社は海外6か国で約4万人、モデルナ社は米国の約3万人の被験者を対象に大規模な臨床試験を行い、2回ワクチンを接種した後、症状がどの程度抑制されるかを比較しました。その結果、きわめて高い効果が証明されています。
③感染予防効果
ワクチンを打った人が感染しない、周囲にも感染を広げない効果はどのくらいあるのか?といった指標です。
発症している人を判定しているのに比べて、感染している人を判定するのは困難です。
世界に先駆けてワクチン接種を行ったイスラエルで得られているデータを見てみると、ワクチン接種者がPCR検査で陽性となっても、ウイルス排出量が非常に少なく、感染が起きても非常に軽くて済み、ワクチン接種者全体でPCR陽性者数が激減していることを見ると、明らかに感染予防効果があることが分かります。
5月末から新規感染者がイスラエルで増えていますが、大半は未接種者です。
予防効果はいつまで続くのか?
海外の最新のデータを見る限りでは、mRNAワクチンの効果は少なくとも6か月以上は持続することがわかっていて、おそらく1年間ぐらいは感染を防ぐことができるレベルの(中和抗体の残存)免疫効果持続すると考えられます。
破傷風、風しん、はしか、ジフテリアなどに対するワクチンの効果は50年、
子宮頸がんのワクチンでも30年以上効果あります。
一方で、
百日咳ワクチンは3年程度と短い、
インフルエンザワクチンは4か月程度という短さです。
新型コロナウイルスは、インフルエンザと同じRNAウイルスです。インフルエンザワクチンよりは効果が持続します。
インド型変異株(デルタ株)にもワクチンは有効なのか?
南アフリカ(ベータ)、ブラジル(ガンマ)、インド(デルタ)型変異株に対してはワクチンの効果が減弱する可能性が危惧されています。
イギリスにおいて、ファイザー社ワクチンとアストラゼネカ社のワクチンとも変異株の流行をよく抑えていることは報道しており、2回目の摂取をした時の変異株に対する中和抗体のでき方を多くの人で検証したデータを見ると、各種変異株に対して十分対応が可能であることが分かります。
有効率って何?
ワクチンの効き目の客観的な指標となるのが「ワクチン有効率」です。
100人にワクチンを打ったら90人に効果があると解釈しがちですが、少し違います。
ワクチン有効率=(1-$\frac{接種者罹患率}{被接種者罹患率}$)×100
このような式で表されます。
ワクチンを打たなかった人の中でウイルスに罹った人が100人中50人いたとすると、
被接種者罹患率=50となります。
ワクチンを打った人の中でウイルスに罹った人が100人中5人いたとすると、
接種者罹患率=5となります。
つまり、
ワクチン有効率=(1- $\frac{5}{50}$)×100=90%
となるわけです。
ワクチン有効率とは、ワクチンを打たなかった人が、もしワクチンを打っていたら、ワクチンを打たなかった人の中でウイルスに罹る人が90%防げていましたよ、という数字になります。50人中45人は罹らなかったということです。
上記の数字を参考にすると、ワクチン有効率が90%だとしたら、100人にワクチンを打てば、単純計算で95人に効果がある。ということです。
新型コロナワクチンは安全か?
高い効果と安全性が確認された新型コロナワクチンですが、決してノーリスクではありません。可能性は非常にひくいものの、重篤な副反応が起こることもあります。そうした副反応のリスクを事前に把握したうえで、ワクチン接種することが望まれます。
ワクチンの場合の副反応とは、「免疫を付与する」以外の作用のことを言います。大なり小なりでてくる反応です・
懸念される3つの重篤な副反応
①アナフィラキシー
摂取直後に怒る重篤な副反応です。
急激に全身に起こるアレルギー反応の一種で、皮膚や粘膜が痒くなったり、息が苦しくなったり、吐き気がしたり、立ち眩みが起きたりします。この状態が進むと、血圧が下がり、意識障害が起きるようになります。この状態をアナフィラキシーショックといいます。
アナフィラキシーショックは、生命の危険をともなう緊急事態で、エピペンと呼ばれるアドレナリンの筋肉注射が必要となります。医師の迅速な対応が必要です。
ファイザー社でアナフィラキシーが起きた回数は100万回に約5回です。
モデルナ社でアナフィラキシーが起きた回数は100万回に約3回です。
アナフィラキシーが発生した人のなかで、アレルギー反応の概往がある人が77%
摂取後15分以内が76%
摂取後30分以内が89%
全ての例で速やかに治療が施されて、回復しています。
