※読書推薦人が興味をもった部分を紹介します。
はじめに
過去の先人たちの苦い経験から何を学び、私たちはこれからどうしていくべきなのでしょうか。
目次
書籍情報
タイトル
世界「失敗」製品図鑑
「攻めた失敗」20例でわかる成功への近道
著者
荒木博行
株式会社学びデザイン代表取締役社長
企業のスタートアップアドバイザーとして活躍しています。武蔵野大学で教員なども務めています。Voicy「荒木博行のbook cafe」毎朝放送中です。
個人ブログ
Voicy
出版
日経BP
ニュー・コーク
適切なコミュニケーションができず失敗しました。
ペプシ打倒のための歴史的チャレンジ
向かうところ敵なしに見えたコカ・コーラ社の雲行きが変わり始めたのは70年代です。販売員と交わしている地域的な独占契約が、自由競争の原則に背くものであるとしてこじれてしまいます。そこに、権力闘争が加わり身動きが取れない状況に陥ったのです。
その隙をついたのが、ペプシでした。「ペプシ・ジェネレーション」というキャンペーンでコーラに愛着がない若手世代をターゲットに絞ります。
キャンペーンで行ったのは、ブランドパッケージを隠して味見してもらうというものです。この結果、ペプシの方が美味しいと感じる人が多いという実態が明らかになりました。
1983年、コカ・コーラのブランドを再興するために、味を変え、パッケージを変えて勝負にでます。同時に、価格が不安定な砂糖は、安定する異性化糖に変えるコスト削減も行っていたのです。
そしてブラインドテイスティングでも高い評価を得て、「ニュー・コーク」として発売するのです。
消費者からのクレーム
ニュー・コーラ販売直後から消費者によるクレームが殺到します。そして、アメリカ中のマスコミが痛烈に批判するのです。
それでも頑なに、昔の味に戻すことを強く否定していました。
かつてのコークの店頭在庫がなくなると、より炎上を重ねて、古くからのファンが離れていってしまいました。ペプシに奪われた若い世代のファンも獲得できなかったのです。
そして、頭を下げて、かつての味に戻すと誤りをみとめました。
味ではなく、姿勢に対して反感をかった
アメリカ国民にとって、コカ・コーラの存在は古くからある文化のようなものとしてとらえており、それを軽々しく変えられたことに対して怒りをかったのです。
実は、ペプシ・チャレンジのときに、科学によって生まれた「偶然の産物」としてけなしていました。ニュー・コーク発売のときも「気に入らなかった人たちを招いてパーティーでもやりますか」と軽口をたたいていました。
実際に、ニュー・コークを飲んでもいないのに、クレームをしていた人たちが多かったのです。
アメリカを知らないキューバ出身の外国人経営者がおもいつきのままに、アメリカの文化を変えてしまうと考え、反発していたのです。
ウィンドウズフォン
初期段階の出遅れを挽回できず失敗しました。
アンドロイドを打倒すべく開発された知恵の結晶
2010年10月、ウィンドウズフォン7というOSを搭載した9機種のスマートフォンを発売を発表しました。実は、携帯端末用のOSは1996年から始動していたのです。
2007年6月、アップルのiPhoneが発売され、携帯電話のOSにはアンドロイドが採用されたのです。ウィンドウズモバイルはシェアを失ってしまいました。
スマートフォン向けにタイルデザインを取り入れた画期的なモデルに変身させて、端末メーカーノキアと提携しました。2015年におけるシェアは20.9%ととなり、アンドロイドに次いで2位となったのです。まだ、可能性があるとみられていたのです。
officeをスマートフォンで使えることにより、ビジネスシーンで活躍するスマートフォンになるはずでした。ですが、この戦略に対して開発者たちはついていけませんでした。
スマートフォンにとっての最適なインターフェイスが、パソコンにとっての最適なインターフェイスとは限りません。よって、製品は中途半端なもとなってしまったのです。ユーザーも限定的なものになりました。
初期段階でのちょっとの遅れが全てを決めた
なぜ、難易度の高い「パソコンとモバイルの一体化」で戦うことになってしまったのでしょうか。
モバイルの業界は、iOSやアンドロイドに優位性を奪われてしまいました。一度、循環構造を構築されると、後からひっくり返すことが困難になります。
