※読書推薦人が興味をもった部分を紹介します。
バブル崩壊のとき、著者たちはマネージャーとして取捨選択をして指示する立場にありました。そして今、大変な時代を担われる皆様へビジネス戦略や人生設計の役に立てるのではないか?と考えて、まとめたものが本書です。
目次
書籍情報
タイトル
人生100年時代を生き抜く
5リテラシー
世界の経営者が知っている成功への指針
著者
近藤章
石田正
編著:池口祥司
出版
生産性出版
仕事・人生を俯瞰する力を身につける
人生100年、いつまで働くのか
時代は変わりました。一生お感じ会社で勤め上げる人の数が減り、定年後には会社のお世話にならずに、自分の道を歩む人が増えるでしょう。
定年まで勤めあげ、退職金と年金で老後をゆったり過ごすという、家計の設計は比較的簡単なものでした。それは、平均寿命70歳を相場としたものです。
自分の名札の下に値札をつけよ
住友銀行から転職して1年。ソニーの入社式であいさつするときに
「入社おめでとうございます。~先輩としてアドバイスさせていただきます。会社に入って10年たったら、皆さんの名札に値札がつくよう努力してください」
と述べました。人事部では転職のススメを新入生にするのかと、問題になったようです。
当時はITバブルで、ソニーの株価が2000年の4月の株式分割後も、1万5000円という高い株価できた。その後、10年後に2000円台にまで落ち、ソニーのリストラが始まりました。
不幸にして、私のアドバイスは正鵠を射ぬいていたのではないかと思います。
ソニーの株価は2021年9月末の終値は1万2425円とピーク時に戻りつつあります。このターンアラウンドを演じたのは平井一夫さん、吉田さんの2人です。この2人にはしっかりと値札が付いています。吉田さんの値札はSONETが育てたM3社で、現在、時価総額5.5兆円にまで成長しています。
ライフプランの数字化で未来のリスクを知る
まずは、自分の今後の生活設計をしっかりと数字化しましょう。
不動産、金融資産、負債の状況、今後の収入の見通し、予想される出費を数字にして、「見える化」してください。収入は家計簿や確定申告ソフトからつくります。
給与所得者も確定申告書の作成をおすすめします。理由は以下の2つです。
- 給与収入の確定から税金をいくら払っているのかを意識できる
- 家計における長期的なリスクを把握できる
収入を把握して、税金を払っている民主主義本来の意識をするべきでしょう。家計においても、自動車におけるリスクは、人身事故の保険に入っておけば大体カバーできるなど、リスクヘッジが上手にできるようになります。
給与収入=売上、
生活費≒事業経費、
土地建物、
自家用車=有形固定資産、
住宅借入金=事業借入金
として、帳簿をつけることができます。
- 2021年12月31日を期末日とし、あなたが所有するすべての資産・負債をリストアップし、差額を資本金とする
- 2022年1月1日を「みなし法人A社」の初年度として事業をスタート
- 日々の取引を現預金納帳に記録し、試算表を作成、2022年12月31日の決算書を作成する
- はじめは面倒ですが、自分に合ったソフトを見つけるなどして記帳し、慣れてしまえばそれほど難しくない。ただし、何が事業経費で、何が生活費なのかについて、妻やパートナーと事前に取り決めておく必要がある
- ポイントは領収書の管理や日々の取引の処理にため込まず、少なくとも1週間に1度は整理し、貴重しておくこと
- 給与収入および事業収入を確定し、課税所得の計算をする
- 所得に対しては、すでに源泉所得税が天引きされている。年末に支払先から送られてくる「収入内容及び源泉税を記した支払調書」は、確定申告の際に添付資料として使う
- 所得から差し引かれる各種控除額の計算をする(社会保険、医療費、生命保険、ふるさと納税など)
- 所得税早見表を使って、所得税額を計算する
- 最後に、住民税の計算をする
税金の使い道に興味をもとう。「復興特別所得税」が何に使われているのか。特別税を支払うのは賛成です。ですが、復興庁から積極的に情報が公開されているとは思えません。
日本が世界と互角に戦うために必要なこと
戦国時代から変わらない間接部門の問題
製造業を原動力としてGDP世界2位に押し上げました。日本の弱点は現場ではなく、財務、経理、総務、人事などの本社間接部門に起因するところが大きかったのではないでしょうか?