アナフィラキシーに関してのリスクはかなり低いでしょう。
ただし、過去にワクチン接種を受けて以下の症状があった人はワクチンの接種が受けられません
- アナフィラキシーが起きた人
- 全身性の皮膚・粘膜症状
- 喘鳴 ゼーゼー、ヒューヒューと呼吸が荒くなること
- 呼吸困難
- 頻脈
- 血圧低下 など
②脳炎、神経マヒ
一部の生ワクチンでは、接種後に脳症または脳炎がまれに起こることがあります。
ファイザー社とモデルナ社のワクチンでは脳炎の報告はほぼありません。顔面マヒが出たという報告がありますが、非常に少なくワクチン以外の理由によって起きた可能性もあります。
今後も注意していくとこは大切ですが、現時点であまり心配することはありません。
③抗体依存性感染増強
抗体依存性感染増強(ADE)は、ワクチン接種でできた抗体が、接種後にウイルス感染したときに、かえって病態を悪化させてしまうというものです。
ファイザー社とモデルナ社のワクチンでADEの報告はないようです。
軽微な副反応の発生頻度はやや高め
ファイザー製のワクチン副反応
- 疼痛 1回目86.6% 2回目79.3%
- 疲労 1回目40.3% 2回目60.3%
- 頭痛 1回目32.8% 2回目44.0%
- 筋肉痛 1回目14.3% 2回目16.4%
- 悪寒 1回目25.2% 2回目45.7%
- 発熱37.5℃以上 1回目14.3% 2回目32.9%
- 膨張 1回目12.6% 2回目8.6%
- 関節痛 1回目14.3% 2回目25.0%
- 発赤 1回目13.4% 2回目10.3%
モデルナ製のワクチン副反応
- 疼痛 1回目82.7% 2回目85.0%
- 疲労 1回目18.7% 2回目63.3%
- 頭痛 1回目13.3% 2回目47.6%
- 筋肉痛 1回目37.3% 2回目49.7%
- 悪寒 1回目5.3% 2回目50.0%
- 発熱38℃以上 1回目3.0% 2回目40.1%
- 膨張 1回目10.7% 2回目16.3%
- 関節痛 1回目8.0% 2回目32.0%
- 発赤 1回目2.0% 2回目17.7%
副反応が多いのは確かなようです。
なぜ副反応が起こるのか?完全時に見られるような発熱や頭痛、全身の倦怠感が表れているのは自然免疫が働いていることを表しています。
mRNAからは、病原性や感染能力に関わる要素をあらかじめ取り除いているため、ワクチン接種で感染することはありません。
若いにはある程度副反応がありますが、彼らには強力な「免疫力」が付与されることになるので、少しの我慢が必要かもしれません。
我慢できない発熱や頭痛があった場合は
あまりにも頭痛や発熱が辛い場合には、解熱薬や鎮痛薬を服用しても構いません。
解熱薬や鎮痛薬の中には、炎症を抑制する作用を持つ、アスピリン、ロキソプロフェンやイブプロフェンなどがあり、痛みや発熱を軽減するのに役立ちます。
ただし、副反応を恐れてワクチン接種前に予防的に服用するのはオススメしません。免疫反応の立ち上がりを阻害する可能性があるからです。
発熱をした場合は、1日は自宅待機をしたほうが安心です。もし、発熱が2日以上続いたり、症状が重い場合は医療機関に相談したり、受診してみてください。
発熱や頭痛はかなりの頻度で起こりえる副反応なので、あらかじめ接種後に休日を取得したり、重要なイベントを避けるなどの準備をしておくのが良いでしょう。
接種直後は感染するリスクがある
すぐに自然免疫や獲得免疫が強化されるわけではないので、接種直後は感染するリスクはあります。
ワクチン接種1回目の12日ほど経てば感染する割合が低くなったそうです。
接種後10日ぐらいたたないと感染防御に必要なレベルまで上がらない人が多いようです。
感染者は、新型コロナウイルスに対する免疫反応が1度体内で指導していることから、日本でも米国でもワクチンは1回接種するのみで良いとされています。
妊娠中・授乳中・妊娠計画中でもワクチンを接種できるのか?
米国では、すでに10万人以上の妊婦が新型コロナワクチンを接種しています。発熱や倦怠感などの副反応の頻度は妊娠していない女性と同程度であり、胎児や出産への影響は認められませんでした。
各国で妊娠中の接種について意見が分かれていますが、接種のリスクより感染のリスクの方が大きいため、今ではほどんどの国が希望者には接種をためらうべきでないとしています。
妊娠中に感染すると、免疫応答は抑制される傾向になるので、重症化するリスクは確かにあるように思います。
ニュースに騙されるな。副反応と有害事象を区別せよ!