初期段階にちょっと乗り遅れたことで、圧倒的な劣勢に追い込まれてしまったのでしょう。
ビル・ゲイツも「勝者総取り」と悔しさをあらわにしています。
最初の時点で、勝負はついていたのです。
マイクロソフトはウィンドウズフォンの撤退を決めた後、ナデラによるマイクロソフトの復活劇がはじまります。時代に合わせたビジネスモデルをいち早く組み立てる方針を打ちたてました。
「オフィス」のアプリを使うというニーズに答えたのです。
セブンペイ
「自社だけが特別」思考に陥って失敗しました。
ペイ決済サービスに参入
2018年12月にペイペイが仕掛けたキャンペーンがキッカケで広まりました。
企業からは、ラインペイ、メルペイ、楽天ペイなどのサービスが乱立しているのです。
これに対して、半年ほど遅れて流通大手のセブンイレブンがペイ戦争に参入しました。
すでに電子マネーカード「ナナコ」の存在により、既に1000万を超えるダウンロードや顧客情報を獲得していたため、専用アプリの基盤を活用するのが最善策だと考えたのです。
スケジュール的にタイトなものでしたが、ファミリーマートなどもスマホ決済サービス「ファミペイ」の参入も決まっていたため、送れるわけにはいきませんでした。
この過程で、顧客の期待は肥大に増していったのです。
2段階承認の導入をせず
予定通りに、ペイ運用が始まりました。
しかし、「身に覚えのない取引があった」と多数クレームが寄せられてしまうのです。結果的に、アカウント乗っ取りの被害にあった利用者は808人、総額3861万円になりました。
このような不正を可能にしたのは、「2段階承認」がセブンペイに導入されていなかったからです。
セブンペイは、クーポン発行がメインとなっていたアプリをベースにしていたため、セキュリティが十分とは言えませんでした。そのため、IDとパスワードの組み合わせを知っていれば、どこからでも不正利用ができたのです。
その後、数日でサービスは終了しました。
トップの理解が足りていない?
「私どものセブンペイの基本設計は、―――『2段階うんぬん』と同じ土俵で比べられるのかというと、私自身はそのへんは認識していません。」
と小林社長が述べています。ペイ決済システムを導入しようというのに、セキュリティ対策の関心が感じられません。
意味を理解せずに、あいまいなまま目の前の物事を進めてしまったがために、悲惨な失敗をしたのでしょう。
ニュートン(アップル)
主要事業の不調で、無理な勝負を迫られたため失敗しました。
情報家電
ニュートンとは、通信機能をもった手書き入力可能な電子手帳です。iPhoneやiPadを先取りしたような商品でした。
どこでも持ち歩ける情報端末および手帳は、夢のような商品と言えたでしょう。
高い期待に応えられず
ニュートン自体は、大きな注目の的でした。
ニュートン発売直後のことです。アップルの業績は悪化し、赤字に転落してしまいました。主力商品のマッキントッシュPCが売れなくなったのです。
そして、その時のCEOスカリーは退任を迫られました。それを象徴するように、ニュートンの売り上げも伸び悩んだのです。
売れなかった理由は、文字を認識する機能が不十分だったこと、キーボード入力に比べてストレスが溜まるものでした。
使えるように周辺機器を揃える金額が、1000ドルを超えていて気軽に買えるような値段ではなかったことも理由のひとつです。
やがて、パソコン事業は撤廃し、スティーブ・ジョブズが経営に帰り咲くことになりました。仇であるスカリーの遺産ニュートンを残しておく理由は、ジョブズにはありません。
一部の根強いファンから大変に惜しまれた開発中止宣言となったのです。
感想
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーが好きすぎて、そこに登場する音楽プレイヤーZuneの深掘りをして欲しかったです。
「300曲も入るんですよ」凄いでしょw
日本で発売されることは無かったので、誰も笑っていませんでした。当時の私のツボに入りました。
まあ、一時的に参入して取れるものはとっておこう、ということだったのかもしれませんが、有名な企業は失敗を数多くしていることがわかります。
チャレンジ、結果、原因が考えればあるものです。私も見習わなければなりません。
購入リンク
紙
amazonは↓
電子
amazonは↓