※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。
目次
書籍情報
仮説行動
マップ・ループ・リープで学びを最大化し、大胆な未来を実現する
馬田隆明
東京大学FoundXディレクター。
日本マイクロソフトを経て、2016年から東京大学。
東京大学では本郷テックガレージの立ち上げと運営を行い、2019年からFoundXディレクターとしてスタートアップ支援に従事する。
英治出版
- はじめに
- 1 本書の3つの特長
- 第1部 仮説行動を理解する
- 2 なぜ仮説は重要なのか
- 私たちのまわりにあふれる「仮説」
- 「時間の制約」「不確実性の高さ」=仮説の必要性
- 不確実性の脅威を「機会」に
- 仮説検証で補完する
- 仮説と業績の関係
- 3 仮説行動の全体像
- 仮説行動とは何か
- 仮説思考から仮説行動へ
- 「業績」と「学習」という2つの目的
- 「ループ」するプロセスとして捉える
- 3つのステップとして捉える
- マップ
- 全体構造を把握する
- ループ
- 仮説のループ
- 仮説マップのループ
- 業績⇔学びのループ⇔
- リープ
- 評価する
- 決断する
- 仮説を現実にする
- 全体像を理解すると適切に行動できる
- 2 なぜ仮説は重要なのか
- 第2部 仮説を強くする
- 4 仮説を生成する
- 仮説の構成要素とは
- エビデンスと推論の組み合わせ
- 仮説から新たな仮説を生み出す
- COLUMN CERフレームワーク
- エビデンス(証拠)とは
- なぜ質の高いエビデンスが重要なのか
- 知識・データ・エピソード
- COLUMN エビデンスの強弱
- 行動してエビデンスを得る
- COLUMN 情報社会の罠
- 推論とは
- 前向きの推論と後ろ向きの推論
- 演繹法
- 帰納法
- アブダクション
- 価値判断
- 仮説生成をステップに分解する
- 興味・関心・問題意識を持つ
- 興味から疑問へ
- 疑問から問いへ
- 問いから仮説へ
- 作業仮説とクレーム
- COLUMN 仮説生成のチェックリスト
- 仮説を生成するためのコツ
- 解像度を上げる
- So What? で思考を追い込む
- Why So? で分解する
- 知識を身につける
- できることはすべてやる
- 仮説の構成要素とは
- 5 仮説を検証する
- 検証の目的と求められる態度
- 確信度を上げて、作業仮説をクレームにする
- 作業仮説を修正するための学びを得る
- 補強的思考ではなく、探究的思考
- COLUMN 陰謀論と仮説思考
- 基本的な仮説検証の方法
- サーベイを行う
- 検算する
- 具体例でチェックする
- 議論する
- 詳しい人に聞きに行く
- ビジネス実験をする
- 最小のスコープの実験を設計する
- MVPを作る
- 身銭を切ってもらう
- 売る
- 仮説を検証するためのコツ
- 得たい学びから逆算する
- そもそも検証が必要かを考える
- 勝利条件と撤退条件、その後の行動も決めておく
- 実験ノートに記録を残す
- 外注せず、本気で実験する
- 学びを最大化する
- 「得る」ではなく「練る」
- 深い省察を行う
- アウトプットを意識する
- 仮説を修正する
- 検証の目的と求められる態度
- 6 仮説マップを生成/統合する
- 仮説の部分と全体を把握する
- 仮説には種類がある
- 上位仮説と下位仮説
- 下位仮説を「同時に」満たすことが難しい場合
- 仮説マップを生成する
- 仮説マップの種類
- すべての作業仮説をリストアップする
- 大きな仮説を小さく分けて構造化する
- 課題仮説のマップを作る
- 課題仮説にまず注力する
- 理想と現状を考える
- 時間軸を意識する
- 仮説マップから仮説のループへ
- 仮説を仮説マップ全体に統合する
- 仮説の部分と全体を把握する
- 7 ループの停滞を回避する
- 仮説マップのループを回すコツ
- 最初から完璧を求めない
- 変化の連鎖を引き起こす
- 仮説マップを更新し続ける
- 仮説のループを回すコツ
- エビデンスの獲得に立ち戻る
- 思いとこだわりを持つ
- 短期間で検証する手段を考える
- 考える作業と考えずにできる作業を分ける
- 他人を巻き込む
- 良い環境に身を置く
- ホットとクールを使い分ける
- モチベーションを維持する
- 最初の仮説を十分に良くする
- 仮説マップのループを回すコツ
- 4 仮説を生成する
- 第3部 仮説を現実にする
- 8 仮説を評価する
- 実は難しい仮説の評価
- 評価は仮説行動全体を左右する
- 直感以上に分析的評価
- 評価軸を考える
- 評価軸によって何が「良い」 仮説かも変わる
- 「影響度」と「確信度」
- COLUMN 影響度を測るときに役立つアウトカムという概念 20
- いくつかの汎用的な評価軸
- 満たすべき「程度」を考える
- 仮説のリスクに対処する
- リスクとは何か
- なぜリスクを考える必要があるのか
- アフォーダブルロスを考える
- リスクのダウンサイドとアップサイド
- ポートフォリオで考える
- 評価軸を統合する
- 評価軸の統合には「らしさ」が出る
- 時間軸を統合する
- ジレンマをチャンスと捉える
- 仮説を評価するためのコツ
- 影響度にバイアスをかける
- 仮説を大量に評価して自分なりのパターンを作る
- 悪い仮説のパターンを知る
- 見えづらい見えやすすぎる評価軸に気を付ける
- 状況に応じて評価軸の重みづけを変える
