※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
目次
はじめに
毎年のように異常気象が現れて、気象を理解することへの関心はますます高まっているのではないでしょうか。
雲、雨、風、といった大気の現象を総じて気象と言います。雲がどうやってできるのかなど、疑問を解き明かすのが気象学なのです。
気象学は、「天気予報」の技術の基礎です。日本のどこに住んでいても、世界のどこを旅しても、私たちはそこに現れる天気から逃れることはできません。
インターネットを使えば、地上天気図や構想天気図、気象衛星画像、気象レーダー画像、アメダスといった高度な気象情報にふれることもでき、気象学を活用する場は私たちのすぐ手に届くところにあります。
書籍情報
図解・気象学入門 改訂版
原理からわかる雲・雨・気温・風・天気図
第1刷 2023年7月20日
発行者 髙橋明男
発行 (株)講談社
本文データ制作 講談社デジタル制作
印刷 本文:(株)KPSプロダクツ、カバー:信毎書籍印刷(株)
製本 (株)国宝社
ISBN 978-4-06-532633-6
総ページ数 315p
古川武彦
理学博士。気象研究所主任研究官、気象庁予報課長、札幌管区気象台長、日本気象学会理事などを経て、現在「気象コンパス」代表として気象に関する情報を発信。
大木勇人
10年出版社で検定教科書の編集者として従事しました。以後フリーに。中学梨花程度の知識を前提に誰でも読める科学書を執筆、編集。
- はじめに
- 第1章 雲のしくみ
- 雲が空にうかんでいられるわけ
- 温められた空気を上昇させる力は何か
- 湿った空気は重くない
- 水蒸気はどう雲の粒に変わるか
- 雲ができる大気の構造を知る
- 雲にはどのような種類があるか
- 第2章 雨と雪のしくみ
- 雲の粒から雨粒への成長の鍵は何か
- 日本付近の雨はどのようにして降るか
- 自分で植える積乱雲の不思議
- 豪雨はどのようなときに発生するか
- 第3章 気温のしくみ
- 大気を温める「放射」を知る
- 1日の気温変化はどのように生じるか
- 気温は緯度と季節によりどう変わるか
- 第4章 風のしくみ
- 気圧の差は何によってできるか
- 地上の風はどのように吹くか
- 上空に吹く風はどうなっているか
- 地球規模の風はどうなっているか
- 大陸と海が生み出す季節風
- 第5章 低気圧・高気圧と前線のしくみ
- 温帯低気圧はなぜ発達できるのか
- 温帯低気圧の発生から消滅まで
- いろいろな高気圧のでき方
- 梅雨はなぜ起こるのか
- 第6章 台風のしくみ
- 台風は組織化された積乱雲でできている
- 台風はどのようにして発生するのか
- 台風を発達させるしくみ
- 台風はなぜ日本にやってくるのか
- 第7章 天気予報のしくみ
- 天気予報に必要な気象観測
- コンピュータはどのように予報を行うのか
- いろいろな天気予報
- おわりに
- 参考文献
- さくいん
日本付近の雨はどのようにして降るか
Image by マサコ アーント from Pixabay
雲の中の氷の粒が大きく成長し、落下するときにとけて雨粒となるしくみを冷たい雨といいます。
大気の温度は1000m上昇するごとに約6.5℃の割合で低くなります。地上が30℃のときでも、上空5000mでは氷点下です。
このため、対流圏の上層では、雲の粒は氷でできています。氷でできた雲の粒を氷晶とよびます。
水分子は、氷点下では六角形につながった小さな構造体(結晶)があちこちにできて成長します。この結晶に水分子が規則正しくつながって大きくなることで、全体が結晶構造をもつ個体の氷に変化します。
0℃から少し低いくらいの温度では、分子はまだ動きが活発で、結晶の種ができてもほとんどが壊れてしまいます。積乱雲の最上部10000m付近は-40℃以下なので、雲の粒はすべて氷晶です。5000m付近ではほとんどのすべての雲粒が過冷却水滴でできています。
