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目次
書籍情報
意志の取扱説明書
心を入れ替えようと頑張っているあなたへ
茂木健一郎
理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て、ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。東京大学大学院客員教授。
実業之日本社
- プロローグ
- 第1章しばしば人間は誤った選択をする
- 自分の運命を他人に任せる日本人
- 打算に基づいた目標設定は失敗する
- 年収をいくらにしたいという目標設定はダメ
- 何かを成し遂げている人は、何かに没頭している人
- あなたの隠れた才能が開花するAI時代
- 「努力すればどんな目標もクリアできる」は本当か
- 低迷したら、軌道修正すべき
- 長年付き合った彼女と簡単に別れられない本当の理由
- 大学入試ですべてが決まると勘違いしてはいけない
- 人間はIQだけでは捉えられない多様な知能を持っている
- 欧米では学力試験さえない大学がある
- ハーバード大学のAO入試はパーティーをやりたい相手を探す
- 他の人によい影響を与えられる生徒かどうか
- インフルエンサーが言う「大学なんて行かなくていい」は本当か
- 第2章 あなたは自分の意志ですべてを決めているか?
- 自由意志は存在しない
- 昼に何を食べるかを自分で判断しているか
- “やる気スイッチ”なんてない!
- 意識の常識を覆す衝撃の研究
- 脳は「後付け」で選択理由を作っている
- 自由意志はないけれど、自由に拒否する意志はある
- 拒否する意志が犯罪を成立させる
- 自由意志を知ると、他人にイライラすることが減る
- 自由意志が天国か地獄かを決める
- 脳は簡単に間違った判断をする
- “二〇世紀最大の数学者〟も脳の罠にハマッた
- 一度出した答えを変えたくない人間心理
- 人間はいかに非合理な判断をしているか
- 選択肢が多くなると、決断できなくなる
- 自由意志は脳が生み出した最大のマジック
- 第3章 正確な意思決定をするには何が必要か?
- 小さな選択の積み重ねがあることで、大きな決断ができる
- すべての人の日常は平等
- 欲望というのは、その人がどういう
- それでも藤井聡太が羽生善治にかなわぬところ
- 大きな世界を見るには、「愛」と「広がり」が必要
- 街並みを見れば、日本人の欲望のあり方が見える
- イーロン・マスクはメタ認知の精度が高い
- 解像度が高すぎる人たち
- メタ認知が高くなると、どんな場所でも生きていける
- なぜ経済学者は株式投資で儲けられないのか
- 目標の人を設定することで発揮される意外な効果
- 首の長いキリンと有名になりたい若者は似ている?
- 第4章 日本には意思決定を邪魔するもので溢れている
- コスパの発想は脳の活力を弱くする
- 受験戦争で勝っても少ないリターンしか得られない
- 内向き思考の日本人は世界の動きに鈍感
- スタートアップは雰囲気だけ
- お笑いが面白ければ、メタ認知は鍛えられる
- AIが怖いと思っていると脳は育たない
- 「裏から圧力がかかっている」 陰謀論が大好きな日本人
- 世間の空気を読まないことに罰を下す「日本型炎上」
- 日本人にも自由意志が乱舞していた時代があった
- 自由意志を発揮した坂本龍馬
- 世界的IT経営者達が注目する柔術は意思決定の質を上げてくれる。
- 宮本武蔵の考え方は自由意志にとって重要
- 「なるようになる」精神の日本人とAIは相性が良い
- ドラえもんが未来のAIのヒントになる
- 第5章 自由意志を発揮するために必要なこと
- 常にマインドフルネスの状態を保っておく
- ステーブ・ジョブズは座禅と親和性が高い
- シャワーを浴びれば「感覚遮断」になり、マインドフルネス状態になれる
- 複数人で一つの結論を出すなら、長い散歩をするべき
- 直感にこそ人柄や人生観、価値観が現れる
- 腸内の健康状態は意思決定に大きな影響を与える
- 食生活に気を使って腸内細菌のバランスをよくするのが大事
- 腹が減っては戦ができぬ”は正しい
- 特定の人だけではなくあらゆる人に話を聞く
- 意思決定にとって必要なのは現場のリアル
- 一度決めたことでも周囲の状況で変えていく
- 一人になっても我が道を行く 「アインシュタイン方式」
- 望ましい困難は脳にとって成長のチャンス
- イーロン・マスクの意思決定の仕方
- 高揚を得られるかが選択のポイント
- ~エクスペリエンスド・ユーティリティとチョイス・ユーティリティ~
- 生物学的には利他的行動が自分のためになる
- 自分の利益を犠牲にすれば、的確な意思決定ができるようになる
- 脳科学的には他人のために動くと、運は引き寄せられる
- 温かい食べ物・飲み物だけでメンタルが落ち着き利他的になる
- エピローグ
書籍紹介
茂木さんは脳科学者として知られる方ですが、この本では専門的な知識をわかりやすく伝えながら、日々の生活の中で意志をどう活かしていくかについて教えてくれます。
科学の視点でみる
この本の魅力は、意志というものが単なる精神論ではなく、科学的な視点から丁寧に解き明かされている点です。たとえば、やる気が出ないときや決断に迷うとき、私たちの脳の中で何が起きているのかが具体的に書かれています。それを読むと、自分の気持ちや行動が少し客観的に見えてくるような感覚があります。また、難しい言葉を使わずに説明してくれるので、脳科学に詳しくない人でもスラスラと読み進められるのが嬉しいところです。
アドバイスもある
実践的なアドバイスもたくさん詰まっています。茂木さんは、意志を強く保つためのちょっとした習慣や考え方を提案してくれます。たとえば、目標を小さく分けて取り組む方法や、気持ちを切り替えるための簡単なコツなど、すぐに試したくなるようなアイデアが散りばめられています。
意志を持ちたい方へ
自己啓発書とも科学書とも言えるような、ちょうどいいバランスが取れた作品だと感じます。意志の力を高めたいと思っている人や、自分の行動をもっとコントロールしたいと考えている人にぜひ手に取ってほしい一冊です。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
自由意志は存在しない

この本の担当編集者ムラシマという哲学を学ぼうとした学生の、問題意識の持ち方に面白さを感じました。
課題に集中できないず、レポートを書き上げられないといった悩みを抱えていて、隣の同期たちは当たり前のようにそれをこなしていくといいます。ムラシマはこう思いました。「同期たちは、あたかも意志を自在に操っているようだ」
自由に意思を決める力が自分にはないかと思い、ムラシマは本などで意志について調べ始めました。行き着いたのは「人間には、自由にものごとを決定する意志、つまり自由意志はないのではないか」ということです。
ムラシマは本を読みあさりましたが、納得する答えが見つかりません。だから、私を使ってこの本をつくろうとしたわです。
ムラシマ個人の興味でつくられた本ですが、自由意志は現代を生きる人が知っておくべき重大なテーマでもあります。
他人のために動くと、運は引き寄せられる

利他的行動をすると、その回路の活動が活発になることがわかりました。他人のことを考えて行動することでブレインコインの回路が活性化します。
その活動レベルと持続時間の積に比例する活動を見せる神経細胞が、偏桃体や線条体などの領域で見つかっているのです。そして、その記憶は長期間続きます。
貢献に成功していけば、積み重ねた恩に対して困ったときに助けてもらえることがあります。運を引き寄せることにつながります。その実例としては、福沢諭吉があげられるかもしれません。