理科で考える自然災害/著者:藤岡達也

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書籍情報

タイトル

理科で考える自然災害

発刊 2024年9月6日

ISBN 978-4-491-05564-0

総ページ数 148p

出版社リンク 東洋館出版社

著者

藤岡達也

滋賀大学大学院教育学研究科教授。
兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科教授。
東北大学災害科学国際研究所客員教授。
一般社団法人教育普及協会理事。

出版

東洋館出版社

もくじ

  • 第1章 自然災害を理科教材として取り扱う―その視点と理科教育の動向―
    • 01 頻発する自然災害と VUCA 時代の教育……。
    • 02 防災を通した地域と学校との新たな関係
    • 03 自然の二面性の学び ―国立公園・世界遺産 ・ ジオパークなど―
    • 04 枠組みを超える自然災害教育
    • 05 STEM / STEAM 教育の観点と自然災害に関する教育・
    • 06 ICT と防災教育 ―プログラミング学習から GIGA スクールまで一
    • 07 学校安全,危機管理に果たす理科教育の役割
    • 08 日本から世界へ発信する BOSAI と国際貢献の在り方
    • COLUMN 01 災害の教訓を伝える地域の石碑
  • 第2章 自然現象が自然災害へと変わるときーそのメカニズムと事例一
    • 01 地震・津波の発生と災害
    • 02 火山噴火のメカニズムと災害
    • 03 前線・台風による集中豪雨と水害
    • 04 土石流・地すべり崖崩れなどの土砂災害
    • 05 豪雪,雷, 竜巻などによる様々な気象災害
    • COLUMN 02 自然災害と学校の悲劇
  • 第3章 自然災害を取り扱った授業展開例
    • 持続可能な社会を目指した「自然と人間との関わり」の学び
    • 01 小学校中学年 雨水の行方と地面の様子 1
      • 流域の概念から水循環について考え、水の豊かさを知ろう
    • 02 小学校中学年 雨水の行方と地面の様子 2
      • 土石流はどのような場所で起こるのか
    • 03 小学校高学年 流れる水の働きと土地の変化 1
      • 水害の歴史と治水から身近な川との付き合い方を考えよう
    • 04 小学校高学年 流れる水の働きと土地の変化 2
      • 水害を防ぐための取組を考え, 説明しよう
    • 05 小学校高学年 天気の変化 1
      • 「伊勢湾台風」についての理解を深め,台風への備えを考えよう
    • 06 小学校高学年 天気の変化 2
      • 風水害から命を守ろう
    • 07 小学校高学年 土地のつくりと変化
      • 液状化現象による土地の変化をモデル実験で観察しよう
    • 08 小学校高学年 生物と環境
      • 自分たちの地域で起こりやすいのは,どのような自然災害だろうか
    • 09 中学校 火山と地震
      • 火山で生まれた岩石 !? 一火成岩と火山の関係を追究しよう
    • 10 中学校 自然の恵みと火山災害・地震災害
      • 自然の恵みについて調べ, 伝え合おう
    • 11 中学校 身近な地形や地層, 岩石の観察
      • 自然景観をつくる岩石の観察を通して,地殻変動を考えよう
    • 12 中学校 日本の気象
      • 理科の学びを活かして災害を予測し,自分たちのとるべき行動を考えよう
    • 13 中学校 自然の恵みと気象災害
      • 高潮による災害が発生する仕組みを説明しよう
    • 14 中学校 地域の自然災害
      • 災害が多発する地域の自然の特徴について探究し、災害への対応を考えよう
    • 15 中学校 自然環境の保全と科学技術の利用
      • 原子力災害等において,放射線から身を守るための判断力を身に付けよう
    • COLUMN 03 発達の段階に応じた防災教育
  • おわりに

書籍紹介

 この本は、読者が自然災害の基礎から始まり、具体的な種類やそのメカニズム、そして対策に至るまで、分かりやすく解説しているのが特徴です。理科という視点から、地震、津波、火山噴火、台風、豪雨、土砂災害などの自然災害を詳しく取り扱っています。これらを通じて、自然災害がどのように発生し、どうして我々の生活に影響を及ぼすのかを科学的に理解することができます。

災害リスク

 災害の恐ろしさを伝えるだけでなく、それらに対する備えや対策、さらには災害後の復興や社会の再生についても触れています。科学的知見を通じて、災害から身を守る方法や、災害リスクを減らすための具体的な行動について提案しているのです。この視点は、自然災害をただの宿命として受け入れるのではなく、人間の知恵と技術で対峙する方法を示すものであり、非常に有益です。

防災教育

 書籍内では最新の研究結果や技術の進歩についても言及されており、科学がどのように自然災害の予測や対策に寄与しているかがわかります。例えば、地震予知の可能性や、気象予報の精度向上、防災教育の重要性などが、具体的事例とともに解説されています。

災害が頻発する国なら必須の学び

 自然科学に興味がある人だけでなく、日常生活の中で災害への理解を深めたいと考える全ての人にお勧めできる一冊です。災害に直面する私たちにとって、知識は命を守るための重要な武器となります。この書籍を読むことで、自然災害に対する恐れを知識に置き換え、より賢く、そして安全に生きるための道筋が見えてくるでしょう。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

自然の二面性の学び

 東日本大震災発生後、東北地方太平洋側に立地する沿岸部の学校では、津波の被害から免れるために、地震が発生するとすぐに海から離れることを目指した防災教育が実践されてきました。

 命を守るためには、危険を予測し、迅速に安全な行動がとれるように指導することが重要です。

 しかし、海は常に津波の危険があるため、子どもたちに逃げる場所を意識するよう教育することは必ずしも効果的な方法とは言えません。

 津波は稀にしか来ませんが、釜石が魅力的な郷土であるという認識も大切です。

豪雪による被害

 豪雪によって日常生活に被害が生じ、重大な自然災害となる場合もあります。交通の遮断、立ち往生による車両滞留、雪下ろし中の事故などが発生します。

 気候変動の影響もあり、近年では豪雪によって生じる犠牲者は減少しているように見えます。かつては甚大な被害が生じていました。例えば、1963年では、北陸地方を中心に犠牲者231名、負傷者356名を出しました。

 最近では、2006年の12月から1月上旬にかけて、非常に強い寒気が大陸から日本付近に流れ込み、強い冬型の気圧配置が断続的に現れることで、日本海側では記録的な大雪となりました。これにより、屋根の雪下ろし中の事故や落雪による屋根倒壊などが原因で、死者152名、負傷者2145名の人的被害が発生しています。

 この校正では、文法や表現を自然にするための微調整を行いました。また、読みやすさを向上させるために、句読点の位置を調整しました。

中学校向け授業 岩石の観察

 山々の景観をつくる岩石を、理科室内で観察し、地球のダイナミクスを理解しようとする授業です。

 身近な山々を構成している岩石を意識したり、山のでき方を考えたりすることはあまりありません。遠足やハイキングなどで訪れたことがあったり、地域の中で身近に感じたりする山を取り上げます。

 山体をつくる岩石には違いがあり、火山活動でできた火山以外は、海底等で砂・泥などからできた堆積岩や、マグマが地下深部で長い年月をかけてできた深成岩を隆起して、現在みられるような景観を形成しています。

 このような造山運動が、場合によっては地震と関係していることを理解し、日常では美しさをつくっていることを想像して考えることができるようになるでしょう。

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