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目次
書籍情報
勘違いが人を動かす
_教養としての行動経済学入門

発刊 2023年10月31日
ISBN 978-4-478-11703-3
総ページ数 432p
エヴァ・ファン・ブルック
行動経済学者。ユトレヒト大学講師。
消費者が持続可能な選択をすることができるよう、より良い行動インセンティブを設計する組織を支援しています。
ティム・デン・ハイヤー
クリエイティブ戦略家、行動デザイナー、コピーライター。
ダイヤモンド社
- 訳者はじめに
- 目次
- はじめに
- 「論理」よりも「情熱」よりも、「人を動かす」もの
- 私たちの行動は「誰か」に誘導されている
- 人を動かす「ハウスフライ効果」と認知バイアス
- 「行動科学」を効果的に使うための注意点
- なぜカジノは「現金」ではなく「コイン」を使わせるのか?
- 日常にあふれる無数の「仕掛け」を解き明かす
- 日本語版への序文
- 第1章 脳に騙される私たち_自分にとって都合のいいことばかり考えてしまう理由
- 「私だけに当てはまる!」と誰もが思っている
- 「頭で考えて動く人」と「直感的に動く人」は決定的に違うのか?
- 現代の生活にそぐわない「衝動性」が遺伝子に刻まれている理由
- 「自信過剰」なのは当たり前
- 無知な人より、知識が豊富な人のほうが自信を持てない理由
- あなたを「勘違い」させる脳の仕組み
- 人間の意識は「脳がどう働いているのか」を把握できない
- |実験してみよう|人はなぜ自信過剰になるのか?
- 自分を過大評価するのは他人がいるとき
- 精神を鍛えるより環境を変えたほうがいい理由
- 選挙で利用された認知バイアス
- 失敗はおまえのせい、成功は私のおかげ
- 自己欺瞞の本質は、自分に嘘をついて自分を騙すこと
- 「役に立たない」押しボタンが人を守る
- わざと「水っぽい味」にされたコーラ
- 「美味しいものは高い」のではなく、「高い」だけで美味しく感じる
- 「望ましくない情報」からは意図的に目を背けてしまう
- 頭ではわかっていても、脳に騙される
- |実験してみよう|子どもがたくさん食べるお皿はどっち?
- 握手の前には手を温めたほうがいい
- 第1章まとめ_私たちを騙す脳のクセ
- 第2章 なぜ人は怠けてしまうのか_「面倒くさい」を脱し「すぐやる人」になる方法
- 「20ドルもらうために27ドル払う」人
- 広告費を使わず売り上げを倍にするシンプルな方法
- ビジネスと好況機関で使われる「ナッジ」
- キャッシュバック制度は意図的に「面倒くさく」されている
- 自殺者すら減らす「面倒くさい」の力
- 相手に「面倒くさい」と思わせたらダメ
- 意思決定の95パーセントは自動的に行われている
- 暴徒化した市民も、「順路に従って」大人しく行進してしまう
- 「大量の情報」より「わかりやすい」ほうが効果的
- 「なぜなら」と言うだけでうまくいく
- ダイエットを成功させたいなら「数字のない」体重計を使うべき
- 「複雑な問題だ」と考えることが「シンプルな解決策」になる
- 選択肢は欲しいが、選びたくはない
- 選択肢を限定されると、他の選択肢を忘れてしまう
- 絶対に選べない「ダミー選択肢」のすごい力
- 「何もしなくていい」ならそれでいい
- 知らないうちに「デフォルト」を選んでいる
- なぜ2位じゃだめなのか?
- 習慣を変えるのは難しい
- ブランドのリニューアルが失敗しがちな理由
- 新しい習慣をつくるのは「途中でやめるのはもったいない」という気持ち
- 人を夢中にさせる4段階「フック・モデル」
- 認知バイアスを使って良い習慣を身に付ける方法
- ねらうべきは「ぜんぜん知らない」と「全部知っている」の間
- 第2章まとめ_「シンプル」にして相手を動かす
- 第3章 「想像の痛み」から逃げたい_不安やストレスに振り回されない技術
- 「失う痛みを避ける」ためにどんなことでもする
- 「いらないモノ」を捨てられない理由
- 「お金を使う」のは身体的に痛い
- 「経済的な不満」を感じると、人は食べ過ぎてしまう
- なぜプロサッカー選手が「止められやすい」シュートを蹴ってしまうのか?
