※サイト管理人が興味をもった記事を引用します。
目次
経済制裁から経済戦争へ
監修
四つの余波
ロシア経済は対ロ制裁で直接的な衝撃を受けています。2022年のロシアの国内総生産(GDP)は少なくとも9~15%縮小すると予測されているのです。その予測を超えて、もっと深刻になる可能性もあります。
制裁の余波を受けているのはロシアだけではありません。隣接する国や市場への余波、民間企業の資産引き上げによる余波、ロシアの対抗措置のエスカレーションによる余波、世界経済へのシステミックな余波の4つの余波があります。
原油、天然ガス、小麦、銅、ニッケル。アルミニウム、肥料、金などの価格が高騰しました。世界のインフレ率を押し上げるでしょう。
多くの分野で欧米系大手企業数百社がロシアから撤退し、欧米の民会人による大ボイコットという事態も引き起こされています。
ロシア政府は、さまざまな方法で制裁に対抗しようとしています。ロシアの原材料輸出を制限する大統領命令を3月9日に出しているのです。
自動車メーカーや半導体メーカーが扱う、ニッケル、パラジウム、工業用サファイヤといった重要鉱物の輸出を制限するかもしれません。
制裁の余波を管理するには
産油国のイランやベネズエラと部分的に手を打つことで、ワシントンは石油市場の緊張を緩和しようとしています。
ヨーロッパにとって、経済戦争の余波を管理していく課題は特に大きいのです。ロシアとの貿易やエネルギー上の結びつきが非常に強いからだけでは説明がつきません。
ユーロで形成された政治経済システム圏内では、輸出に焦点を当てた成長戦略をとってきました。輸出のための外需を必要とするのです。
経済戦争を戦うためには、余波にさらされる人々への経済的支援を提供する代償は支払うべきでしょう。物質面が満たす経済政策がない限り、ロシアへの制裁は時間の経過とともに崩れていきます。
まとめ
●対ロ制裁の余波を受けて、報復による重要鉱物などの輸出制限がされるかもしれない。
●ヨーロッパにとって、余波の問題は大きい。
●余波で苦しむ人への政策がないと、ロシアへの制裁は続かない。
秩序の崩壊と再生
ー生き残るのは米中どちらの秩序か
監修
民主的秩序VS.中国秩序
中国が秩序に力を入れるにつれて、国際的な反感が強まっています。ピュー・リサーチ・センターが2021年に実施した調査では、アメリカ、ヨーロッパ、アジアでおよそ75%の人が中国を「好ましくない」と考えているようです。
そんな反中国感情がある国々は依然として中国との貿易に依存しています。
アメリカと同盟国は中国を冷戦後にWTOに加盟させ、市場アクセスを得ました。しかし、いまや、アメリカとその同盟国にとって開かれている市場は弱点となっています。
中国は世界のインターネットに自由にアクセスして、知的財産を盗み共産党プロパガンダを拡散できるのです。非自由主義的方向へと向かわせています。
米海軍シーレーン・パトロールに便乗して世界の海洋を航海し、自国製品を輸出しています。その側らで、中国軍を使って東シナ海と南シナ海の広い範囲を偵察しているのです。
この中国の危険性にアメリカと同盟国は気づいていて、中国を排除した新秩序を構築しようと試みています。
新しいルールを受け入れない国々を排除すると脅し、新秩序を定着させています。国防費と軍事同盟を結ぶことで、中国との対抗バランスをとり、中国外の世界を再編しつつあるのです。
対中封じ込め秩序
主要民主国家は、重要な分野における進展を加速させています。
2021年に発表された「日米競争力・強靭性・パートナーシップ」のように共同研究を立ち上げたケースもあります。
中国の製品や融資に代わる製品や資金を提供することで、中国の経済的影響力を弱めようとする計画もあります。
中国の一帯一路に代わるものとして、G7は「ビルド・バック・ベター・ワールド」と称してインフラ資金を提供しようとしています。
イーストラリア、インド、日本は共同で「サプライチェーン・レジリエンス」構想を開始し、自国企業が中国から事業を移転するためのインセンティブを提供しています。
これらの取り組みは、民主的秩序に向けた積極的ビジョンです。非リベラル的な行動には実際にペナルティを科すことを想定しています。
システムの衝突
国際秩序の構築の歴史は、衝突するシステム間の野蛮な競争に他なりません。
米中がお互いに対抗して自らを定義し、独裁と民主主義の聖徳として具体化しつつあるのです。
中国は排他的経済圏を確保し、民主国家に混乱をもたらす独裁的同盟国を支援することで、自国を守ろうとします。
米国と同盟国は、成長した経済圏の北京を排除して民主的な秩序を構築するように、迫られることとなるのです。
この衝突が21世紀を規定し、世界を分割することになるでしょう。
今のところ、中国よりはるかに多くの富と軍事資産を持ち、将来の成長を見込めるアメリカサイドが有利です。
習近平は2030年代初頭には、生きていたとしても80代になっています。そして高齢者の人口が1億3000万増えるとの予測です。
中国の海外融資が返済期限を迎えますが、多くが返済不能に陥るでしょう。
世界の富裕国から断固とした反対を前にして、独自の国際秩序を長く維持できるとは考えにくいのです。
中国に立ち向かうために、膨大な経済コストが短期的に伴います。北京と長期的なビジネス関係を維持した場合に比べれば大したコストではないかもしれません。しかし、経済的損失を考えて中国と対立しようと結論を出す国も存在しないのです。
まとめ
●中国の不穏な動きを警戒し、中国を外した新しい秩序を定着させようとしている。
●中国が提供する代わりのものを輸出し、中国と貿易させない対策をしている。
●米中の衝突は世界を2分割させる出来事だが、はっきりと結論を出すにはリスクが大きすぎる。