積乱雲などの層状雲のさらに上空に、巻雲が発生するときがあります。巻雲はその下の積乱雲に氷晶を落下させるのです。落下した氷晶は、過冷却水滴の影響を受けて成長し、さらに下層の積乱雲の中を降下します。そのときに水滴を集めながら融け、それが地上に雨となって降らせるのです。
なぜ熱帯夜が起こるのか
作者: みきたにし☆
最低気温が25℃を下回らない夜を、「熱帯夜」と言います。
砂漠のようにからっと乾いた空気ならば夜間に気温が下がりますが、日本の夏は大気が湿っていることが多いため、温室効果の「ジャグリング」が強くはたらくことになります。夜間に地表から放射はおこなわれますが、大気中の豊富な水蒸気がすぐに吸収して再放射します。すると、気温はなかなか下がりません。
夜になって上空が雲に覆われた場合も、雲が地表からの赤外線を吸収して下方へ斎藤社するので、地表での気温はさがりにくくなります。
台風はなぜ日本にやってくるのか
Image by WikiImages from Pixabay
地球大気に生じた大規模な波動や渦は、もともと西の方向に移動する力学的性質をもっています。「ベータ効果」とよばれるものです。
台風のような渦の場合は、ベータ効果に加えて、さらに自分自身で来たの方向に移動する「ベータジャイロ」とよばれる性質もあわせもち、結果として北西にゆっくり進みます。
北西へまっすぐすすんでいくものと、途中でカーブして日本のほうへ接近してくるものとがあります。北上する台風の進路が北東の方向に変わることを、転向といいます。日本への接近が多いのは、8月と9月です。
飽きが近づくと、太平洋高気圧が弱まって東後退するので、転向の地点も東になり、本州に接近することが多くなります。
転向後の台風は、偏西風帯に入ります。そこでは一般に西風が強いので、スピードをあげて北東に進むことになり、「超特急で進む」などと報道されます。
雨をきめ細かに予報する
UnsplashのLily Banseが撮影した写真
天気予報の最も重要な役割のひとつに、大雨による災害を防ぐことがあります。ゲリラ豪雨とよばれる短時間で狭い地域に集中して降る雨に備えるには、時間的空間的にきめ細かい予報が必要です。
数値予報モデルのうち、最もきめ細かいのは「局地モデル」で、格子点の隔離は2km、10時間先まで、1時間おきに新しい予報が出されます。このモデルは、京商気流や水蒸気の凝結、雨や雪、あられなどの落下といった雲の中で起こる現象によってもたらされる効果が取り入れられています。
今後のスーパーコンピュータの性能アップにともない、さらに解像度の高い数値予報モデルに置き換わっていくことでしょう。
数値予報だけではありません。アメダスの観測結果は随時雨の状況を観測していますし、これから述べる気象レーダーも雨を監視しています。これからを利用すると、数値予報ではできなかったきめ細かい予報が、短時間に限ってではありますが可能です。
おわりに
読者のみなさんは、本書を通じて気象学の面白さを発見することができたでしょうか。
日常のなにげない時間に大空を見上げて、奥深いしくみ思いを巡らすようになれたとしたら、本書の目的ははたされたことになるでしょう。
感想
サイト管理人
最近の異常気象は、本当に命の危険があります。浸水する箇所が多いこと多いこと。首都圏外郭放水路などの対策ヵ所も増やした方がいいのではと素人考えに思っています。
もともと人が住むには谷になっている場所が多く、住みやすいのです。水没もする住宅地もあるので、引っ越しをする際にはハザードマップなどの確認は必須となっています。それほどまで局所的豪雨はヤバいです。
今は豪雨に注意と天気予報で知らせてもらえば、アメダスで数時間後にこの地域にも大雨が降ることが高感度で予測できます。
8月は台風も多いので、通勤するにしても気を付けたいところです。車で立ち往生していても、死んでしまう水域に達してしまう可能性があります。
特に気象に気を付けたい時期に、本書はいかがでしょうか。
下にリンクを貼っておきますので、本書の購入を検討してみて下さい。
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