- 人はとにかく「確実で安心」が好き
- 決断を左右するのは「リスク回避」
- 病気にかかるよりもワクチンの副作用が怖い
- 保険は「割に合わない」とわかっていてもかけたくなる
- 決断を先延ばすより「すぐやる」ほうがいい
- 人は「選択の可能性が消える」のを嫌がる
- 「閉店セール」や「期間限定」を無視できないワケ
- |実験してみよう|「買うべきモノかどうか」を判断する方法
- 「合計金額」を把握しながら買い物するべきか?
- 「食べ放題」に行くのは心理的にも楽しい
- 「不確実性」は人に苦痛を与える
- 都合の悪い「正確な情報」は見たくない
- 第3章まとめ_不安に振り回されず、利用して相手を動かす
- 第4章 「人と同じ」じゃないと不安_「同調」と「社会性」を使いこなす
- 不合理であっても「行列」には並びたくなる
- 「周りと同じこと」でリスクを回避したい
- なぜ私たちは「限定」に弱いのか
- 「ベストセラー」は自動的に売れ続ける
- 「良くない行動」を指摘しても改善されない理由
- 「人を動かすメール」を書くときの工夫
- 「集団に帰属したい」欲求は非常に強い
- 「仲間外れ」を避けるためなら「自分の考え」も曲げてしまう
- 人材の多様性を確保したいときの方法
- 「社会規範」が集団の結束を強める
- 人は「自分の利益」と「社会の利益」の間で葛藤している
- 「他人が何を考えているか」がわかると自分の行動も変わる
- 「〇〇し始めた」と変化を強調したほうが人の行動は変わる
- 人は「一定の条件下では協力し合う」特性を持つ
- オンラインサイトのレビューを巡る、ゲストとホストの駆け引き
- 真に社交的な人間は、他者のために行動する
- 「いいこと」を言う人は「いいこと」をしない
- 「他人の目」を気にして人は行動を変える
- 人は自分のことを「まともな人間」だと思いたがる
- 「権威」を前にすると論理的思考ができなくなる
- 広告はあらゆる方法で「権威付け」されている
- 「皆さんもご存じのように」で権威を高められる
- 自分よりも他人が気に入る投稿に「いいね」を押している
- 「優れた文学作品」を読むと戦略的思考が鍛えられる
- 「互恵関係」が人類の文明の基盤となっている
- 人に親切にするのは「お返し」が欲しいからではない
- 人は実際に「恩送り」をしているのだろうか?
- 直接的な見返りを求めないことで人類は発展してきた
- 職場で「小さな親切」をしてみよう
- 第4章まとめ_「同調」と「社会性」で人を動かす
- 第5章 「今すぐ欲しい」が「まだやりたくない」_「時間」を効率的に使うコツ
- 「将来の自分の行動」を予測するのは困難
- 未来よりも「今、目の前」の報酬が大事
- スーパーが「野菜売り場」から始まるのはなぜ?
- 誘惑に耐えるうちに「意志力」が尽きてしまう
- 「ギャンブルに負ける」と高いリスクを取りたくなる
- 女性は男性よりもリスクを取らない?
- 大切な決断は「朝のうち」にしたほうがいい
- 「終わりよければすべて良し」は科学的に正しい
- 人は「違う状況に置かれた自分」の予測が苦手
- 状況からどのような影響を受けるか認識する
- 「お金がない」ときに人は頭が悪くなる
- 米国人の「1時間の価値」は19ドル?
