※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。
目次
書籍情報
漫画ビジネス
菊池健
一般社団法人MANGA総合研究所所長
マスケット合同会社代表
「トキワ荘プロジェクト」にて東京と京都で400人以上の新人漫画家にシェアハウス提供、100人以上の商業誌デビューをサポート。退社後も、営業、企画、イベント、編集、ライティングを得意とする。2024年3月に、一般社団法人MANGA総合研究所を設立。
クロスメディア・パブリッシング
- 序章 うちの会社で『鬼滅の刃』をつくれますか?
- 第1章 日本のマンガがメガヒットする理由
- 1 とにかく多くの人が、たくさんの作品を描いている状況をつくること
- 2 週刊漫画誌という発明
- 3 「エゴ」を作品に反映できる理想の制作スタイル
- 4 なぜ、日本に面白いマンガが生まれ続けるのか?
- 第2章 漫画編集部に学ぶ新人育成
- 1 編集部とはどんなことをするところなのか?
- 2 編集者の仕事、基本的な流れ
- 3 編集者の仕事のユニークさ、再現性のなさ
- 4 編集部が新人を獲得する仕組み
- 5 競争を生む新人育成の仕組み
- 第3章 漫画雑誌を支えた組織と流通
- 1 レーベルのブランド醸成には時間がかかる
- 2 週刊少年ジャンプのものすごさ
- 3 編集部が現場で向き合う「我慢」と「目利き」
- 4 マンガづくりに非上場企業が強い理由
- 5 上場企業の戦い方
- 6 漫画雑誌を支えた流通の仕組み
- 第4章 漫画雑誌から電子コミックへ
- 1 出版不況という名の衰退と、電子コミックの台頭
- 2 スマホブームと漫画業界のDX
- 3 電子コミックを発展させたウェブ広告
- 4 稼ぐアプリと新作認知のウェブ
- 5 マンガアプリ・ウェブは多過ぎる?
- 第5章 デジタル化によって変化した制作のあり方
- 1 新興と言われながら10年経った、IT企業の編集部
- 2 ウェブやアプリは無限のフィールド・・・・・・ではなかった
- 3 20年後もメガヒット作品は生まれるか?
- インタビュー 変化する漫画編集者の役割
- 漫画原作者・漫画編集者 石橋和章氏
- 第6章 いまの漫画家が置かれている状況
- 1 商業漫画家の置かれた環境の変化
- 2 ネット漫画家の誕生
- 3 AIの行く末
- インタビュー 個人で稼ぐ新たな漫画家のあり方
- 漫画家・ぬこ様ちゃん
- 第7章 ウェブトゥーンという新たな可能性
- 1 ウェブトゥーンビジネスの始まり
- 2 ウェブトゥーンの海外進出
- 3 国産ウェブトゥーンにヒット作が誕生
- 4 ウェブトゥーンにこれから起こること
- 第8章 IPビジネスとしてのマンガ
- 1 IPビジネスの市場規模はどれくらいなのか?
- 2 近年のアニメ、マンガ産業のデジタル化による変化
- 3 『セクシー田中さん』をきっかけとした、IP展開の課題
- 第9章 漫画業界に流れ込む巨大マネー
- 1 いま、漫画業界に起きていることは「巨大マネーと創作の邂逅」
- 2 日本はいかに世界と戦うか?
- 3 創作の生態系を守りながら攻めていく
- 終章 結局『鬼滅の刃』はどうすればつくれますか?
- 1 激務をこなす漫画家たちのリアル
- 2 結局『鬼滅の刃』はどうすればつくれますか?
書籍紹介
日本が世界に誇る漫画文化の背景にある経済規模やクリエイターの育成環境について触れています。『鬼滅の刃』が2020年に約1兆円の経済規模を生み出した事例から、日本の漫画がなぜこれほどまでに成功したのかを考察します。
著者が考える漫画ビジネス
菊池健は、漫画業界への新規参入の可能性や、ビジネス戦略としての漫画制作の手法についても論じています。彼の視点は、単に作品を創るだけでなく、市場での競争力を高めるための戦略や、読者のニーズを満たす方法論まで広がっています。
クリエイティブ業界の参考に
この書籍は、漫画愛好者だけでなく、ビジネスパーソンやクリエイティブ業界に興味を持つ人々にとっても非常に参考になるでしょう。特に、今後の漫画業界の動向を予測する上で重要な示唆を提供してくれます。読み進める中で、漫画が単なるエンターテイメントではなく、一種の経済活動であることを改めて認識させられます。
本書は、時代と共に進化し続ける漫画業界の現在地と未来を理解するための一助となるでしょう。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
マンガアプリ・ウェブは多すぎる?
2024年現在、作品単独だったり、映像プラットフォームも兼ねて、漫画も提供するアプリなど、さまざまなアプリがあります。
マンガアプリは多数あり、数年電子コミックの仕事をした私でも、まだインストールしていないアプリを発見するくらいです。
作品のウェブ広告を打つと、それを見たユーザーが、当該アプリのインストールを試みたり、しばらく使っていなかったアプリで課金したりします。普段使いのプラットフォームで同じ作品を買うという現象も起きています。
作品提供側の出版社からすると、大変ありがたい状況です。結局のところ、投稿を続けることにメリットがあり、当面はプラットフォームが分散化した状態は変わらないでしょう。
難しいのは、電子コミックのホーム画面には一度に6作品程度しか表示できません。いろいろな作品を視認する機会やバリエーションが減ります。結果、ユーザーに認識される作品に偏りができてしまうのです。
商業漫画家の環境変化
2019年には、紙と電子の需要が逆転しています。ウェブやアプリでは、掲載できる作品に数の制限がないため、漫画家が引く手あまたの状態になっています。
2014年前後から、大手出版社のマンガ誌由来のWEBコミックが増えて、商業漫画家が作品を提供する場を増やしています。
漫画家から見たときに、知名度がそれなりにある人は、かなりの売り手市場になっています。各出版社やアプリのレーベルは、漫画家に選ばれる立場になりました。
出版社では、インディーズ投稿サイトを開始して作品の気軽な投稿を促したり、投稿時の賞金の金額を上げたり、対象となると連載機会が得られるなどのインセンティブをつける工夫が見られます。