間接部門に従事する人数が国際的にみれば、多すぎるという問題があります。デパートの店員数の違いを比べればわかります。
資本装備率、DX投資の遅れです。コンビニの無人化も人経費が削れるというのに、先進国ではかなり出遅れています。
日本人の「おもてなし」は誤解と錯覚なのではないでしょうか。お客様は、過剰なサービスや新しさを求めてはいないと思います。適度なサービスとコストパフォーマンスを求めていると感じているのです。
国際コミュニケーション
昔から日ごろ入浴習慣のある日本人は、感染症による死亡率が低いのです。衛生の観点からみれば、リテラシーがいかに大切かわかるでしょう。
経済ににおいて日本人に欠けているリテラシーは、国際コミュニケーション能力、情報通信技術知識、会計・財務知識です。
言語とコミュニケーションはハンディキャンプとなって、日本人の大きな壁となっています。英語ができなければ損をすることもありますし、隣のマダムと会話を合わせるのは至難の業です。話している時の手の使い方も、日本人は上手ではありません。第2外国語は中国語が良いでしょう。
情報リテラシー
英語の次に大切なリテラシーは、情報(ICT)リテラシーです。
会計のひとが情報リテラシーが足りないというのは不安すぎます。重要な情報を握るひとにリテラシーがない、日本ではそんな非常識がまかり通っているわけです。
ICTリテラシーとは、エクセルやワード、パワーポイントが扱える能力のことではありません。きれいなスライドには嘘があります。
IRRの計算などの会計知識と、ICTツールをつかってどう情報を扱ったらいいのかを理解しなければならないのです。
なぜ、経理部門でない人が会計を学ぶのか
複式簿記という技術を理解しましょう。
財務諸表に「事業の現実を知る」ヒントがある
昔は、ソロバンを使えない商人は給料がもらえませんでした。経営のプロといわれる人で財務諸表に疎い人はいません。
数字をみれば、問題点がわかり問題にたいして力を注げます。無理をせずに新しい投資に出せる金額も明らかになるでしょう。
CEOもCFOに任せっきりではいけません。月次財務報告をしているときに、積極的に質問をするCEOがいれば緊張感が生まれます。他の取締役も財務センスを磨かざるを得ないでしょう。
国内財務会計基準は集約性が高いものでした。ですが、汎用性の高い国際財務会計基準(IFRS)へ移行していくでしょう。臨機応変に対応できる形へ変化していくので、経理以外も会計知識が必要になっていきます。
職域を超えて理解しておきたい簿記と会計の基礎
簿記とは、さまざまな企業活動を会計帳簿に記録していく手続きのことです。
会計とは、簿記でまとめられた試算表をべーすに財務書類を作成していくことです。
皆さまが行っている企業活動の取引を「借方」と「貸方」という2つの側面でとらえ、仕訳帳に転記し、試算表に集計していくというのが「複式簿記」の原理です。
複式簿記で記録し、試算表に取引がまとめられ、目的別に3つの財務書類を作成していきます。この3つの財務書類のことを財務三表といいます。(損益計算書、貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書)
損益計算書(PL)は、企業の1年間の業績成績をフローで表したものです。売上高からはじまって、一番下の純利益を算出するものになっています。「上から下までの流れ」を理解しておくといいでしょう。
貸借対照表(BS)は、「貸方」と「借方」のバランスを表にしたものです。いくら調達したのか、いくら運用したのかを把握するのに使用します。その項目の資本がすぐ現金になるのか、現金になるまでに時間がかかるのかといったことには注意が必要です。PLに目がいきがちですが、BSに多くのヒントが含まれていることを忘れないでください。
キャッシュ・フロー計算書(CFS)は、一定期間で現金、預金がどのように増減したかを示すものです。事業活動を現金の収支でとらえるため、真の実力が現れます。また、投資計画を含む資金管理データとしても重要です。
企業経営の視点から税金を考える
われわれは税金に囲まれて生活している
道路、橋などの公共財、教育、福祉などの公共サービスが税金によって、提供されています。国税、地方税、直接税、間接税と税金の種類は多種多様です。
あまたに入れて欲しいのは、税金は制度化されると固定化してしまうことです。自動車重量税のあり方について考えたことのあるひとはいるでしょうか。1950年代はまだ、道路事情も悪く、目的税として道路特定財源に限られ、合理性がありました。今は一般財源化され、根拠はあいまいになっています。自動車所有者は重量税と呼ぶ税金を払い続けているのです。ゴルフ利用税、入浴税など不可解な税金はまだあります。
法人税等の重要性
簡単にいえば、企業は利益の$\frac{1}{3}$を税金としておさめなければなりません。課税所得を基礎に法人税、住民税及び事業税の表面税率を使った総合的な法定実効税率は、現在29.74%なのです。内容を理解し、合理的にコントロールするのは経営者にとって当然の責務といえるでしょう。
日本の実効税率は高いです。
ビジネスパーソンが留意するべきタックス・リテラシー
- 税務部門を経理部門から独立させる
- 親会社だけでなく、グループ全体の税務情報を統一管理
- タックス・ヘイヴン国を使って、行き過ぎた節税対策はやるべきではない
- 100の税金費用の削減は、1000の売上に匹敵する認識をもつ
- 税務リテラシーは会計リテラシーと密接につながっている
①税金問題は取引相手が国家であるということを考えた場合、経理部が片手間ですることではありません。CFOの直轄組織を立ち上げると良いでしょう。
②キャッシュ・フローはマネジメントの常識です。企業業績と財政状況は統一させましょう。
③パナマなど税金が少ないことを呼びかけて、人や企業を集めている国をタックス・ヘイヴン国といいます。取引の実体を隠して所得操作しているようなものです。これは経営者のモラルが疑われます。
④税金も費用である以上、合理的に最小化を図るのは経営者の仕事です。法人税等繰入額は、無視できません。
⑤2つのリテラシーがあれば、企業活動を複眼でみることができるでしょう。
感想
たぶん、著者はエリートを育成する上では海外留学というのは大切なことだと感じていらっしゃるようです。ただ留学したがために、才能を埋もらせてしまって、しまいには薬を覚えさせられてしまった人を知っているため…まぁ、一般人には留学をおすすめできる感情をもっていません、特に今は。
管理会計から経営戦略を考えるという項目は、やっぱり為替なども関わっているので、リスクを理解した上でないとブログに載せられないなと思いました。私の理解が乏しいことは書けないです。
本を読んでいく上で同じような内容を、だんだんと説明できるくらいになれたらなと思います。
工場の生産ラインに1人づつ受発注さんがついて電話で取引を受け付ける様子をみて、業務課さん人数多くない?と思ったり、「法人税高いよ~」て思うのは、私だけでは無かったみたいで安心しました。
この本に書かれている事は私の言葉ではないとはいえ、ブログには書けないことも多々ありますので、エリートになりたいと思うのであればこの本を読んでみてもいいのではないでしょうか。
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