ビジネス書「苦しかったときの話をしようか」

※読書推薦人が興味をもった部分を紹介します。

はじめに

 自分の将来や仕事のことを考える際の「考え方」は知っておいた方がいいでしょう。

 社会へ旅立とうとする君が、この時期に知っておくと良いだろうと思うものを優先しています。

 あなたらしい道筋をみつけるために、一助になることを願っています。

書籍情報

タイトル

苦しかったときの話をしようか

ビジネスマンの父がわが子のために書きためた「働くことの本質」

著者

森岡毅

 戦略家、マーケターです。
 マーケティングノウハウを形式知化し「森岡メソッド」を開発しました。経営危機だったUFJに導入し、わずか数年で再建させます。
 マーケティング精鋭集団「刀」を設立し、「マーケティングで日本を元気に」という大義の下、数々のプロジェクトを推進しています。

出版

ダイヤモンド社

不正解以外はすべて正解

 就職活動や転職活動の全般において、選んではいけない数少ない不正解があるだけで、それ以外はすべて正解なのです

 不正解とは、自分にとって決定的に向いていない仕事に就いてしまうことです。

不正解の仕事とは?

  • 自分の特徴が裏目に出る
  • 自分にとって情熱がどうしても沸いてこない仕事

この2つはたいてい連鎖して起こります。

 自分の強みが発揮できないので成果があがらず、達成感が得られません。当然、評価も低くなります。

 不正解のパターンで多いのは、やってみてから自分に向いていないことに気が付くのが典型的です。思うに、不正解を掴んだ原因は、自己分析不足に起因しています。自己分析さえシッカリやっておけば、ほとんどの不幸は回避できると考えられるのです。

 内定を取るために、別人格を演じてしまうと不幸が始まります。

 会社が採用しているように見えるけれども、こちらも会社を選んでいることを忘れてはいけません。

 最初の会社で失敗しても、2つ目を選べばよいだけです。だから、肩の力を抜きましょう。

  • キャリアのほとんどは、不正解じゃない
  • しっかりと、自己分析をしよう
  • 内定を取るために、別人格を装ってはいけない
  • もし、失敗しても2つ目を選べばよい

人間は平等ではない

 「人間はみな平等であるべきだ」と教わってきたと思います。しかし、世界の真実は「人間は、みんな違って、極めて不平等」なのです。

 外見の違いはもちろん、運動神経の良しあし、病気になりやすい人とならない人、生まれつきの差があります。この現実を直視しましょう。

 東大生の親の平均世帯の収入が多いのは、実は親の「知力」が高いからです。高収入の家庭が子どもにとってプラスなのは間違いありませんが、これだけの奨学金のオプションがある社会では、苦学をすれば国立大学に入れるし、卒業ができるのです。
 経済格差は、原因ではなく、知力の格差がもたらした結果に過ぎません。

 1人1人個性があるから面白いのです。先天的なものと環境の組み合わせが、みんな違います。自分のユニークな特徴さえ認識できれば、特別な価値を生む可能性があるのです。

 努力できることが3つあります。

  • 自分の特徴を理解すること
  • 自分の特徴を磨くこと
  • 環境を選択すること

逆に言えば、キャリアを積み重ねる上でできる努力は、この3つしかありません。

 他の誰でもない、立派な私になって下さい。

  • 人間はみな、不平等
  • 経済格差は、知力がもたらしたもの
  • 自分の特徴を認識して、磨くこと
  • 周りの環境は選択できる

持たない人が、持てるようになるには?

 「欲」の強さは正義です。世界を生き抜くためのその人のエネルギーになります。この資本主義社会を動かしている本質が、人間の「欲」だからです。
 欲に対して強く正直に生きて下さい。

 資産を持って生まれていない人間が、この現代社会において巨大な資産を手に入れる方法は、なんらかの方法で資産家になり上がるのがベストです。社会構造が資産家にとって、都合良く作られています。