厚生労働省は新型コロナウイルスのワクチンの接種を受けた約2500万人のうち、これまでに356人の死亡を確認したと発表しました。この数字だけみると怖いかもしれません。
ただ、「副反応」が原因で死亡しているのではないかもしれません。接種と関係のない偶発的な事象の「有害事象」を区別する必要があります。
日本で優先して新型コロナワクチンの接種対象になったのは、ご年配の方です。ワクチン接種とは関係のない脳卒中や心不全、虚血性心疾患でお亡くなりになる方も少なくありません。
サイト管理人
すごい、分かる。
356人のうち「誤嚥性肺炎」で亡くなった人がどれだけ多いことか…
有料老人ホーム、特別養護老人ホームに勤めている方は良く理解していると思いますが、
食べ物が肺に入ってしまっていて、気づいたときには誤嚥性肺炎になっていた。みるみる元気がなくっていって、静かに心肺停止した。体感温度が狂っていて厚着をして寝るものだから、汗を大量に流してしまうので、介護・看護スタッフの良心でクーラーをいれてしまったがために頭と首の静脈を冷やすことになってしまって、脳の血管が切れてしまう。などなど、色々ありますよ。色々。
ワクチンの副反応が原因である可能性があると判断されたものはたった1件。
ワクチンとの副反応が原因でないと判断されたものは7件。
わからないと判断されたものは451件。
直接死亡の原因となった症状の因果関係を断定することはできません。
ワクチンによる、小さな炎症が原因で誤嚥した…かもしれません。
こんな「灰色判定」ばかりのデータの一部を使って、メディアや「嫌ワクチン」に凝り固まった専門家は煽り立ててくるわけです。
副反応は深刻なものではない
ファイザー製、モデルナ製ともmRNAワクチン接種による重篤な副反応のリスクは低いレベルにとどまっています。
疼痛、発赤、紅斑、疲労、頭痛、発熱などの軽微な副反応はやや多いものの、感染・発症・重症化の予防効果は副作用リスクをはるかに上回ります。特に重症化率が高まる60歳以上の高齢者は、ワクチン接種により感染リスクが大幅に低下するので、積極的に接種する意味があります。
「数年後に何か副反応が出る可能性は否定できるのか」などの可能性はほとんどないであろうと考えています。ワクチンによって作られる抗体は自己のタンパク質であり、異物ではありません。できた抗体が自己の組織を攻撃する可能性もほぼありません。
ワクチンを打つことはノーリスクではございません。アデノベクターワクチンで血小板に対する対抗ができるという報告があります、100万回に10~20回程度で、ワクチン接種後、通常2週間以内です。長期的な副反応ではありません。
科学的エビデンスに基づく正しい情報を参考にして、打つか打たないかは最終的にご自身で判断してください。
異なるワクチンを接種してはいけないのか?
どうして、同じ新型コロナワクチンを2回接種することしか行われていないかというと、臨床試験などのデータが存在しないからです。
免疫学的に考えれば、他社のものと組み合わせても問題が無いはずです。
原理的には、同じスパイクタンパク質に対する高原刺激が繰り返されることになるので、強い免疫効果みられるはずです。
最近では、わざと異なる新型コロナワクチン接種をした場合の臨床試験が行われ始めていて、より高いレベルの中和抗体ができることが証明されています。
ハイブリッドなワクチン接種の安全性が日本で認められれば、ワクチン接種が広まる可能性が広まります。在庫のあるワクチンの接種を受けてしまい、後日から人気のあるファイザー製、モデルナ製の予約を取り付けるといった事が期待できるかもしれません。
ワクチン接種で平穏な日常はもどるのか?
集団免疫はいつ成立するのか
ワクチン接種が進むことで、感染が収束方向に進むとして、それにはいったいどの程度の時間がかかるのか、参考になるのが、集団免疫という考えです。
社会が集団免疫を獲得するためには、その社会の中に一定以上の割合で免疫保有者が存在することが必要です。この最低限の割合のことを「集団免疫閾値」といいます。
個々の感染症の感染の強さを表す「基本再生産数」R0があります。
R0:1人の感染者がまわりの免疫のない人のうち何人に感染させうるのかを示す数字です。
R0>1 感染が拡大します。
R0<1 流行は広まりません。
現時点では新型コロナウイルスの基本再生産数がどの程度なのかはめいかくではありません。
パンデミック発生当初、 基本再生産数2.5 といわれていた。
感染力の強いデルタ株は 基本再生産数5以上、最大で7 といわれています。
仮にアルファ変異株の基本再選算数が5とすると、風疹やおたふく風邪の基本再生産数に匹敵します。ここから類推して、デルタ変異株を基準とした場合、集団免閾値は75~86%必要となります。2021年7月時点でこれだけ高い集団免疫閾値を達成した国はほとんどありません。
イスラエルのワクチン接種と新規感染者数の推移を見てみると、ワクチン接種から2か月後ぐらいすると明らかに大幅に減少していることがわかります。ワクチン接種率が約6割の時点(4月11日)で、1日当たりの新規感染者数は122名。イスラエルの人口は900万人で東京の人口の役3/5。それで、この新規感染者数です。このままワクチン接種が進めば、結果として新規感染者も減り、死者も大きく減るのです。
鍵を握る若年層と嫌ワクチン感情
社会全体にワクチン接種による強い免疫が付与されるようになるのはどうも当分先になりそうな感じです。
2021年7月27日時点で2回接種が終わっている人は全人口の24.8%しかありません。(現在は50%を超えています)社会全体に免疫が行きわたるような状況からはほど遠い状態です。
(実は、著者が思っているスピードより早くワクチン接種が進んでいます。)
世界に先駆けて国を挙げたワクチン接種をすすめたイスラエルの例でいくと、徐々にワクチン接種のペースが落ちてきています。
原因は若い人10~20代の接種が進んでいないという背景があります。若い人の中には「万が一新型コロナにかかっても、ただの風邪のようなもので重症化しない。じゃあ、副反応があるワクチンを打ちたくないや。」という思いがあるのかもしれません。
若い人とはいえ、重症化する人は確実に存在します。後遺症も深刻です。感染から回復後も1~2割の人たちに呼吸困難、疲労感、認知障害が残り、社会復帰に困難を感じることが多いようです。単なる風邪ではこのような症状はおきません。新型コロナウイルスはいったん感染するとあとが面倒です。軽くかかった後で、免疫が都合よくつことはありません。
周りがワクチン接種を受けていれば自分はいいのでは?