- 「時間不足」も思考力を低下させる
- 高金利ローンの警告文はほとんど役に立っていない
- 「先延ばし」をやめて「すぐやる人」になる方法
- 目標を達成したいなら「1色刷り」のスケジュール帳を使うべき
- 「人生の節目」すらマーケティングに利用される
- 5日も早く確定申告書を提出させた「1枚のメモ」
- すぐやる人は「未来時制」を使わない
- 目の前の小さな報酬が将来のための行動を妨げる
- 「せっかち」と「先延ばし」はセットになっている
- 「ぜんぜん行かなくなっていた」スポーツジムに賢く通う方法
- 自主的な目標設定で「未来の自分」を動かす
- |実験してみよう|「コミットメント」で宿題への意欲を高める方法
- 自然と貯蓄を増やすなら企業年金を使うべき
- 第5章まとめ_「すぐやる人」になって目標を達成する
- 第6章 知らぬ間に注目している_誘惑の仕組みを利用する
- 人を惹きつける「魅力」はテクニックで身につく
- 「注目してしまう」と好きになる
- 「カラフルで可愛いロゴ」を使ったデスメタルバンド
- iPodに「白いイヤホン」をつけたアップルの戦略
- 「お人好し」が人を動かす
- 自己紹介の目的は「共通点」を探すこと
- 同じことでも「繰り返す」だけで魅力的になる
- 新しいデザインを受け入れてもらうコツ
- フェイクニュースの拡散を防止する効果的な方法は?
- 「知らない悪魔より知っている悪魔」
- 「目新しさ」と「馴染みのあるもの」の組み合わせがベスト
- 「完璧」よりも「玉に瑕」のほうが好まれる
- 「95%脂肪カット」と「脂肪5%入り」どちらが欲しい?
- |実験してみよう|フレーミングのすごい効果
- 「バレバレの嘘」で議論をすりかえる
- 頭のいい人が「喩え」をうまく使う理由
- |実験してみよう|「喩え」を使って味方をつくる
- 「名前を変えた」だけで大人気になった魚
- 「絶対に選ばない選択肢」をわざわざ設ける理由
- 「韻を踏む」だけで説得力は高くなる
- なぜ誰も頼まない「とびきり高いワイン」をメニューに載せるのか?
- 人は「まったく関係ない数字」にも影響を受ける
- |実験してみよう|アンカリング・参照効果を体験する
- |実験してみよう|裁判官ですら参照効果から逃れられない
- 定価を下げるより「割引クーポン」を配ったほうがいい理由
- |実験してみよう|交渉を成功させる「逆言法」
- 「戦略的サバ読み」で評価を上げる
- 「物語」で5800倍高くなった古い腕時計
- |実験してみよう|物語をつければガラクタでも売れる物語の力で人類は進歩した
- 人は「事実」ではなく「物語」で動く
- |実験してみよう|正確な数字よりも1つの物語
- 11万円で売れた「何の役にも立たないアプリ」
- 「金をかけている」と他人がわかるものが欲しい
- 日本で販売された「2玉300万円のメロン」
- チケットを売りたいなら「価格を倍」にする
- ポルノ女優の「セックスなし動画」に注目が集まる理由
- 第6章まとめ_「誘惑」で人を動かす
- 第7章 報酬はどう与えるべきか_「アメとムチ」をうまく使うために
- 報酬さえ与えれば簡単に人を動かせるのか?
- 報酬が「逆効果」になる場合もある
- 「ご褒美」が効果を発揮するのは、「改善の余地」があるときのみ
- 「教師の指導能力」に応じてボーナスを与えるのは効果的か?
- 事前にお金を受け取ったほうが、良い成果を出せる
- ボーナスが多く与えられると、業績が下がる場合もある
- 「搾取された」と感じるだけで、心臓病につながる危険がある
- 男女の賃金格差を解消するための方法
- 「お金がもらえる」なら、やりたくない
- 「コーヒーが無料で飲めない」職場では。盗難やハラスメントが起こりやすい
- お金のことを考えるだけで、人は不道徳になる
- 「お金が絡む職業の人」は、不正をしやすいのか?