- 独自の評価軸を考える
- 欠点の有無ではなく、総合的に評価する
- 他人の評価を活用する
- COLUMN 批評する
- 実は難しい仮説の評価
- 9 決断する
- 仮説に賭ける
- 決断するためのコツ
- 決断には種類がある
- 決断しないという決断
- 決断の前に撤退条件を決めておく
- 諦めるという決断
- 決断に「痛み」や「恐れ」を感じているか
- COLUMN チームでの決断の難しさを引き受ける
- 10 仮説を実行する
- 仮説を「正解」にする
- 実行で勝つ
- 外部要因すらも変える
- 戦、チームの力を引き出す
- 仮説を「正解」にする
- 8 仮説を評価する
- 第4部 大胆な未来を実現する
- 11 影響度の大きな仮説を目指す
- なぜ影響度を強調するのか
- 優秀さは正解率だけではない
- 「成功するための仮説」と「失敗しないための仮説」を混同しない
- 最初に「良い山」を見定める
- 影響度の大きい仮説を導くためのコツ
- 「何ができそうか」ではなく「できるとしたら」を考える
- 「あるべき姿」と「ありたい姿」を考える
- 想定される未来から逆算する
- 現在からの What if を想像する
- 変わらないものを考える
- 過去の成功に安住しない
- 大きな問いを投げかけられる環境に身を置く
- マクロとミクロのエビデンスを行き来する
- 大志を受け継ぐ
- 影響度の大きい未来の仮説を正解にする
- 根本的な仮説や方向性を確認する
- 「小さく始める」と「小さく考える」を混同しない
- 狭き道を歩み続ける
- 野心的で情熱的な人のそばにいる
- なぜ影響度を強調するのか
- 11 影響度の大きな仮説を目指す
- おわりに
書籍紹介
この書籍は、ビジネスパーソンにとって非常にためになる内容で、仮説をどのように形成し、検証し、実行に移すかを詳細に解説しています。
仮説ロードマップ
仮説の重要性を強調し、仮説行動の全体像を描き出します。まず、仮説を生成する段階では、興味や疑問から仮説を作り出すプロセスが説明されます。次に、生成した仮説を検証する方法が示され、仮説マップを生成・統合することで、より強固な仮説を導き出します。この過程をループさせることで、仮説の精度を高め、停滞を防ぐ工夫が紹介されています。
本書は仮説を現実化する段階にも焦点を当てています。仮説を評価し、決断し、実行する重要性が強調され、具体的な手順や考え方が提示されています。特に、スタートアップや新規事業において、インパクトと実現可能性の両立を可能にするアプローチが解説されており、読者に「そんなことできっこない」と言わせないための戦略が満載です。
ビジョンを実現する
大胆な未来を実現するための指針として、本書は影響度の大きな仮説を目指すことを推奨します。仮説行動のマップ・ループ・リープのプロセスを通じて、学びを最大化し、自分のビジョンを実現する方法が明確に示されます。これは、起業家だけでなく、ビジネスにおいて新しい挑戦をする全ての人にとって、羅針盤となる一冊です。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
「だから何?」で思考を追い込む
「今ある情報から何が言えるのか」「これらのエビデンスから、何の仮説を主張したいのか」という思考を促し、仮説を導きます。
多数の具体例やデータを単に羅列しているだけでは、「何が言いたいのか?」と聞きたくなるのではないでしょうか。その問いかけを自分にすることで、抽象化して意味を抽出していきます。
何に注力すればいいのか、実現性があるか、行動可能性があるかを問う問いになります。仮説を作るときに、「それで?」「で?」「で?」「で?」と繰り返します。1人で実践すると続かないので、できれば同じ課題に取り組む人から「で?」と何度も問われる環境を作りましょう。
アフォーダブルロスを考える
リスクを下げることはできますが、リスクゼロを目指すことはコストがかかりすぎます。
リスクの大小を程度を把握し、何が許容出来て何が許容できないのかを整理し、適正な範囲内にリスクを緩和しましょう。
新しい取り組みに対してのアフォーダブルロス(許容可能な損失)について深く考えていない人は多いです。損失の起きる程度と、最大の見込損失を聞くと答えられません。
リスクを恐れすぎると行動できないのは確かですが、アフォーダブルロスの範囲に収まるように、損失をコントロールしなければ物事を実現できません。
もし、リスクが顕在化したときの損失が、自分自身が破産してしまう規模だったり、再チャレンジできなくなるほど社会的評価を落とすようなものだったり、身体的な回復が難しいものであれば、そのリスクは避けたよいと思います。
狭き道を歩み続ける
最初から未来を描ききれる人はいません。10%程度でも勝率が見えてきたら、自分の人生の数年を賭けてもよいと思える仮説だったら、筋道がそれほど見えていなくても、その仮説に賭けてみましょう。
成功する理由よりも、失敗する理由が圧倒的に多いものです。新しいことは、たいてい「普通に考えれば失敗する」ということでもあります。
できるかどうかを考えてしまうと、「No」という答えが返ってきてしまいます。実現できるかどうかではなく、「実現するために何ができるか」を考えましょう。
自分が成功するための条件を誰かが整えることはありません。自分自身が動かなければ、環境も条件も変わりません。自分自身は無力ではないのですから、自分や資源という変数を最大限変化させて、実現のために必要な変化を遂げましょう。