破壊なき市場創造の時代/著者:W・チャン・キム、レネ・モボルニュ

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書籍情報

タイトル

破壊なき市場創造の時代

―これからのイノベーションを実現する

発刊 2024年10月1日

ISBN 978-4-478-11942-6

総ページ数 292p

書評サイト bookvinegarハーバード・ビジネス・レビュー

出版社リンク ダイヤモンド社

著者

W・チャン・キム & レネ・モボルニュ

INSEADの教授。ウラン素のフォンテーヌブローにあるINSEADブルー・オーシャン戦略研究所の共同ディレクターを兼ねる。
『ブルー・オーシャン戦略』と『ブルー・オーシャン・シフト』の著者で、この2冊のベストセラーは世界2800以上の大学の教材となっている。

出版

ダイヤモンド社

もくじ

  • はじめに
  • 第1部 非ディスラプティブな創造とは何か
    • 第1章 ディスラプションなき
      • イノベーションと成長
      • 世界を変えた3つのアイデア
      • 私たちは何を学べるのか?
      • 非ディスラプティブな創造は普遍的でありながら隠されてきた
      • 市場創造型イノベーションの両極
      • 共通理解と理論が必要となる
      • イノベーションと成長についての視野を広げる
      • ブルー・オーシャン戦略から非ディスラプティブな創造へ
      • 未来を切り開くのは私たちの役割
    • 第2章 非ディスラプティブな創造の
      • 経済的・社会的インパクト
      • 市場創造型イノベーションがポジティブサムの結果をもたらすとき
      • ディスラプティブな創造 vs 非ディスラプティブな創造
      • 副次効果または二次的効果
      • 希望と恐怖、どちらによって動かされているか?
    • 第3章 ビジネス・アドバンテージの 4つの源泉
      • 本格的なディスラプションへの効果的な対応策
      • 組織内のステークホルダーによる支援
      • 外部のステークホルダーから露骨な反発を受けない
      • 「この業界では非ディスラプティブな創造は不可能」というのは本当か
      • 非ディスラプティブな創造が業績にもたらす影響
      • 「奇想天外」なものから「ありふれた」ものまで
    • 第4章 非ディスラプティブな創造の 重要性の高まり
      • 第4次産業革命の挑戦
      • 第4次産業革命の「諸刃の剣」
      • 必要な新規雇用はどこからもたらされるのか
      • 供給サイドの備えから需要サイドの雇用へ
      • 政府も注目している
      • 仕事を創造し成長の未来を切り開く
    • 第5章 市場創造型イノベーションと
      • 成長への3つの道
      • 市場創造型イノベーション戦略の成長モデル
      • ディスラプティブな創造への道
      • 非ディスラプティブな創造への道
      • ブルー・オーシャン戦略への道
  • 第2部 非ディスラプティブな創造を どう実現するか
    • 第6章 適切な視点で
      • リーダーシップを発揮する
      • 心の中の台本を投げ捨てる
      • 手段と目的を混同しない
      • 少数でなく大勢の力を解き放つ
    • 第7章 非ディスラプティブな事業機会を特定する 
      • 非ディスラプティブな機会の特定 
      • 非ディスラプティブな創造への2つの道 
      • 非ディスラプティブな事業機会を特定する3つの方法 
      • 機会を吟味、フレーミングし、次のステップへとつなげる 
    • 第8章 機会を解き放つ方法を
      • 見つけ出す 
      • 機会を覆い隠してきた前提を明らかにする 
      • 機会を逃した理由がビジネスに及ぼす意味合いを理解する 
      • 前提を問い直して機会を解き放つ
      • 留学生向けローンから貧困層向けマイクロ融資へ
      • インドの「宗教」クリケットの可能性を広げる 
      • 自分の頭で考えて識者に対抗する重要性 
    • 第9章 機会を実現する
      • 機会を実現するための「3つのイネーブラー」
      • 成功への自信とコンピテンス 
    • 10章 よりよい世界をともに築く

