Newton 2025 2月号

発売日 2024年12月24日

ページ数 144p

ISSN 0286-0651

もくじ

  • FOCUS
    • 鳥の翼を模倣した飛行機
    • 初期の宇宙の巨大 な銀河
    • 「中性子寿命の謎」を理論的に解明
    • 全球凍結が地球全土でおきた証拠
    • 埋葬地がなわばりを示していた可能性
    • 大腸菌を投与してがんを治療
  • From 朝日新聞
    • 市民の写真続々, オーロラの“謎” 解明
    • イプシロンS燃焼試験で2回連続の爆発
    • 生成AIが歴史地震研究に一役?
    • 生物の体内, CTで360度観察
  • 大特集 Newton Special 革命的理論の誕生と発展 量子力学100年
    • 監修 日本物理学会
      • 長谷川修司/ 山本貴博/石原安野 橋本幸士/藤井啓祐/村山 斉
    • 執筆 福田伊佐央
    • 1925年、のちに社会を大きく変えることにな 新しい物理学が誕生した。 それが「量子力学 量子力学の誕生と発展の物語にせまろう。
      • PART1 量子力学の誕生
      • PART2 発展する量子力学
      • 特別インタビュー
  • 母体の神秘 妊娠、出産, その後 激変する母体のメカニズム
    • 監修 遠藤誠之
    • 執筆 山本尚恵
    • 約40週の妊娠期間の間におきる母体の変化の過程は、ひとつひとつがおどろきと謎にみちている。母体にまつわるさまざまな不思議を科学的に解説していこう。
  • 太陽系の必見スポット 火山, オーロラ, 水などが 織りなす太陽系の絶景
    • 監修 関根康人
    • 執筆 小谷太郎
    • 太陽系には、火星の峡谷や木星のオーロラなどの驚異に満ちた光景がある。有名な絶景から知る人ぞ知る美しい景色まで,太陽系屈指の必見スポットを紹介しよう。
  • レオナルド -万能人の実像 科学の先駆者の眼と手が遺した,観察と思索の記録
    • 監修 金山弘昌
    • 執筆中野太郎
    • ルネッサンスの天才レオナルド・ダ・ヴィンチは解剖学 機械工学・物理学などのさまざまな分野の「手稿」 を残した。万能人の実像に科学の視点からせまろう。
  • 「地球沸騰」への処方箋 絶望的な状況の地球温暖化を止めるすべはあるのか?
    • 監修 江守正多
    • 執筆 荒舩良孝
    • 地球温暖化による気候変動は,今や私たちの命にかかわる事態だ。地球温暖化の最新状況と、「最悪 のシナリオ」を回避するための方策について、専門家に聞いた。
  • ネコの心理学 予想以上に人間に注意を向け,家族の名前や顔を記憶していた
    • 監修 高木佐保
    • 執筆 西村尚子
    • かわいらしさと,ツンデレな態度によって,ネコは多くの人を魅了する。ネコは何を考えているのか,人間とわかりあえるのか。心理学の研究を通じてせまってみよう。
  • Nature View 野生動物の宝庫 アマゾン 大河がはぐくむ熱帯多雨林の今
    • 監修 三田村啓理
    • 執筆 薬袋摩耶
    • アマゾンの熱帯多雨林には、全世界の約10%にあたる野生生物が生息している。一方で、環境破壊も深刻だ。アマゾンに暮らす動物たちとその現状を紹介しよう。
  • 1月の星ごよみ
  • Newton Information

Focus

「中性子寿命の謎」を理論的に解明

ジャンル:物理学

出典 Exciting hint toward the solution of the neutron lifetime puzzle
Physical Review D, 2024年10月10日

 中性子は、陽子とともに原子核を構成する粒子です。原子核内では安定していますが、外に取り出されると、約15分で崩壊します。

 この中性子の寿命を測定する方法には「ビーム法」と「ボトル法」の2つがあります。ビーム法で測定される中性子の寿命が長くなることから、中性子寿命の謎とされてきました。

 オーストリア、ウィーン工科大学のコッホ博士らは、この謎を解明しました。ビーム法では「励起状態」の中性子が多くエネルギーが高い状態であり、ボトル法では「基底状態」の中性子が多くエネルギーが低い状態であることがわかりました。

大腸菌を投与してがんを治療

ジャンル:医学

出典 Probiotic neoantigen delivery vectors for precision cancer immunotherapy
Nature, 2024年10月16日

 アメリア、コロンビア大学のアルパイア博士らは、大腸菌の遺伝子を改変し、がん抗原を複数並べたタンパス質をつくらせました。

 改変した大腸菌が体内に入ると、免疫細胞のマクロファージに取り込まれます。マクロファージは大腸菌とともに取り込んだがん抗原を、ほかの免疫細胞に提示し、最終的にがんに対する免疫ができます。

 マウスのがんにこの大腸菌を血液に投与すると、別の臓器に転移したがんの増殖も抑制されました。最適ながん治療になるかもしれません。

発展する量子力学

執筆者:福田伊佐央

実用化に向けて

 2024年、IBM、グーグル、アマゾン、アリババ、富士通、NECなどが量子コンピューターの開発を進めています。しかし、最先端の量子コンピューターであっても、通常のコンピューターのように使えるわけではありません。

 量子ビットの数を調整し、エラーを訂正する技術がまだ確立されていないのです。実用化には数万個以上の量子ビットを同時に扱える必要があり、現在は100個ほどしか実現していません。

スマホの充電頻度が劇的に下がる可能性 (東京大学 長谷川修司教授 インタビュー)

 トポロジカル絶縁体という特殊な物質を半導体として利用する研究が盛んに行われています。この研究は、消費電力の少ない半導体の実現を目指しています。

 この特殊な半導体のふるまいは、電子の波の性質が関係しているため、量子力学の効果がそのまま表されていると言えます。

 10年後、20年後には、スマホが1ヶ月に一度充電すれば良い時代が来るかもしれません。

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