- 倫理観の向上に必要なのは「報酬と環境」の変革
- 人の命を守るための課税もある
- 清涼飲料水から砂糖を消した英国の課税
- 「5分遅刻したら罰金」の制度で、爆発的に遅刻者が増えた
- 報奨金も罰金も条件次第では望ましくない効果を生む
- お金よりも「いいね!」が欲しい
- 報酬よりも「目標設定」と「フィードバック」が、高いパフォーマンスを生む
- 「フィードバック」が、人により良い行動を促す
- 「数値測定」が本来の目的を逸らす罠になる
- 数字が人に与える影響は大きい
- 第7章まとめ_報酬で人を動かす
- おわりに
- 「認知バイアスで人を動かす」ことは、倫理的に許されるのか
- 認知バイアスを使う権利は誰にでもある
- 認知バイアスはまだ社会で十分に活用されていない
- 「ハウスフライ効果」を自分で試してみよう
- 認知バイアスで人を動かす、7つの手順
- 私たちの日常は「行動実験」であふれている
- まずは「4%の改善」を目指す
- 「選択と行動」は、あなたの自由となった
- 謝辞
- エヴァからの私信
- ティムからの私信
- 訳者あとがき
- 原注
- 付録 人を動かす71の認知バイアス
はじめに
認識バイアスとハウスフライ効果は様々な形や大きさで現れます。
スーパーマーケットであなたの買い物カゴをいつの間二価いっぱいにしてしまう狡猾なハウスフライ効果もあれば、安全運転や健康的な生活を促してくれる親切なハウスフライ効果もあるのです。
政治家や営業担当者が巧妙に仕掛けてくるハウスフライ効果のうち、どれを避けるべきか教えましょう。子どもが残さず食べさせたりするために、どんな認知バイアスを活用すればいいかも紹介します。
大人しく順路に従ってしまう
2021年1月、暴徒化したトランプ元大統領の支持者が米国連邦議会議事堂を襲撃しました。あらゆるものを破壊していきましたが、屋内になだれ込むと、派手な金のポールとベルベットのひもで示された順路に律儀に従って前に進んでいったのです。襲撃するような意図的な行動の最中ですら、人は無意識的な行動に操作されてしまいます。
アルステルダムの自動自転車メーカー、バンムーフは、この自動的な行動を巧みに利用しているんです。電気自転車は世界中に出荷されますが、「取扱注意」のシールを貼っても出荷先についたときには破損していることが少なくありません。そこで、電動自転車を薄型テレビのように平たい箱に入れ、箱にテレビの絵を印刷すると、破損率は約8割ほど激減しました。
これはスーパーでバナナに黄色のスポットライトをあてたり、常温で保存できる飲み物を冷蔵庫に陳列したり、芳香機でパンの香りを漂わせたりするのと同じシステムです。
「お金を使う」のは身体的に痛い
何かを購入を検討するよう頼まれた被験者の脳の活動を観察しました。すると脳は、購入の「メリット」と「痛み」を比較していることがわかったのです。
ヒトに何かを売ろうとする側にとって、お金を使うときに生じる痛みを軽減してくれるハウスフライ効果はありがたいものです。お金の代わりに使われるトークン(カジノで使われるチップのようなもの)などのように、使う罪悪感を感じさせないものがあります。
レストランやカフェでは通貨単位を書かないことで、お金を連想させるものを排除しています。商品と値段の間に…….を設けて離して表示している場合が多いです。
値段を表しているように見えない工夫がデザインされています。
「お金がない」ときに人は頭が悪くなる
お金がない人は、ときにおかしな行動をとります。
スクラッチくじや宝くじを買ったり、貯金をしなかったり、大きな借金をしたりして、さらにお金がなくなるのです。
教育や社会環境、性格のせいだと容易に考えてはいけません。貧困は誤った選択の結果ではなく、むしろ原因となっています。
貧しさは、「現状編重バイアス」を引き寄せる精神状態を作り出します。
収穫期が年2回のインドの農業従事者を対象にした数年前の実験で、収穫直後に比べて、収穫直前のほうがはるかにIQが低いという結果がでています。
生活費のことで頭がいっぱいの人よりも懸命な判断を下せたということです。
「お人好し」が人を動かす
物事をうまく進めるために、「お人好しにならないための方法」を教えてくれる講座が人気です。同じ理由で、もっと自分本位になる方法を説く自己啓発書が売れます。
「お人好しは貧乏くじを引く」とも言われているようですが、実はそうではありません。
研究結果では、自己中心的な人ほど成功しないことを示しています。一時的に成果を上げても、同僚と上手く連携できないため、すぐに不利な立場になります。
協力してもらうには、相手に共感を抱かせるほうがいいのです。人を動かすには、人に親切にしましょう。