※読書推薦人が興味をもった部分を紹介します。
はじめに
数字は、「不足を見るためのもの」です。次の行動を考えるための材料になります。
数字は、「客観的事実」を表しています。周囲との認識の差を縮めることができるのです。
数字を追った結果、振り返ると個性が出るものです。アスリートは、自分らしさを最初に出しているわけではありません。
あなたが何者でも、「数字で評価される人」になってください。
目次
書籍情報
タイトル
数値化の鬼
「仕事ができる人」に共通する、たった1つの思考法
著者
安藤広大
株式会社識学代表取締役社長。
株式会社NTTドコモを経て、ジェイコムホールディングス株式会社で取締役営業副本部長等を歴任しました。2013年に独立しています。
2015年に識学を広めるために、会社を設立しました。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広まりました。2022年3月現在で、約2700社以上の導入実績をのこしています。
出版
ダイヤモンド社
「仕事ができる人」になる5ステップ
数値化された評価を受け入れ、自分の不足を数字で表すことを理解しましょう。理解したら次のステップへ移ります。
- 「行動量」を増やす
- 「確率」のワナに気をつける
- 「変数」を見つける
- 「真の変数」に絞る
- 「長い期間」から逆算する
「行動量」
ビジネスの世界では、結果を出しているひとが勝つのです。残業をしていないのに、大事な場面ではうまくいく人はいないでしょうか?
わざと不真面目になることはありませんが、結果を出す人は「仕事ができる人」に間違いありません。
普段どれだけ遊んでいようが、試合で活躍する選手になればいいのです。そういった要領の良さを身につけて下さい。
識学の教えには、「プロセスを評価しない」という考えがあります。目的地さえ決めてしまえば、たどり着き方は自由なのです。
数を打つ
行動量は、その名のとおり、「何回したか」「1日に何時間できたか」という数字です。
時間というフレームで考えるのは、ダラダラ長時間やるのでは意味がないからです。行動までに時間がかかるのは、3つの理由が考えられます。
- 何をすればいいかが明確じゃないから
- 失敗したくないから
- 上司やリーダーのいうことが納得できないから
計画や目標の中に数字を入れること、失敗したからといって大罰があるわけではないこと、理由は遅れてやってくること、これを頭に入れておきましょう。
まずは、「言われたとおりにやってみる」ことです。
数をこなすのは基本中の基本です。有名デザイナーも、おどろくほどの量をこなしています。こなした量のいくつかが圧倒的に成功すると、あたかも「それしかやっていない」ように見えるのです。
行動量は「見えない努力」です。有名な作品を作り出している人ほど、多くの失敗作も生み出しています。「あの人はうまくいってばかり」と見かけにダマされないことです。
誰よりも数をこなしましょう。
KPI
KPI(Key Performance Indicator)とは、目標を達成するための数値化された指標のことです。
1日10個ずつ、週に2回などの具体的な数値が設定されていないとKPIの意味がありません。客観的にみたときの意見にズレがなくなります。
部下からすると、「KPI」のほうが目標になってしまうことがあります。マネジメントの失敗例として、よく起こりがちです。
設定したKPIは、大きな目標の達成につながらないと意味がありません。大きな目標を達成するための行動を探す必要があるのです。
一度設定したKPIにとらわれることなく、大きな目標に向かっている意識があるかどうかが試されるのです。
意味は遅れて理解できる
日本人の全員が物事に「意味」を求めすぎています。こどもでも「それって何か意味あるの?」と言います。
疑問に思うことを1つ1つ確かめている人より、与えられたことを素直にやる人のほうが仕事は上達します。成長した後で疑ってみることが大切なのです。
もう一度見直してみましょう
- 計画を立てるだけで働いている気になっていないか
- 心理的な問題で「行動量」が減っていないか
- 1日ごと、1週間ごとの数値化と見直しをしているかどうか
「確率」はあなたを止める
ひとによって、時間差こそあれ、右肩上がりに成長するものです。その先には「伸び悩み」の天井が現れます。
今の時代は、大企業に勤めていても路頭に迷うリスクがある時代です。若いひとにとって、入社した会社で死ぬまで働き続けるのは、幻想だと思っていることでしょう。
その危険性にうすうす気づいているのなら、成長への意識を再起動させて下さい。
成約率80%の人が10件中8件の契約を取ってきて、成約率50%の人は、50件中25件の契約を取ってきたとします。
後者のほうが、評価されなければなりません。しかし、「量」より「質」を上げることが目的になってしまっていては大問題です。
これを間違えてしまうと、「働かないおじさん」になってしまいます。
