※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
目次
紹介
著者の柳澤静磨氏が、ゴキブリという生き物の魅力にハマり、日本や世界を旅し、出会ったゴキブリを紹介するエッセイ本です。
柳澤氏は当初、ゴキブリを「汚くて黒い虫」として嫌っていましたが、沖縄県の西表島でヒメマルゴキブリに出会ったことをきっかけに、ゴキブリの多様性と魅力に気づきます。
本書は、そのようなゴキブリに対する先入観を覆し、読者にゴキブリの新たな一面を伝わるでしょう。
ゴキブリに対する深い愛情と専門知識を持つ著者によって書かれており、ゴキブリの奥深い世界への案内書です。
昆虫に興味がある人や自然観察が好きな人にもおすすめの一冊となっています。
書籍情報
愛しのゴキブリ探訪記
発刊 2024年1月25日
ISBN 978-4-86064-750-6
総ページ数 239p
柳澤静磨
磐田市竜洋昆虫自然観察公園職員。ゴキブリ談話会世話役。
2017年に西表島で出会ったヒメマルゴキブリのゴキブリらしからぬ姿に驚き、それ以来、ゴキブリの魅力に憑りつかれる。
ゴキブリ愛で行われる磐田市竜洋昆虫自然観察公園の「GKB48総選挙」の中心人物。一大イベントとしてゴキブリの人気投票が行われている。
ベレ出版
- はじめに
- 第1章 かくして旅は始まった
- ゴキブリ天国、西表島
- 多様なゴキブリ
- 番外編 ゴキブリの採取方法
- 第2章 日本のゴキブリ探訪記
- 上品で美しいヤマトゴキブリ
- チビゴキブリの卵鞘の謎
- 華麗に舞うクロモンチビゴキブリ
- 木の精霊アカズミゴキブリ
- 幻のミヤコモリゴキブリ
- 番外編 薬になるゴキブリ「䗪虫」を探して
- 第3章 外国のゴキブリ探訪記
- 野外で初めて見る外国のゴキブリたち
- 別名ジャイアントローチ・マレーゴキブリ
- 鎧を着たゴキブリ・ヨロイモグラゴキブリ
- 金属と見間違うほどの輝き・ゴウシュウゴキブリ
- 番外編「ゴキブリ」の由来を求めて
- おわりに
- ゴキブリ旅の持ち物
はじめに
ゴキブリは世界に4600種以上、日本では64種が生息しています。
これからも種数は増えていくでしょう。
ゴキブリはじつはとても多様な生き物で、鮮やかな緑色の種もいれば、カブトムシのようにゆったりとした動きの種もいます。多くの方のもつイメージのなかのゴキブリは、ごく一部の種をもとにした、狭い範囲のゴキブリ像なのです。
ゴキブリ天国、西表島
調べていくうちに、西表島には多種多様なゴキブリが生息していることがわかりました。
当初ゴキブリが嫌いだったので、少し腰が引けてしまいましたが、まったく興味がないわけではありません。
西表島に降り立ったときは、亜熱帯の動植物に感激し、大興奮です。魅力的な生き物たちが現れて、暇な時間がありません。すると、木にダンゴムシのような生き物を発見しました。大きさは1センチほどで、黒くてツヤツヤしているヒメマルゴキブリです。
見た目は、ほぼダンゴムシです。この手の種なら触れるかなと手のひらにのせると「本当に丸くなった!」と衝撃を受けました。
これまでもっていたゴキブリのイメージが覆された瞬間です。
幻のゴキブリ
幻と聞くと、ロマンを感じずにはいられません。幻のポケモンをゲットするだけでワクワクした気持ちになるでしょう。
日本産のゴキブリにも、まさに幻と呼んでいい種がいます。その中の1つがミヤコモリゴキブリです。宮古列島宮古島と多良間島で見つかっている、発見数が非常に少ない種です。
何度も何度も、見かけたとされる洞窟に赴いては惨敗を続け、やっと見つけたときには手が震えたものです。卵鞘も見ることができ、死んでしまわぬよに丁寧にケース入れて持ち帰ることもかないました。
個体は標本にして保管し、現在行っている研究に供する予定です。
輝くゴキブリ
オーストラリアのゴキブリガイドブックには、光り輝くゴウシュウゴキブリとあります。なんと素晴らしいのでしょう。
金属でも落ちているかのような光沢があり、ライトで照らすと銀色に輝きます。オーストラリアに滞在する最終日まで生きているゴウシュウゴキブリを見かけることができなかったので、その姿をカメラに収められたときには、達成感を感じました。
オーストラリアでは、20種類のゴキブリと出会うことができたが、意外に少ないと感じていたのです。「僕の知り合いが、フィリピンに行くらしいです」と隣に座っていたモトさんと話すと、テントウゴキブリがいるなと思いを巡らせました。
つぎはどこにいきましょうか。