自分は感染しやすい上に、他人に感染させる能力が高いので、ノーです。
「ワクチン接種せずに同じ恩恵をうけられるのなら、自分もそうしよう。」という考えが広まると、ワクチン接種の進行度にブレーキがかかる恐れがあります。
国をあげて、自然免疫を上げようとした米国、英国が過去にどえらい失敗をしています。何十万人と死者をだしています。
自然感染よりもワクチン接種のほうが再感染しにくい?
初回感染でできている抗体量には個人差があり、ワクチン接種ほど強い均一な抗体産生ではありません。
高齢者の方はもちろん、若い人でも不規則な食生活や重労働、受験勉強にハードな部活活動などにより、「免疫力」が低下している人がおります。自然感染で得られる免疫は確かなものではありません。
ワクチン接種を受けて、効率的にかつ低リスクで獲得免疫を得たほうがはるかに合理的と考えます。
個人のワクチン接種が社会を救う
新型コロナウイルスの感染拡大を食い止める確かな方法は、ワクチン接種しか方法はないように思います。
個人が獲得免疫をを得ることは、その病気にかかりにくくする人が増えることでもあります。その病気に接する機会を減らすことにより、社会全体で感染拡大の阻止も可能にすることができるのです。
行動制限がなくなるのはいつなるのか?
著者は、「公衆衛生や疫学の専門家ではないので、感染が収束する時期は予想できません。」とおっしゃっています。
おおむね、致死率が十分に下がるであろう2023年ごろだろうと予測しています。
今できることはしっかりと2回のワクチン接種をすることです。
他にも情報がたくさん載っています。
- 免疫の強さは、自然免疫と獲得免疫のバランスによって決まる
- ヘルパーT細胞司令官とキラーT細胞の働き
- 獲得免疫細胞のレセプターは細かいところまで異物認識できる
- リンパ球と2回目の感染で病原体が増える前にやっつけられる原理
- 結核ワクチンにより、さまざまな感染症にかかりにくくなる
- こどもたちが感染しにくいのは、小学校を卒業するまでに色々なワクチンを接種するから
- mRNAワクチン開発の話
- mRNAワクチンが働く仕組み
- 日本のワクチン開発がなぜ遅れたのか?
- 日本の情報リテラシーについて
- 日本のメディアの科学リテラシーは低い
- コロナ・コメンテーターの真贋 読売テレビで宮沢考幸氏が発言したことなど
- 悲観的なワイドショー テレビはシナリオ通りに話す人ばかりを採用する 数々の実名がでてきます
- フェイクニュースの見分け方
- 嫌ワクチン本の検証
- 近藤誠氏の偏見
- データが古い
- ワクチン接種後の死亡実例の分析
- 「医師が教える新型コロナワクチンの正体」著者:内海聡氏 かなりヤバい
サイト管理人
創薬ベンチャーのアンジェスがDNAワクチン、
塩野義製薬が組み換えタンパクワクチン、
KMバイオロジクスが不活化ワクチン、
第一三共がmRNAワクチンの開発を進めています。
国産ワクチンの開発、期待しています。
サイト管理人
科学リテラシーが低いのはもう国民性かもしれないですね。理系が少なすぎるし、女性に至っては極少数です。
メディアで司会をしているかた、ブログでコロナウイルスのしょーもない記事を書いているひとも文系の人がおおいのではないでしょうか?
サイト管理人
もう、コロナワクチンについては、この1冊とNewton読んどけばokじゃないかな。と思うほどだった。マジで良い本だった。
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