船の科学

※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

はじめに

 人々が生きるために必要な穀物などの食糧、エネルギー資源、各種製品・雑貨の輸送については、デジタルでは対応ができません。物資のグローバルな輸送の多くは船舶が担い、多くの船員の献身的な仕事によって継続的に行われています。

 日本の輸出入貨物の99.6%は船が運び、日本国内の貨物も約40%は船が運んでいます。

 日本に住む人にとって非常に大切な社会基盤の1つなのですが、一般の人々にとっては、やや遠い存在になっているのです。

 やや地味にも思える船にスポットをあてて、船の大切さや、それを支える科学技術について知ってほしいという想いで書かせていただきました。

書籍情報

タイトル

最新図解 船の科学

基本原理からSDGs時代の技術まで

第1刷 2023年6月20日

発行者 鈴木章一

発行 (株)講談社

ブックデザイン

装幀 五十嵐徹

本文印刷 (株)KPSプロダクツ

カバー表紙印刷 信毎書籍印刷(株)

製本 (株)国宝社

カバーイラスト 橋爪義弘

図版作成・画像調整 柳澤秀紀

本文・目次デザイン 天野広和

本文DTP 西田岳郎

ISBN 978-4-06-532315-1

総ページ数 270p

著者

池田良穂

 工学博士。専門は船舶工学、海洋工学、クルーズ客船等。

出版

講談社 ブルーバックス

船の進化

Image by Martina Bäcker from Pixabay

 15世紀初めから、欧州の冒険者が世界規模の公開をするようになり、大航海時代と呼ばれました。

 地球が丸ことはふるくから哲学者や科学者によって主張されていたが、実施に丸いことを人々にわかってもらえたのには、こうした冒険者による航海があったのです。

 こうした航海に使われた船はいずれも木造です。大きな船だと木造でも大砲が乗っかり重量3500トン、長さが60メートル程度という戦列艦もありました。

 日本の沿岸でも、江戸時代には米などの輸送のための大型木造船がたくさん建造されています。

 18世紀後半になって、イギリスのジェームス・わっとが実用的な蒸気機関の開発に成功し、産業革命がおこりました。石炭を燃料として動力に使われるようになり、鉄が大量生産され、船の材料にも使われるようになったのです。

さまざまな抵抗成分

Image by Dimitris Vetsikas from Pixabay

 水面上を走行する船舶に働く抵抗は、なかなか複雑です。

 現在、船の抵抗は、摩擦抵抗、造波抵抗。粘性圧力(造渦抵抗)に分けて考えられています。

 粘性圧力抵抗は、船尾付近で流れの剥離が発生して新たな抵抗成分が生まれる圧力です。

 また、高速船型では船首での波が砕けることにともなう砕波抵抗も考慮する必要があることが指摘されています。

 一番抵抗が少ない形は、流線形といわれる形で、先端が丸く、全長の前から3分の1程度のところで幅が最大となり、後端に行くに従ってしぼむ形状です。

横揺れを減らす方法

パネル作成者:山口 悟(九州大学大学院工学研究院 海洋システム工学部門)

 波の中での6自由度の船体運動で最も危険なのが、横揺れ運動です。この運土は前後軸の周りの回転運動であり、大きく揺れると転覆の可能性があります。

 同調横揺れを小さくするためには、横揺れ速度に比例する流体力、すなわち横揺れ減衰力を大きくすることが必要です。このためにビルジキールの装着、フィンスタビライザーやアンチローリング・タンク等の横揺れ低減装置を搭載します。

 船側と船底をつなぐ丸いビルジ部と呼ばれる場所に取り付けられます。前後に細長い平板で、横揺れすると先端から渦が発生して横揺れのエネルギーを消費することで横揺れを提言します。構造が簡単で、横揺れ低減効果が高いため、ほぼすべての船に取り付けられているのです。

 フィンスタビライザーはビルジ部に飛行機の翼のような形のフィンをだして、それに動く抑揚をコントロールできます。船の前進運動がないと制御ができないのが欠点です。

 アンチローリング・タンクは船の両舷に設置したタンク内の水が横揺れによって左右に移動する現象を利用して、横揺れ減衰力を発生させて、横揺れを抑えます。

日本の貿易貨物の99.6%は船が運ぶ

UnsplashTantan Wigunaが撮影した写真

 島国である日本では、輸出入貨物の99.6%を船舶が運んでいる事実は意外に知られていません。それは、航空機が運ぶ高価なもので、輸出入金額のうえでは航空貨物が半分以上を占めているからです。

 日本はエネルギー資源や鉱物資源のほぼ100%、食料資源の70%以上を輸入に頼っているので、船が止まれば日本経済・国民生活は成り立ちません。

おわりに

 趣味として、年間40隻のフェリーやクルーズ客船に乗ることを目標に、日本各地そして世界各地を廻りました。

 これまで趣味と仕事が一体となった人生を歩んできました。そして船の魅力を広くお伝えしたいという思いから、講談社からブルーバックスの一冊として『新しい船の科学』を出版したのが1994年なので、30年くらい前のことです。このたび3冊目として出版することができ、船に興味をもつ人が1人でも増えてくれればと思っています。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 大量の物を運ぶには船だし、1日2回エネルギー資源を運んでいるのも船です。インフラを支える大事な技術ですが、あまり知られていません。

 基本的な船の構造や、船の役割についても学べますし、最新の船の科学が環境にどう貢献するのかも推察できます。

 環境うんぬんの話はさらっと読むにしても、船の基本、貿易、海運ルート、安全、かなり学べることは多いです。

 下にリンクを貼っておきますので、本書の購入を検討してみて下さい。

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