 宝くじの当選や、サラリーマンとして終盤に奇跡が起こるのに、期待するよりも確率が高いのは言うまでもありません。

成功報酬としての企業の株を個人として持とう

  • 創業者になり、会社の価値を高め、会社を売却する
  • 業績が悪化した会社の経営改善をする

 上記の2パターンがあるが、大事なことは株を分けてもらえるお誘いが自分に来るように、どうすればよいかです。

 職能を磨き続け、プロとして顕著な結果を出し、実績で労働市場での評価を上げていくしかありません。

 社内評価だけでなく、外部の評価も気にしなくてはなりません。自分にどのくらいの値段がつくのか、ヘッドハンター数人と繋がっておくとよいでしょう。

 意識していないものは、そこにあるのに見えないのです。

 資本家になるとかサラリーマンを続けるべきという簡単な答えがあるわけではありません。自分に合った苦労をえらびやすくするために、できるだけ見分を広く持ちましょう

  • 「欲」は資本主義の社会において正義
  • 巨大な資産を手に入れる方法は、資産家になるのがベスト
  • 意識していないと見えないので、社内だけでなく外にも見分を広げる

目的を立てよう

 キャリア戦略をつくる大切な内容です

 キャリア戦略は、目的があって初めて機能します

 将来的に目的が変わっても構わないし、おぼろげでも構わないので、目的を設定してみましょう。

目的の価値

  • 自分が納得すること
  • 一貫性を生み出すこと

 優先順位をつけて歩いてきた道は、納得度が上がるはずです。

 そして、早めに目的をたててキャリアの専門性を集積させた方が、良い事が多いでしょう。

 具体的なことからすると、しんどくて詰んでしまうことがあります。1つ1つの守備範囲がせますぎて、かえって上手くいかないものです。

 目的を設定するときのおすすめは、「どんな状態」であれば自分はハッピーだろうかという未来の理想の状態から発想するやり方です。詰んでしまったときの脱出方法です。騙されたと思って1度やってみてください。

  • キャリア戦略は、目的があって機能する
  • 早めに目的をたてた方がよい
  • キャリアの専門性を高める
  • 具体的なことから目的を設定すると、上手くいかない
  • 「どんな状態」が自分の理想かを思い浮かべる

強みは必ず好きなことの中にある

 あなたが好きなことをしているときこそ、自分の特徴が強みとして発揮されている可能性が極めて高いからです。

 幼少期から現在に至るまでの経験の蓄積が、好きな事と嫌いな事を決めてきました。いまのあなたにとって「~すること」が好きならば、それがポジティブな結果をもたらすものです。つまり、あなたの「強み」です。

 とにかく、じぶんの好きなことを「動詞」にしてみましょう

 何十年も生きてきたのです。あなたの強みは、必ず好きなことの中にあります。

  • 好きなことをしているときこそ、自分の強みが発揮されている
  • じぶんの好きを、動詞にしてみる

Tの人、Cの人、Lの人 基礎能力

 どの職能においても重要なビジネスパーソンとしての能力を分類しました。

好きなこと特徴的な趣味向いている職種
Thinking考えること
議論すること
計画すること
研究すること
分析すること
戦略系ゲーム
将棋
チェス
読書
プログラミング
ファイナンス
コンサルタント
研究職
マーケティング
企画
Communication話すこと
集会に参加すること
人を紹介すること
オシャレをすること
友達を増やすこと
SNS
パーティー
イベント
ファッション
グルメ情報
プロデューサー
PR広告
公証人
ジャーナリスト
政治家
Leadership挑戦すること
仕切ること
変化を起こすこと
自分で決めること
世話を焼くこと
ランニング
ジム通い
ストイックなもの
管理職
経営者
マネージャー
リーダー

 自分が持つ特徴がどんなものか、イメージがついきましたか?どんなことを磨けばよいか参考になってでしょうか?

 自分の向いていそうな「たくさんの正解」の中から、あれこれ考えると良いと思います。

 考えるべきは1点、自分のどんな特徴がその職能で生かせそうか?です。

 排除すべきは、数少ない不正解を選ぶことです。

 自分の特徴を知って、強みを磨いて、ひたすら努力を積み重ねましょう

ブランド・エクイティー・ピラミッド

図.ブランド・エクイティー・ピラミッド

 その戦場に参戦するかを規定しましょう。

 いつでもどこでも戦います!という企業やブランドは、資源の配分が広く薄くなっていしまい、どの戦場でも戦力が枯渇します。

 あまりにも狭い範囲に集中しすぎて、生き残るために必要な売上を稼げないと、餓死してしまうのです。

 目的と自身の経営資源に照らして、広すぎず、狭すぎない範囲の市場を設定しましょう。

以下の順番で考えよう

  1. 誰に伝えるか
  2. 何を伝えるのか
  3. どう伝えるのか

 市場におけるすべての相手にたいして平等に努力を分散させてしまうと、誰にとっても、あなたの印象が中途半端になってしまいます。誰に伝えるのか明確にしましょう

 何を伝えるかは、ブランドで言うなら「何を」買ってもらうかということです。諸費者は情緒的に意思を決定しています。したがって、価値は目に見えないことがほとんでなのです。
 USJのチケットを買いにくる人は、アトラクションなどの目に見えるものではなく、ドキドキワクワクといった感動を得るためにお金を払っています。

