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目次
書籍情報
暮らしを整える
日本のしきたり
発刊 2024年5月10日
ISBN 978-4-86663-235-3
総ページ数 254p
山口謠司
平成国際大学新学部設置準備室学術顧問、中国山東大学客員教授。
中国学博士。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現職。
きずな出版
- はじめに
- 第1部 季節と年中行事
- 第1章 春
- 初夢
- 初詣
- 恵方参り など
- 第2章 夏
- 「花祭り」はお釈迦様の誕生祝い
- 穀雨に種をまくと豊作に恵まれる
- 端午の節句は災厄除けの風習
- 鯉のぼりには順番がある
- なぜ吹き流しは地味なのか など
- 第3章 秋
- お盆の迎え火・送り火
- 馬に乗って来て、牛に乗って帰る
- 盆踊りは先祖供養のため
- 大文字焼は盛大な送り火 など
- 第4章 冬
- 十一月の「酉の市」は熊手がいっぱい
- なぜ酉の市では熊手が売られている?
- なぜ三の酉の年には火事が多いのか など
- 第1章 春
- 第2部 人生の節目
- 第1章 結婚
- お見合いは釣書から始まる
- 結納を取り交わす
- 結納の「家内喜多留科」とは など
- 第2章 子どもの誕生と成長
- 岩田帯を巻くのは戌の日
- 産湯に入れて「産土神」に守っていただく
- 産着には麻の模様 など
- 第3章 慶事の贈り物
- 祝儀袋はどうやって渡すのか
- 慶事の贈り物には「のし紙」をかける
- 結婚祝いに使ってはいけない結び方 など
- 第4章 弔辞の作法
- 末期の水の作法
- 故人をきれいに旅立たせる「湯灌」
- 死装束と六文銭 など
- 第1章 結婚
- 第3部 日々の暮らし
- 第1章 手紙の言葉
- 「賀詞」のいろいろ
- 年賀欠礼状にはそれだけ書く
- 年賀状の返事はいつまでに? など
- 第2章 暮らしを彩る古典
- 源氏物語
- いろは歌ふたつ
- 平家物語
- 奥の細道
- 俳句 など
- 第1章 手紙の言葉
- おわりに
書籍紹介
日本の伝統文化や習慣には、長い歴史の中で培われた豊かな知恵が詰まっています。それらのしきたりを現代の暮らしにどう取り入れるかを探る一冊が、山口謠司さんの『暮らしを整える 日本のしきたり』です。忙しい現代社会においても日本の美しい習慣を大切にし、心豊かな生活を送るためのガイドブックとして多くの読者に支持されています。
伝統文化と現代生活の架け橋
山口謠司さんは、日本の伝統やしきたりに深い知識を持つ著者であり、その知識をわかりやすく、かつ魅力的に伝える能力に長けています。本書では、四季折々の行事や生活の中での小さな工夫を通して、どのようにして日本の伝統を現代の生活に取り入れるかを具体的に紹介しています。例えば、お正月の飾り付けや節分の豆まき、七夕の願い事など、一年を通して日本の四季とともに楽しむための方法が丁寧に解説されています。
日常に息づくしきたり
実際に生活に取り入れるためのヒントが豊富に含まれています。例えば、家の掃除や整理整頓に関する古来の知恵、食事のマナーやおもてなしの心、さらには年中行事の楽しみ方など、日常生活のあらゆる場面で役立つ情報が満載です。これらのしきたりを実践することで、日々の生活がより豊かで意味深いものになるでしょう。
心を整えるための一冊
日本のしきたりには、心を落ち着かせ、日々の生活に感謝する心を養う力があります。山口謠司さんは、そのような心の豊かさを大切にし、本書を通じて読者に伝えています。忙しい現代社会の中で忘れがちな「心のゆとり」を取り戻すための一冊として、本書は多くの方々にとって貴重な存在となることでしょう。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
小正月
元旦から七日までを「大正月」というのに対して、「小正月」は、こぢんまりと祝ったとされています。「小正月」とは、旧暦の正月15日を指し、この日は満月です。昔は一年で最初の満月の日を「正月」と考えていました。
正月の支度で忙しかった女性も、小正月を迎える頃には一段落するため、別名を「女正月」ともいいます。1月15日には、小豆粥を食べ、「どんど焼き」「なまはげ」「かまくら」などのさまざまな行事を楽しんでいました。
燃やした火で餅や芋を焼いて食べ、無病息災を祈っていたのです。
七五三
七五三は、もともと江戸時代の武家社会で子どもを社会に迎え入れる祝い事として始まりました。この行事は明治時代に一般にも広まりました。
3歳の子どもには白い綿帽子をかぶせ、白髪になるまで長寿を願いました。
5歳の男の子には袴を着せて、成長を祝いました。
7歳の女の子には帯を解いて、幅の広い帯を締める儀式を行いました。これが七五三の始まりです。
七五三が11月15日に定着したのは、三代将軍徳川家光の時代からといわれています。いろいろな説がありますが、五代将軍綱吉の子である徳松が病弱で、無事に5歳を迎えたことを祝ったのがきっかけではないかとも言われています。
「机下」の決まり
医者が書く招待状の宛名には「机下」と書かれています。これは「きか」と読み、手紙の構成としては脇付けの位置に書かれます。
「机下」とは、へりくだった気持ちと敬意を表す表現で、宛名の左下にやや小さな文字で添えられます。ただし、ハガキに使うことは許されていません。
この表現は、自分の手紙など取るに足らないものですから、どうぞ机の下にでも放っておいてくださいという謙譲の意味を持ちます。