無印のカレーはなぜ売れたのか/著者:中村新

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書籍情報

タイトル

「無印のカレー」はなぜ売れたのか?

食品ビジネスで成功する思考と仕組み

発刊 2025年2月10日

ISBN 978-4-86593-694-0

総ページ数 223p

書評サイト グルメプレス

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著者

中村新

産業フードプロデューサー
高知工科大学客員教授
株式会社キッチンエヌ代表取締役

名だたる海外のレストランで修行し、日本の料理店やホテルなどで総料理長を歴任する。独立後は禁食店経営のプロデュース、良品計画を含めた企業の支援をしている。地域活性、食育の調査などを精力的に活動中。

出版

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もくじ

  • はじめに 成功の土台にはフィロソフィーがある
  • 1章 噺家志望だった少年が、食の世界にとりつかれた
    • 客商売でいちばん大切なこと
    • はからずも“料理界の東大〟へ
    • 携帯のない時代、電車で何をしていたのか
    • 人生を変える出会いと大失敗
    • ゴミは宝物─捨てる神あれば拾う神あり
    • 夢の番組担当が始まった
    • ヨーロッパ修行で受けた洗礼
    • 発想・技術・道具で得た小さな栄光
    • ウエインストックの週末料理人
    • プロデュース業の重要性とおもしろさに目覚める
  • 2章 無印のカレー開発秘話 おいしいだけでは売れない
    • おいしいだけでは売れない
    • 小さな転機
    • 素の食は民藝に置き換えられる
    • たかが下味、されど下味
    • 「レトルト食品」が売れていた理由
    • 無印良品の要は品質管理
    • 本場に出かけたからこそわかったこと
    • 課題を抱えるエースの改良依頼がきた 海外食リサーチの心得
    • バターチキンの“無印良品的本質〟を見つける
    • おいしいものは油脂(アブラ)と塩でできている
    • 購買ターゲットは誰か
    • 最初の試作品ができあがる
    • バターチキンカレーを変えたもの
  • 3章 バターチキン快進撃の根底にあったもの
    • どっぷりと世界に入ることでわかるフィロソフィー
    • バーミキュラの鍋は“MUJIっぽい”か?
    • 「これがいい」ではなく、「これでいい」の意味
    • ”味覚成長”を見すえた戦略
    • 味の深化につきまとう原価調整の課題
    • 原点回帰=先祖返りではない
  • 4章 神田カレーグランプリの勝利
    • カレー店立ち上げ参画の機会がやってきた
    • ここでカレーの話を少し掘り下げる
    • 目指すは熟成ではなく「鮮度」のあるカレー
    • グランプリを取るための秘策
    • ついにその日がやってきた
  • 5章 「地方」「土着」にひそむ、食ビジネスのチャンス
    • 地方創生と食―こんなにおもしろくて難しいネタはない
    • 黒潮町の町長から入ったミッション 100
    • 車内反省会でひらめいた付加価値
    • 人件費をプラスに変える、発想の転換
    • 「6次産業化」セミナーで農作物を商品化
    • 「いっちょういったん」という地産品ブランドの展開
    • 都市部で地域産品を売る時代は終わる
    • 旅は道連れ、食を売れ!
    • 地方らしさを存分に発揮して、粗利を高く獲得する
  • 6章 いちばん難しい「値づけ」の極意
    • 食の定価の基本構造とは
    • 価格決定時に何を優先するか
    • 精度の高い「適正価格のリサーチ法」
    • 食における「ブランド」とは
    • 定価は「コンセプト」の集大成
    • 利益に影響する5大要素
    • 食の定価の基準を推しはかる
    • 原価度外視の地方産品がなぜ生まれるのか
    • 干し芋が教えてくれた、定価に込められた親心
  • 付録 中村新オリジナル 簡単ごちそうレシピ
    • にんにくと豆のスープ たっぷりのオリーブオイル
    • にんじんのレモンバター煮
    • 大根と白菜のドイツ風ソテー
    • サーモンのステーキ 豆乳ハーブクリーム添え
    • ホタテ貝柱のカルパッチョ 生かぼちゃドレッシング添え
    • 青ネギと牛肉のバジル丼
    • 味付き薄揚げが決め手のゴーヤチャーハン

書籍紹介

 無印良品のレトルトカレー、特にバターチキンがどのようにして多くの人々に愛される存在になったのか、その裏側に迫る一冊です。

無印愛を感じる

 中村さんは、長年無印良品の「食」に携わってきた経験を持つ方で、この本ではカレー開発の秘話や食品ビジネスで成功するための考え方を丁寧に綴っています。特に印象的だったのは、単に「おいしい」だけでは売れないという視点です。無印のカレーがヒットした理由は、味だけでなく、ブランドの哲学やストーリーがしっかり込められているからだと感じました。例えば、バターチキンを作るにあたって、現地に足を運び、本場の味を研究しつつも、無印らしいシンプルさと親しみやすさを追求したプロセスが詳しく書かれています。

ビジネスの参考にも

 この本は開発の裏話だけでなく、ビジネスとしての視点も教えてくれます。値付けの難しさや、消費者の味覚が変化していく中でどう対応するかといった課題にも触れていて、読み進めながら食品業界の奥深さを知ることができました。中村さんの豊富なエピソードが随所に散りばめられているので、まるで一緒に現場を覗いているような気分になります。

 無印良品の「これでいい」という姿勢が、カレーの成功にどう結びついたのかを知れます。派手さはないけれど、日常に寄り添う商品だからこそ、多くの人に受け入れられたのだと納得できます。巻末には中村さんオリジナルの簡単レシピも載っていて、実践してみたいと思うような手軽さが嬉しいポイントです。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

購買ターゲットは誰か

 無印の担当が狙いを定めた主な購買層の年齢は、38歳です。働きながら子育てをする年代で、忙しい家事のなかにあっても個人の価値観をしっかり維持し、高めていくような人をターゲットにしました。

 統計データでは、30代女性は男性よりも単価が高い傾向にあります。もちろん、レトルトカレーも例外ではありません。家庭にレトルトカレーを常備しようと買い物にでかければ、自分用には高めのものを買い、パートナーには自分用よりも安価で量があるものを選びます。(大まかな家計管理すら妻に任せっきりにしている夫は、お気をつけていただきたい)

 こんな購買傾向にある、子育てと仕事を両立させている女性が食べるバターチキンカレーを開発していきました。美味しいのは当たり前品質ですが、ご飯に合わなかったり、インド風すぎるのも売れないでしょう。

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