ぼくの音楽人生/著者:服部良一

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※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

書籍情報

タイトル

ぼくの音楽人生

発刊 2023年11月10日

ISBN 978-4-537-22164

総ページ数 319p

著者

服部良一

ニットー・レコードと契約し音楽監督、コロムビアに専属作曲家、日本作曲協会設立後に理事長を経て会長になる。レコード大賞音楽文化賞、国民栄誉賞を受けた。

出版

日本文芸社

もくじ

  • 口絵 父の思い出
  • 道頓堀ジャズ
  • 明治・大正の洋楽
  • シンガー・ソングライター
  • 少年音樂隊
  • メッテル先生
  • 大阪のジャズ界
  • ジャズ・ソング界
  • ジャズ・ソング事始め
  • ラプソディー・イン・ブルー
  • 東京のジャズ界
  • 響友会と音楽結婚式
  • ニットーからコロムビアへ
  • ジャズ・コーラスとブルース
  • 全日本選抜スイングバンド
  • 松竹楽劇団
  • 東宝系映画音楽
  • 戦時中のジャズ
  • 夜来香ラプソディー
  • 平和の叫びブギウギ
  • 青い山脈・銀座カンカン娘
  • 戦後のジャズ・ポップス界
  • 渡米と二千曲記念ショー
  • 休止符なき音楽人生
  • あとがき
  • 服部良一略歴・主要作品リスト

明治・大正の洋楽

 洋楽が日本人入ってきたのは、安土桃山時代に渡来した南蛮人による演奏があったとしても、明治維新以降とすべきでしょう。

 明治元年、官軍が江戸へ行進するときに将兵に歌ったといわる、「宮さん宮さん……」の『トコトンヤレ節』は鼓笛の伴奏付きであり、このあたりが日本の洋楽の初めです。

 維新が成ると、官軍の主力の薩摩藩では、正式に30名よりなる軍楽隊を編成しました。ロンドンから購入した楽器は、フルート、ピッコロ、クラリネット、トランペット、トロンボーン、ホルン、大太鼓、小太鼓などです。

 開港開国とともにキリスト教が入ってきて、賛美歌が歌われました。オルガンとうたわれるハイハラな旋律は文明開化を象徴するもになっていたのです。

ジャズソング事始め

 ジャズ・ソングの最初の大ヒットは、昭和3年8月、ビクターから発売の『私の青空』と『アラビアの唄』です。次いで昭和4年にコロムビアから『バレンシア』、『月光価千金』などがヒットし、『恋はやさし』は大流行をしました。

 ジャズ・ソングは、ジャズのスタンダード・ナンバーやポピュラー・ソングを中心に、シャンソンも単語もルンバも包含した広い意味のダンス曲の呼称だったのです。

 ダンスホールやカフェからもジャズの盛況ぶりが伝わってきて、華やかに活躍する演奏者・ミュージシャンは、ほとんどが大阪で一緒にプレーした仲間でした。

 マイナーたるを否めないタイヘイ・レコードでの仕事も空しく思うようになったのです。

戦時中のジャズ

 昭和15年10月には、その31日を限りとして、全国のダンスホールが閉鎖されました。

 太平洋戦争と称された対米英戦争がはじまってすぐの12月30日、当局は米英音楽の追放を発表したのです。どのような名曲であろうと一切、演奏しても聴いてもいけないという命令でした。

 レコードは「音盤」に変えられ、音階も「ドレミファソラシド」が「ハニホヘトイロハ」になりました。ピアノは洋琴、バイオリンは提琴、サキソホンは金属製品曲り尺八、トロンボーンは抜きさし曲り金長喇叭、コントラバスは妖怪的三弦と表現を変えたのです。

 昭和17年以降は、レコードの仕事は極端に減っていました。NHKで当時たった1つ残っていた週1回の『軽音楽の時間』のスタッフに指揮と編曲で参加してうっぷんを晴らすことにしていたのです。楽団は、気心がわかっているコロムビア・ジャズ・バンドを中心とした編成で、監督官をいろいろごまかしてジャズ的演奏を放送しました。

戦後のジャズ・ポップス界

 戦後、堰を切ったように多くのジャズ。バンドが結成されました。進駐してきた米軍のキャンプやクラブの受容に応じるためです。占領下の日本列島には、いたるところにG・I施設がもうけられ、慰安のためのバンドを必要としました。

 26年9月に日米講和条約が締結されると日本列島から基地が減少して行き、従って多数のジャズメンが国内市場に流れ込んだのです。日本は空前のジャズ・ラッシュ時代を迎えることになりました。

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