
発売日 2025年2月26日
ページ数 144p
ISSN 0286-0651
もくじ
- FOCUS
- 火星探査車の形状記憶合金タイヤ
- 宇宙をめ ぐる炭素の旅
- 心臓を再生する遺伝子を特定
- 初期人類ホモエレクトゥスの生存術
- 気候 変動によって地震の頻度がふえる
- 光を当て ると磁石になる物質
- From 朝日新聞
- がんの起源はどこか
- 人工衛星 × 航空機でめ ざすは水蒸気量観測
- 「バケツに食塩水」でシカの繁殖減らす
- 量子もつれ1000倍高速に
- ベンヌからもアミ ノ酸
- 温暖化監視する宇宙の目
- 第1特集 Newton Special アレルギーの新常識 ~原因・治療から,気になる疑問まで~
- 監修 矢上晶子
- 執筆 島田祥輔
- 近年アレルギーに対する科学的な理解が深まり,考え方が大きく変化している。多様化・複雑化するアレルギーや,皮膚とアレルギーの深い関係など, アレルギーに関する最新の知見を紹介する。
- 新連載 挑戦者 袴田武史一月に挑む 民間月面探査をめざすHAKUTO-Rの挑戦
- 聞き手 森久美子 (編集部)
- 地球に住みつづけるために月に挑む。 袴田武史さんがめざす,月で暮らす未来とは?
- 土星美しきリングの世界 シミュレーションと観測で リングの謎に挑む
- 監修 玄田英典
- 執筆 小熊みどり
- リングをもつ土星は人類を魅了してきた。リングの起源は未解明で,観測やシミュレーションによる研究が進んでいる。美しい画像とともに土星の謎にせまってみよう。
- 第2特集 Newton Special 基礎から次世代技術まで徹底図解 半導体の未来
- 監修 昌原明植
- 執筆 福田伊佐央
- 毎日のように半導体関連のニュースが報じられている。現代の社会は半導体なしではなりたたない。半導体の基礎から最先端技術,そして今後の進化をくわしく解説する。
- 都市の復興物語 住民の意思と時代の変化が都市の復興を牽引する
- 監修 初田香成
- 執筆 加藤まどみ
- 歴史上、都市は天災や戦災などでダメージを受けながらも復興をしてきた。 東京やワルシャワ,キーウなどの実際の事例をもとに,都市を復興という視点でみてみよう。
- 異次元の物理学 重力の不思議からかくれた高次元をさがす
- 監修 村田次郎
- 執筆小谷太郎
- 私たちの世界は縦・横・高さからなる「3次元」だ。3次元をこえた高次元が物理学で研究されている。重力の不思議と深く関係する異次元の物理学をのぞいてみよう。
- 次のパンデミック 新たな感染症が次々と出現するのはなぜか?
- 監修 河岡義裕
- 執筆 梶原洵子
- 未知のウイルスが出現する可能性が高まっている。次のパンデミックはどこからあらわれて,どうすれば防げるのだろうか。感染症の第一人者に取材した。
- こんなにちがう雄と雌 同じ種とは思えないほどの極端な性差
- 監修 小宮輝之
- 執筆 葉袋摩耶
- 動物の中には、同じ種でも雄と雌で姿がまったくちがうものがいる。極端な性差はどのように進化してきたのだろうか? 雄と雌の不思議な関係をのぞいてみよう。
目次
Focus
宇宙をめぐる炭素の旅
ジャンル:天文学
出典 The CIViL*Survey: The Discovery of a C Ⅳ Dichotomy in the Circumgalactic Medium of L * Galaxies
The Astrophysical Journal Letters, 2024年12月27日
宇宙に損愛する水素とヘリウム以外の元素の多くは、恒星の内部の核融合反応によってつくられたのち、超新星爆発によって放出されます。銀河は銀貨周辺物質(CGM)というガスで覆われていて、新星爆発放出された元素はそのCGMとして銀河の周辺にたくわえられています。
ワシントン大学院生ガルザ氏らは、ハッブル宇宙望遠鏡の観測データを分析し、遠方にある銀河から届く光の一部が大量の炭素に吸収されていることを発見しました。地球にすむ私たちに必要な炭素が、広い範囲を循環したものである可能性を示しています。
気候変動によって地震の頻度がふえる
ジャンル:地学
出典 Exploring the impact of deglaciation on fault slip in the Sangre de Cristo Mountains
Colorado, USA, Geology, 2024年11月13日
気候変動が地殻変動にどのような影響をあたえるのかはよくわかっていません。
アメリカ、コロラド州立大学のハータド博士らは、コロラド州南部のサングレ・デ・クリスト山脈の断層の活動に氷河の溶解が影響していたことを明らかにしました。
地殻変動の時代変化を、扇状地の断層から解析しました。遠隔地センサーやリモートセンシングなどの様々なデータを組み合わせ、氷河の変化と地殻変動の関係から、断層にかかっていた力の変化を検証しました。
分析の結果、氷河がとけることで、断層にかかっていた力が大きく減少していたことがわかりました。氷河の質量が減り、断層の活動が容易になったことで、地震が起きやすくなったことを意味しています。
花粉症最新事情
2025年の花粉の飛散量
2024年と比べると、北海道と東北北部を除いて全国的に花粉飛散量が多くなると予想されています。1月8日からスギ花粉が飛び始めていて、観測史上最も早い飛散開始となりました。
無花粉スギの開発が進む
スギの中には、ごくまれに花粉をつくらない個体が存在します。1992年に富山県でみつかりました。2021年と2023年に林業総合研究所や新潟大学を中心とした研究グループが、無花粉スギを生み出す原因遺伝子を特定しています。こうした知見が無花粉スギの育種や生産効率の増大につながると期待されているようです。
舌下免疫療法
花粉症やダニアレルギーについて効果的とされているのが舌下免疫療法です。アレルゲンが含まれる錠剤を舌の付け根に置いて、しばらくしたらその錠剤を飲みこむという治療法となっています。なお、この舌下免疫療法は保険適応です。
また、花粉を含んだお米の開発が行われています。少しずつ経口摂取して、花粉症を緩和しようという狙いがあります。2024年に農林水産省で行われた検討会では、有効性や安全面などを配慮し、医薬品の原料として粉末状のものから試してみようという方針が出されています。