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※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
目次
序章
ナチズムという災厄にアレントが最初に取り組んだ書物が『全体主義の起源』です。
アレントの「全体主義」概念は、イタリアのファシズムとドイツのナチズムを一括する「ファシズム」概念とはまったく異なる問題設定に基づいています。共産党の独裁が全体主義ではなく、イタリアの典型的な全体主義でもないと繰り返し主張しているのです。
20世紀に直面したいまだかつて人類が経験したのことのない支配と虐殺のシステムは、理解できない自己破壊的な現象そのものではないかというのが、アレントの問題提起です。
アレントの問は未完の問であって、答えがあるわけではありません。考えをめぐらそうとする人間に向けて開かれている書籍です。
書籍情報
精読 アレント『全体主義の起源』
第1刷 2015年9月1日
発行者 鈴木哲
発行 (株)講談社
ISBN978-4062586078
総ページ数 288p
牧野雅彦
講談社選書メチエ
国家媒介者へ
銀行家、商人家のユダヤ人と国民国家の発展を整理しています。
個別のユダヤ人が宮廷ユダヤ人として上昇していき、国家の事業に資金を提供して、金融関係の取引に従事したこと。
ロスチャイルド家に代表されるユダヤ系ネットワークで、富裕層の組織が特権が拡大されたこと。
帝国主義とブルジョアジーの時代に、富裕層が政治的に無関心だったこと。
第一次世界大戦と国民国家体制の崩壊が起きて、集団としての西洋ユダヤ人が解体され、戦後はユダヤ人の持つ富の重要性がなくなったこと。
ユダヤ人は、国民国家の相互媒介者として利益を維持することができていました。ユダヤ人の自己保身と各国家で利害が一致していたのです。
国家の関係によって地位が規定されるという意味では、ユダヤ人は政治的な存在でした。
権力のための権力
帝国主義の目指すところは国民国家それ自身の利益でもありません。服従や領土拡大による帝国の建設でもないのです。権力の拡大そのものを目指していました。
アレントによれば、無制限の資本蓄積は無制限の権力拡大を必要とすることを洞察していたのが哲学者ホッブズだといいます。
富の獲得は遅かれ早かれ領土の限界を超えると、蓄積プロセスは政治権力の掌握によってはじめて保証されるというものです。
独占された権力に基づく国家において、すべての人間は権力の下では働く歯車と化すことを表現しています。帝国主義時代のブルジョアジーによる政治権力拡大の理論を先取りするものだとアレントは理解しました。
全体的服従
絶対の忠誠が可能になるためには、具体的な内容を空白化することが必要です。生じる変化に対応した服従を要求することができなければなりません。ヒトラーは内容について議論をするのを拒否することによって、党の当初の網領から運動を開放しました。便宜主義的な思考と特徴としています。
明確なマルクス主義の協議と共産党のまとめた概念が存在していたロシアの場合、スターリンはこうした制約を分派の廃止、路線論争の禁止の後に行った際解釈によって事実上廃棄してしまいました。
全体主義運土は、特定の綱領路線に縛られない自由、いつまでも任意の目的と任務に構成員を拘束する自由を獲得していたのです。その教義からいかなる方向性も考えさせません。
ファシズムの目的が自分たちのエリートを国家権力につけることであったのに対して、全体主義は全体的な支配を目的としていました。支配者と被支配人民の間の距離をも除去することにあるのです。
ファシズムが一党支配であるのに対して、全体主義は一党独裁そのものの過渡的な目的にすぎないのです。
スターリン死後のロシア
後継者問題が全体主義の難点です。スターリンやヒトラーは後継者の問題を考えていません。ナチス・ドイツの全体主義は敗戦とヒトラーの死によって終焉を迎えたが、ソビエト・ロシアの場合には、スターリンの死によって後継者をめぐる競争が事実として話が始まっています。
スターリンの忠実な弟子はフルシチョフですが、アプローチの点で重要な相違があるのです。本来の全体主義へと向かう潜在的可能性を秘めながらも、国民的な方向を選んでいるように見えていて、全体主義的性格を根底から変える可能性を持っているとアレントは言っています。
変化として警察から軍隊への重心の移動が挙げられています。スターリンの場合に最高権力は警察ではなく党の下にあり続けて、党機構で合って軍隊ではありませんでした。スターリンが彼の警察幹部をパージしてそのジューコフを最高司令官から解任することでその党内マヌーバーに従ったのです。
もとより軍事同区債への転換が戦争の危険をただちに意味するわけでもありません。中国という巨人に直面してロシアは一時的に合衆国と協定して現状を凍結し、2つに超大国が現存の影響圏をお互いに認め尊重することに傾いています。その限りではソビエト指導部は本当に戦争の危機を犯そうとは考えていないように思えます。しかし、それ自体として評価することは危険です。
感想
サイト管理人
こんな近寄りがたいような書物を、結構な人が読む時代がきてしまっています。テロだの内戦だの戦争だの、便利になった世の中で、なかなか想像できない物騒なことが起きています。
服従、支配、独裁、なかなか目にしない聞かない言葉です。ニュースを見てても、世界情勢が二分してきたなと思うことがあります。
youtubeを見ると、明るい企画やゲームを元気よくやっている人がいて平和だとも思うのです。ちょっと外れれば、戦争している国があり、シェルター生活をしている人もいます。
ゲーム内でVault-Tec社なる研究内容のテキストに高笑いしていましたが、今やブラックすぎるジョークに思えます。
今では、みんな価値観が違うので、恐怖による支配できる気もしません。下水道の見回りなどの意味のわからない仕事を与えることで、全員雇用を実現するというパワープレイ社会主義は通用する未来が想像できないです。
近寄りがたく理解しがたい書籍でした。できれば再考したくないような内容です。
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