最高の勉強法/著者:安川康介

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書籍情報

タイトル

科学的根拠に基づく最高の勉強法

発刊 2024年2月15日

ISBN 978-4-04-606723-4

総ページ数 245p

著者

安川康介

日本赤十字社医療センターにて初期研修後、渡米。
米国内科専門医・米国感染症専門医。南フロリダ大学医学部助教。

出版

KADOKAWA

もくじ

  • はじめに
  • 第1章 科学的に効果の高くない勉強法
    • 繰り返し読む
      • ダンロスキー教授らによる報告書の評価基準について
      • 学習の認知過程にはいくつかの段階がある
      • 「記憶すること」は学習の基本
    • ノートに書き写す・まとめる
      • 新しく得た情報は、参考書に書き込んで記憶に定着
    • ハイライト・下線を引く
      • 「ハイライトで勉強した気になってしまう」に注意
    • 好みの学習スタイルに合わせる
      • 独自の勉強法に囚われすぎず、柔軟に試す
  • 第2章 科学的に効果が高い勉強法
    • アクティブリコール
      • アクティブリコールとは
      • 多くの方が持つ勉強のイメ―ジ
      • 実際に効果的な勉強のイメージ
      • 勉強の本当の効果は、勉強している本人には実感しにくい
      • 特に効果の高いアクティブリコールの実践方法は?
      • 僕が医学の知識を覚えるときに使った「白紙勉強法」とは?
      • 「なんとなく嫌だなぁ」に負けず、頑張る
    • 分散学習・間隔反復
      • 分散学習とは
      • 最強の学習法:アクティブリコール+分散学習=連続的再学習
      • 連続的再学習の手順
    • 精緻的質問と自己説明
      • 精緻的質問とは
      • 日常の些細なことでも子どものように「なぜ?」と質問しながら過ごす
      • 自己説明とは
      • 自己説明は学習スケジュールを考える時にも役に立つ
    • インターリービング
      • インターリービングとは
      • 運動のスキルに関連するインターリービング
      • 一般的な勉強法におけるインターリービング
      • インターリービングもまた、勉強の効果を実感しにくい
      • インターリービングの注意点
      • 資格試験の問題集は混ぜこぜにしてやる
      • 知識の応用力が培われた結果、診たことがない稀な病気を診断できたことも
  • 第3章 覚えにくいものを覚える古代からの記憶術
    • イメージ変換法とは
    • ストーリー法とは
    • 場所法とは
  • 第4章 勉強にまつわる心・体・環境の整え方
    • 勉強のモチベーション
      • 自分との関連を考える
      • 自分のアカデミック・セルフコンセプトについて考える
      • 自己効力感を高める
      • 自分の勉強の進捗状況を記録しよう
      • 自分で決める、できると感じる、誰かとつながる、内発的な目標を設定する
      • 「内発的な目標」が学習効果を高める
    • 勉強のヒント
      • インプットは場所を変えてみる
      • スキマ時間は素晴らしい勉強時間
      • 勉強しないと後悔することもある
      • 好奇心がある時は、ただ突き進む
      • 教材は簡単なものから難しいものへ
      • 情報における英語の重要性
      • ファインマンテクニックについて
      • スマートフォンはどこかへ・悪い習慣を断ち切る
      • 勉強に使えるツール
      • コーネル式ノート術
      • 「本当に大切なこと」を忘れない・クリエイティブに勉強する
    • 睡眠の大切さ
      • カフェイン、アルコールと睡眠の関係
    • 運動の大切さ
      • 運動が脳に良い効果をもたらす一因、BDNFとは
    • 勉強で不安を感じた時
      • 不安や焦りを感じた時、ネガティブな感情に対処する「ジャーナリング」
      • 勉強を頑張っている、あなたへ
  • おわりに

はじめに

 アメリカに渡ってからも、臨床医として病院で働きながら、時にはさらに家事育児の大部分を担いながら、数々の試験に上位1~10%で合格しています。

 ここまでやってこられた大きな理由の1つは、それは、自分が行ってきた勉強法が、科学的にも効果の高い勉強法だったからだと思います。

好みの学習スタイルに合わせる

 インターネットには学習スタイルを判定したり、学習スタイルに合った学習をすることの大切さを説いたりするウェブサイトが多数あります。

 資格情報が好きな人は図やグラフや映像を使い、耳から聞くのが好きな人は音声教材などの聴覚の情報を中心とした学習を行い、読むのが好きな人は、文字情報を中心に学習することを言っているようです。

 著名な心理学者たちが学習スタイルの効果についてまとめた「学習スタイル:概念と科学的根拠」という論文があります。この論文では学習者の学習スタイルを判別し、それに合わせた学習をしたほうが良いとする根拠は不十分であると報告されていました。

 いままでノートに書き写したり、まとめたり、教科書に下線を引いても効果が出せなかった人は、「今までの勉強法が良くなかった」だけだと思います。

分散学習

 一夜漬けのように、感覚をあけずに勉強することは集中学習と呼ばれています。反対に、時間の間隔をあけて勉強することは「分散学習」や「間隔反復」と呼ばれています。

 同じ時間をかけて勉強するにしても、分散したほうが学習効果が高いことを意味します。

 分散学習の効果を検証した研究は、100年以上前から行われ、論文も数百以上あります。それらの研究によって、数学、外国語、歴史、生物学などを含めた幅広い分野の勉強において確かめられてきました。

 また、最適な復習のタイミングはテストまでの時間によって異なることがわかっています。7日なら3日後、35日後なら8日後、70日後の試験では12日後、350日後の試験では27日後という最適な復習のタイミングの研究結果があるのです。

 複雑な復習計画を立てて実行できないという状況に陥らないためにも、難し考えすぎることはありません。間隔をあけて勉強することの効果高いのですから。

場所法

 記憶術で有名なものとして「場所法」があります。大量のものを、順番通りに覚えるために、記憶力選手権で競い合う選手たちが良く使っている方法です。

 普段の勉強において僕はほとんど使うことはありませんが、資格試験の勉強で大量のものを順番通りに記憶しなければならない人にとっては役立つかもしれません。

 場所法では、覚えたいものをイメージして、自分が良く知っている場所、通学路や仕事場に「記憶の置き場所」を決めてそこにイメージを配置しておきます。

 ドア→玄関→洗面台→冷蔵庫→食卓→ソファ→寝室などの順番にイメージしたものを配置して、順番に思い出すという方法です。

 この記憶の仕方をすると、空間的記憶に重要な役割をする領域が活性化されていたという論文があります。おそらく、頭の中で、記憶の置き場所を歩き回っていたからだろうと考察できるのです。

睡眠の大切さ

年齢推奨睡眠時間
4~11ヶ月12~16時間
1~2歳11~14時間
3~5歳10~13時間
6~12歳9~12時間
13~17歳8~10時間
18~60歳7時間以上
推奨される睡眠時間:アメリカ睡眠医学会の推奨

 睡眠は健康にとってきわめて重要であるにもかかわらず、その重要性は多くの人にとって過小評価されているようです。7時間未満の睡眠は、肥満、糖尿病、高血圧、心臓の病気、脳卒中、うつ病、そして死亡リスクが上がることが報告されています。

 今日まで多くの研究が行われ、記憶への睡眠の役割は、覚醒時の情報からの干渉を避けるということだけではないことがわかっています。

 わかっていないことも多いですが、睡眠中には、起きているうちにできた記憶が整理され、再活性化されて安定するようです。

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