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目次
書籍情報
プロジェクト・ポートフォリオ
マネジメントの教科書
ビジネスを継続的に維持・発展させていく考え方と手法
尾崎能久
世界最大のプロジェクトマネジメント協会の国際専門職資格を複数持ち、講演やセミナーの講師をつとめる。
太陽出版
- CHAPTER 01 今なぜポートフォリオマネジメントが必要なのか
- (1) なぜ今「ポートフォリオマネジメント」が必要なのか
- (2) プロジェクトが不可⽋となり増加している
- (3) プロジェクトエコノミーの到来
- (4) プロジェクトが成功しないのは何故か
- プロジェクトが複雑化している
- プロジェクトの目的が明確ではなく経営戦略とずれている
- 組織のプロジェクトへの支援が十分ではない
- (5) 経営戦略実践の鍵となるポートフォリオマネジメント
- 欧米で普及しているポートフォリオマネジメント
- 経営の実践度が低いとされている日本
- ポートフォリオマネジメント導入の見極め
- CHAPTER 02 ポートフォリオマネジメントの概要
- (1) ポートフォリオマネジメントとは
- (2) ポートフォリオの構成要素(ポートフォリオコンポーネント)
- (3) ポートフォリオマネジメントの全体概要
- (4) ポートフォリオマネジメント実⾏における活動
- (5) ⼼掛ける七つの基本的事項
- (6) 主なマネジメント領域
- CHAPTER 03 ポートフォリオコンポーネントの実践手法
- (1) ポートフォリオコンポーネントの実践⼿法
- (2) 個別プロジェクトの⽬標設定
- (3) プロジェクトの確実な実⾏
- (4) プロジェクトの振り返り(教訓を得る)
- (5) 複雑化に対処するプログラムマネジメント
- (6) プログラムマネジメントの概要
- (7) プログラムマネジメントの実践例
- CHAPTER 04 経営戦略に整合したプロジェクトの見極め手法
- (1) 経営戦略に整合したプロジェクトの⾒極め⼿法
- (2) 経営戦略・経営計画を知る(中期経営計画概要の調査結果)
- (3) 中期経営計画の⽬標とプロジェクトの成果との整合
- (4) 中期経営計画におけるプロジェクトの優先順位付け
- (5) 投資・回収の観点からのプロジェクトの優先順位付け
- (6) 優先順位付け結果に基づく対応
- CHAPTER 05 ポートフォリオマネジメントを実行する組織
- (1) ポートフォリオマネジメントを実⾏する組織
- (2) 従来のオペレーション中⼼組織の限界
- (3) 近年の代表的な組織形態
- (4) プロジェクト型組織
- (5) オペレーション型組織とプロジェクト型組織の両⽴・連携
- (6) プロジェクト型組織の維持・発展
- CHAPTER 06 ポートフォリオマネジメントに必要となる人材育成
- (1) ポートフォリオマネジメントに必要となるスキル
- (2) ⼈材の育成
- (3) 外部の⼒を借りる
- (4) 資格取得のすすめ
- (5) ポートフォリオマネジメントの国際資格(PfMP®)
書籍紹介
この書籍は、ビジネスの継続的な維持と発展を目指すための考え方と手法を深く掘り下げています。尾崎氏は、これまでに40以上のプロジェクトを手掛けてきた実績を持つプロジェクトマネジメントのエキスパートです。その経験と知識を基に、なぜ今プロジェクト・ポートフォリオマネジメントが必要なのか、そしてどのように実践すべきかを詳細に解説しています。
ポートフォリオマネジメントの必要性
現在のビジネス環境では、単一のプロジェクトの成功だけでは企業の持続的な成長を保証できません。複数のプロジェクトを戦略的に管理し、企業全体の目標達成に直結するポートフォリオマネジメントが重要です。
- 実践的なアプローチ
- 書籍では、ポートフォリオマネジメントの理論だけでなく、実際の運用方法も紹介しています。プロジェクトの識別、評価、選択、そして管理のプロセスが具体例と共に解説されています。
- 人材育成
- プロジェクト・ポートフォリオマネジメントを成功させるためには、適切な人材が不可欠です。この点についても、「タレントマネジメント」の観点から、どのように人材を育成・配置するべきかが論じられています。
- グローバルな視点
- 尾崎氏は、欧米やアジアでの事例も参照しながら、日本企業が直面する課題とその解決策を提示しています。これにより、国際的なビジネス環境でのポートフォリオマネジメントの重要性が強調されています。
プロジェクトマネジメントの視野を広げることができました。特に、プロジェクト単位で見るのではなく、企業の戦略に沿った複数のプロジェクトを一体として管理する考え方は、ビジネスの現場で即座に活用できる知識です。
各章末に記載された実践的なチェックリストなど、実務者にとって非常に役立つ内容が満載です。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
中期経営計画の指標
売上、利益、ROIC(投下資本利益率)を指標にして、中期経営計画を整備していきます。
プロジェクトを実施することで、最終的に売上や利益がプラスになることを目指します。
$$RPIC=\frac{税引後営業利益}{投下資本(運転資本+固定資産)}$$
ROICは稼ぐ力を測る指標で、投下資本に対する税引き後の営業利益で算出されます。分子で考えると、売上が上がり、売上原価が下がれば利益は向上します。分母で考えると、運転資本や固定資産を減らして回転率を上げればROICが上がります。
魅力ある付加価値の高い製品をリリースすれば、売上高を上げることができますが、新製品開発のための投資により固定資産が増加します。
滞留在庫を削減し、適正な在庫保持を実現することで、棚卸資産の回転率を上げることも必要です。
投資から回収するといった観点
投資利益率:ROI(Return On Investment)
$$ROI=\frac{利益}{プロジェクトの投資額}×100(%)$$
投資に対する利益の割合です。時間の概念を持たないシンプルな考え方となっています。
正味現在価値:NPV(Net Present Value)
$$NPV=PV(現在価値)ー投資額$$
$$PV(現在価値)=\frac{CF1}{(1+r)}+\frac{CF2}{(1+r)^{2}}+\frac{CF3}{(1+r)^{3}}+$$
$$・・・+\frac{CFn}{(1+r)^{n}}$$
CF:キャッシュフロー、n:n年後、r:割引率
投資によって将来発生するキャッシュフローの現在価値から投資額を差し引いて求める計算式です。
現在価値(PV)とは、将来に受けとるキャッシュが、現時点でどのくらいの価値があるかを表したものです。
内部収益率:IRR(Internal Rate of Return)
$$0=\frac{CF1}{(1+r)}+\frac{CF2}{(1+r)^{2}}+\frac{CF3}{(1+r)^{3}}+$$
$$・・・+\frac{CFn}{(1+r)^{n}} – CF0$$
CF0:初期投資
投資額と現在価値が等しくなる割引率のことです。
投資額に制約がない場合は、NPVで考えます。一般的には制約がある場合が多いのでIRRで評価するでしょう。