書籍紹介

 ビジネス界の重鎮が手掛けた最新作であり、既存の業界や企業を破壊することなく、新たな市場を創造するという革新的な視点を提供します。この書籍は、従来の「創造的破壊」の概念に一石を投じ、その対極にある「非破壊的創造」を提唱します。

仕事を奪いわけではない

 ビジネス界の重鎮が手掛けた最新作であり、既存の業界や企業を破壊することなく、新たな市場を創造するという革新的な視点を提供します。この書籍は、従来の「創造的破壊」の概念に一石を投じ、その対極にある「非破壊的創造」を提唱します。

ブルー・オーシャン戦略論のプロフェッショナル

 キムとモボルニュは、「ブルー・オーシャン戦略」の著者として知られ、その戦略思考をさらに進化させています。彼らの理論は、競争のない市場を創造するという従来の考えを基盤にしながらも、社会全体の利益を考慮したアプローチを新たに追加しました。これは、特に今日の社会問題や労働市場の不安定さを考慮すると、非常にタイムリーなテーマと言えるでしょう。

未開拓の市場をみつけよう

 本書は、読者に既存の枠組みから脱却し、未開拓の市場を見つけるためのマインドセットを提供します。具体的な事例を通じて、非ディスラプティブな創造がどのように機能するかを解説し、経済的成功だけでなく、社会的な責任を果たすビジネスモデルについても深く掘り下げています。

 ビジネスパーソンや経営者だけでなく、イノベーションに関心を持つ全ての人にとって必読の一冊です。私たちが直面する現代の課題を背景に、未来のビジネス戦略を再定義するこの作品は、単なるビジネス書を超えて、社会全体のサステナビリティへの関心を高めるでしょう。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

非ディスラプティブな創造へ

 ブルーオーシャン戦略が世界中で反響を呼ぶにつれて、ツールをどう活用すればレッドオーシャンから抜け出せるかに関心が移っていきました。

 サーカスという演劇の境界を超えて新たな市場空間を創造したシルク・ドゥ・ソレイユを考えてみましょう。サーカスと演劇の両方からある程度のシェアを奪い、一定のディスラプションを引き起こしましたが、新たな巨大市場を開拓した際には市場破壊をすることはありませんでした。

 新規市場が既存業界の境界の外側に創出される場合、既存業界の破壊や完全な置き換えにはつながりません。

 ブルーオーシャン戦略を採用する場合、既存業界の一部に影響を与えるディスラプティブな成長に加え、新市場で生み出す非ディスラプティブな成長を混在させることになります。主として既存外の市場を成長させる点で異色です。

ブルーオーシャン戦略へ

 1985年設立の英国の慈善募金団体、コミック・リリーフについて考えてみます。この団体は、富裕層の同情や後ろめたさに訴えて寄附を促す手法から、楽しい試みを通じて大勢から金を集める手法へと、業界が重視する問題を再定義しました。

 「お涙頂戴」の勧誘や従来のチャリティーを辞めて、2年に一度のコメディのようなバラエティで、友人や同僚から資金を集める日を作りました。友人から顔面にパイを投げつけるといった体験型の楽しみと寄附を融合させた形です。プラスチック製の赤い鼻の玩具を買うことで寄附する仕組みを作りました。

 これは国民から祝日と見なされ、年々寄付額を徐々に成長させているイベントです。既存の市場からその外縁部へとシフトすることで、新たな顧客を取得し、成長の領域を獲得しています。

非ディスラプティブな機会の特定

 業界の垣根の外側にある非ディスラプティブな機会を特定しましょう。

 私たちが何かに深く関心を寄せるとき、それはたいてい極めて重要な課題となります。人々や組織が苦慮していて、解決すれば真の変化につながるような課題は、有望で非ディスラプティブな、市場性のある事業機会と結びついている可能性が高いです。

 さらに、情熱を持っている場合、意欲を燃やし続けることができ、諦めようという誘惑に簡単に負けることはありません。他の人々のために有意義な機会を生み出すと、途方もない満足感が湧き上がってくるものです。

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