 マーケターは、誰にどんな価値を提供するのか、それをしっかりと定義しなくてはならないのです。

 ターゲットにとって、思い浮かべやすいように具体的な売り方を定義します。「ブランド・キャラクター」によって、擬人化したブランドの性格を定義して、消費者の情緒に売り込む方法もその1つです

 ブランド・エクイティー・ピラミッドを作成したら、できるだけ一貫した行動をとってください。ブランドを築き上げていくには必要な動作です。

 自分を売り込もうと躍起になる必要はありません。重要なのは実績です。目を見張る実績を生み出す才能は、嫌でも世の中に出ていくことになります。

 まずは、ブランドを構築する一貫した行動と、結果を出すことにこだわるようにして下さい。

  • 広すぎず、狭すぎない攻略エリアを設定する
  • 誰に伝えるか、何を買ってもらうか、お客様の思い浮かべやすい売り方なにか、を考える
  • 売り出し方が決まったら、一貫した行動をとろう
  • 重要なのは実績をだすこと

過去の苦しかった経験から学んだこと

 信念と行動を一致させることの大切さを学びました。

 生活のために命じられた仕事を素直にやるしかない、と思っているサラリーマンが多い。1年でも発狂しそうになったのでわかりますが、発狂しないために、諦めることで不感症になるしかないでしょう。

 有力なサラリーマンは、消耗品としての「人材」ではなく、やめられたら本当に困る「人財」として組織に認識されいる人のことです。そこで、ようやく対等な交渉を会社とできるようになるでしょう。

 結果を出さないと誰も守れないことを学びました。

 結果が悪ければ、どんなに訴えたところで誰にも響きません。動かした人たちに、悪い方のキャリアの影響を与えてしまうのです。経営規模が大きければ、大量のリストラ、給料カットなどロクなことになりません。

 関わったひとを守りたければ、誰に嫌われようが、鬼と呼ばれようが、憎まれようが、何としても集団に結果を出させることです。

  • 信念と行動を一致させる
  • 結果を出さないと誰も守れない

自分の弱さとどう向き合うべきか

 弱さと向き合うなら、目的の方向に絶えず成長し続けることです。

 諦めない限り、いつかはその目的に到達できるでしょう。

 「挑戦しないから失敗もしない」よりも「挑戦するから失敗してしまう」の方が圧倒的に強くなれます。

 今よりも成長できる限りにおいては、実は何も大きな損はありません。不安に直面しても、きっと笑えるようになります。

 弱点を克服する努力は、強みとなる特徴の周辺領域を変えることだけです。強めたい能力以外は、諦めて、戦略的に撤退しましょう。

 苦手な領域が、仕事や事業のために重要な場合があります。人生そんなことばかりです。「弱点」との向き合い方も必要なのです。あなたも、人の力を活用することで問題を解決する術を身につけなければならないでしょう。極めて有効な手段です。

 普段から自分と凹凸が噛みあうプロを探して、大切にすることを心がけましょう。

 自分だけではなく、上司や同僚、先輩後輩、部下の「人としての特徴」を診なければなりません。そのひとが好きになれそうなことを探して、可能性を開花させていきましょう。

 最初から自分がすぐに変われるわけではないので、時間がかかることを織り込んで、変わる努力を継続しましょう。

  • 弱点を克服するなら、目的の方向に成長し続ける
  • 強みを活かす周辺領域を変える
  • 苦手なことに取り組まなければならないときは、人の手を借りる
  • 普段から、自分と相性のいいプロを探す
  • 周囲の人の好きになれそうなことを診る

さいごに

 日本人はもっと強くならないといけません。

 努力できる好きなことを見つけましょう。

 あなたにとって人生が輝くこと、ただそれだけを願っています。

「うまれてきてくれてありがとう!」

感想

 手の届く範囲でエリアを決めて、ひたすら成長を続けようというものでした。

 他のビジネス本と、結果の部分で言っていることは変わりませんが、マーケティング視点でモノを考えることができる面白い本書となっています。

 大学生のとき、高校生のときに読んでおきたい1冊でしょう。

 私が大学生のときに読んでいたら、人生変わったかもしれません。

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