成約率50%を目指すという目標は、チャレンジすることが不利益につながってしまうことがあります。目標に確立を設けることには気をつけてください。
そもそも、確率は悪用されることが多いのです。うちの塾は合格率90%です、うちの会社は前年比1000%で成長しています。これを理解した上で、ダマされるべきではありません。
確率はブレーキ
「%」の目標があると、余裕を残しておく、この辺でセーブしておく、といって本気を出すことをしなくなってしまいます。
前年比という計算にとらわれて、目の前の成長を止めてしまうことが多々あります。
来年も再来年も、同じように成長するとは限りません。
ただ、いたずらに長く働けばいいわけではありませんが、平常心で毎日、業務に取り組むことです。日々の積み重ねが評価できます。
長く居座ることがメリットになってしまわないように、評価の連続性が必要なのです。
評価には、マイナス評価をとり入れることが有効でしょう。マイナスだった場合には、給与にも反映されるべきです。現状維持のヤバさが認識されることでしょう。
平均のような都合のいい数字をみるのはやめることです。
まとめ
- 誰にでも伸び悩むことはある
- 確立や平均といった数字に惑わされない
- 常に目標を更新する
- 日々、業務を積み重ねることが評価できる
- 評価にはマイナス評価を取り入れる
「変数」の見つけ方
上司から言われる前に、自分で考えることができるようになるのが本書のゴールです。
作業の工程を分けて考えて、数字を拝見し、「ナゼ?」を繰り返します。
せっかくやったのだから、そのことに「意味がなかった」ということをなかなか認められないのが人間です。いかなるときも、目標が何かを忘れないでください。目標とつながりがないと意味がありません。
変数かどうかを確認する
y=ax+b このxが変数です。aとbは定数とします。
やったことが、変数であれば右肩上がりにyの結果が伸びていくのです。
半年、1年の目標に対する評価は「上司」がします。KPIがきちんとできているかは、自分の心を鬼にして自身で振り返ります。
やったことに意味づけするのではなく、明らかに結果や成果につながったことを見つけだすのです。
他社の評価を受け入れなかったり、自己評価が高すぎる人、失敗を失敗と認めない人は成長が止まります。
まとめ
- 目標の工程を細分化する
- 結果の数字を拝見し、「ナゼ?」を繰り返す
- KPIは自分の心を鬼にして振り返る
- 結果は素直に受け止める
真の変数を考える
変数を捨てる
変数を考えるときに、もっとも気をつけないといけないのは、「変数はほっておくと増える」という点です。
KPIが多すぎたり、社内の変数が多かったりすると、余計なことを考える時間が増えてしまうのです。
変数を捨てましょう。
有名な投資家は「やりたいこと」をまず10個書くそうです。その中から、7つををやらない事リストにします。すると、3つのToDoリストができるわけです。上位3つのやる事に集中できます。
すべてを数字で管理するわけではありません。変数を見つけ出す過程で、最終的には「1つに絞ること」を忘れないことが大切です。
チーム内の変数
計画をたててToDoを実行し、結果が出せないのなら「KPI」を見直さないといけません。現状維持を許さず、「変数を見直さざるを得ない」という環境を作りだす必要があります。
人を変数にするのはやめましょう。ルールや仕組みなどにフォーカスし、チームをまとめるようにしましょう。
人間性や魅力への依存は、短期的に成果は出るかもしれません。ただ、カリスマを生むことで、ピラミッドができあがり、組織内に分断が起こります。
まとめ
- 変数が増えていくと管理できない
- 大事な変数だけ残し、あとは捨てる
- 常に変数を見直す環境をつくる
- 人は変数にならない、カリスマに依存するのは危険
- ルールや仕組みを変数にする
「長い期間」の話
短期的には損だと思っていたことが長期的には得になることは、ビジネスではよく起こります。
5年後、10年後を考えてシミュレーションすることが大事です。
人間の脳は短期的な利益を優先させてしまいます。長期的な得を選ぶことが難しいようにできているのです。
短期的にみて1日やることを決めます。次に、長期的にどうなっているべきかを考えます。最後に必ず長期的な視点から「逆算」をします。この順番が重要です。
おわりに
株式会社識学には、特出した才能のある人が多くいるわけではありません。それでも、創業から約4年で上場し、その後も高い成長率をキープしています。
彼らは、「とにかく自分の不足に向き合い続けてきました」と語っています。
人によっては著書『数値化の鬼』の内容が冷たくみえるかもしれません。しかし、何よりも「人の成長」を最優先に考え、1人1人の未来を思った結果が「識学」なのです。
真の人間味あるプレーヤーが増えることを願っています。
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