※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。
目次
書籍情報
ホテルビジネス
林田研二
株式会社オータパブリケイションズ執行役員
月間HOTERES編集長
星野リゾートにて旅館再生事業に従事。再生旅館の支配人を経験。今は地方自治体やDMOでのホテル誘致委員や研修講師、民泊などを含む多様な宿泊施設の運用サポートに従事。
クロスメディア・パブリッシング
- はじめに
- 第1章 老舗ホテルから学ぶホテルビジネスの世界
- 1 ホテルと旅館の違い
- 2 ホテルの起源
- 3 「築地ホテル館」から始まった日本ホテル史
- 4 日本三大ホテル
- 5 日本のホテルレストランはフランス料理から
- 6 ホテルを支える労働法
- COLUMN 宴会場の価値観を変えた「八芳園」
- 第2章 外資系ホテルから学ぶグローバル展開の世界
- 1 「サービス=有料」という発想
- 2 激しさを増す外資系ホテルの進出
- 3 ホテル経営の6つのかたち
- 4 ホテルの分類
- 5 世界のメガ・ホテル・チェーン
- COLUMN 世界と戦う、星野リゾート
- 第3章 ホテルの機能から学ぶ用途拡大の世界
- 1 宿泊だけではないホテルの機能
- 2 F&B (food and beverage) でひらくホテルの可能性
- 3 「泊まれるレストラン」 オーベルジュ
- 4 ホテルにおけるスパの位置づけ
- 5 変化するホテルのありかた
- 6 「泊まる」から「使う」、そして「暮らす」 へ
- COLUMN 産後ケアリゾート「HOTEL CAFUNE」
- 第4章 ラグジュアリーホテルから学ぶ価値創出の世界
- 1 急増するラグジュアリーホテル
- 2 「ラグジュアリー」に必要な要素
- 3 高価格ホテルを選ぶべき理由
- 4 美しい国の、美しい一日がある。
- 5 なぜ高額な費用をかけてまでホテルはリブランドをするのか
- 6 ラグジュアリートラベルとgunta (ガンツウ)
- COLUMN せとうちDMOとラグジュアリーツーリズム
- 第5章 日本のホテルから学ぶホスピタリティの世界
- 1 日本のホテルが「良い」理由
- 2 おもてなし文化のデメリット
- 3 ホテルの価格はどのようにして決まるか
- 4 価格を上げるほど顧客満足度は下がる?
- 5 人を育てるホテル
- 6 求人に応募が殺到する国内ホテル
- COLUMN ホテルの給料とキャリアパス
- 第6章 ビジネスホテルから学ぶ実用性の世界
- 1 誰が日本のビジネスホテルをつくったか
- 2 ビジネスホテルが差別化のためにやっていること
- 3 客室清掃と清掃費用のカラクリ
- 4 進化系ビジネスホテル
- 5 プロが教えるビジネスホテルの選び方
- 6 老舗旅館に革命を起こしたクラウド型システム
- COLUMN シャンパン・ホテルと温故知新
- 第7章 インバウンド需要から学ぶ多様化の世界
- 1 民泊とブッキングサイトの登場
- 2 外国人が日本の宿に求めるもの
- 3 多様化するホテルの形態
- 4 外国人観光客の視点で選ぶ日本のホテル
- 5 インバウンドと営業戦略
- 6 ホテルの新規開業
- COLUMN SNSマーケティングとSOCIALPORT
- 第8章 進化するホテルから学ぶこれからのホテルビジネスの世界
- 1 〝失われた3年〟による価値観の大転換
- 2 DXが促進する顧客ニーズ対応
- 3 効率化とサービス
- 4 ホテルの収益と事業計画
- 5 ペットツーリズムとホテル
- 6 カジノは日本のホテルの付加価値となるのか
- COLUMN ウェルネスホテル「ReLabo(リラボ)」a
- 第9章 一生に一度は泊まるべきホテル・旅館
- ブランド哲学部門 ザ・ペニンシュラ東京
- クリーンネス部門 THE KUKUNA
- 運営の仕組み部門 sankara hotel&spa屋久島
- おもてなし部門 越前あわら温泉 つるや
- エコシステム部門 北海道江差旅庭 群来
- おわりに
- 参考資料
書籍紹介
ホテルの経営やその裏舞台、そして業界の最新トレンドまでを、ホテルの教養や雑学を交えつつ、非常に読みやすく解説しています。新型コロナウイルスの影響で大きく変化したホテル業界を中心に、宿泊産業の多様化やインバウンド需要の変遷について触れています。グローバルな視点を持つビジネスパーソンにとっては、日本国内のホテル業界の動向を理解する助けになるでしょう。
旅館事業の経験から
林田氏の星野リゾートでの旅館再生事業の経験が反映されており、実践的な視点からの分析も魅力です。ラグジュアリーホテルから日常使いのビジネスホテルまで幅広く取り上げられ、ホテルの価値づくりや進化を分かりやすく説明しています。読者は、ホテルが提供するサービスや機能の拡張がどのように顧客に新しい価値を提供しているのかを学ぶことができます。
サービス業に有益な情報
ホテルビジネスに興味がある人だけでなく、観光やサービス業に関わる人々にも有益な情報を提供しています。ホテルの歴史や文化、そして未来の展望を知ることで、より深い理解と新たな視点を得ることができるでしょう。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
ホテルで重視するもの
ホテルで重視するものランキングでは、日本人が「Wi-Fi」「室内冷蔵庫」「無料アメニティ」といった客室内の施設を重視する傾向にあるようです。
一方で、「ベビーシッターサービス」「ジム」「プール」といったホテル内の設備を重視するのが外国人に多いというランキング結果になっています。
「屋外スペース」や「家族連れに優しい」といった要素は、日本人はあまり期待していないようです。
ホテルを利用する人にとって重要なことは、安全で快適に宿泊することです。そのために、設備やサービスを整えることが重要です。フロントサービス、レストランサービス、コンシェルジュサービスなど、様々なサービスがあります。
サービス料は、ホテルにあるそれぞれの部門から提供されたサービス全体に対する代金と考えて問題ありません。だいたいサービス料は売り上げの10~15%程度で設定されています。サービス料も売上の一部であり、チップも商品の一種として課税対象となっています。
ホテルで暮らす
コロナ禍後に存在感を増したのが、月額料金を支払えば定額で宿泊できるサブスクリプションホテルです。長期滞在や旅行の拠点として利用できることがメリットとなっています。
2020年から本格的に試み始めたサブスクホテルですが、提携先を増やし、ホテルからホテルへと身軽に引っ越しができるような賃貸物件サービスを展開しています。
そのような施設では、積極的なコミュニケーションを生む仕掛けとして、サウナやワークスペースなどを有するものが多く、渋谷では「働く」「遊ぶ」「暮らす」が融合する「渋谷型都市ライフ」の実現を目指しています。
今後も、さまざまなニーズに応じたホテルが登場していくことでしょう。
ホテルの差別化
ビジネスホテルの競争が激化する中、差別化は必須となっています。
日本人か外国人か、女性仲間かビジネスマンか、年齢層はどのくらいか、富裕層かどうか、明確なターゲットの選定をして差別化を図っています。
そのターゲットに合わせた設備や立地、サービスやプラン、限定割引や価格帯を考えて、ホテルビジネスを展開していることでしょう。
ネストホテルは、ビジネスホテルからスタートし、立地や既存の建物の特徴を活かして魅力的なホテルにしています。それぞれの個性を持ったホテルにすることで、他社のホテルと差別化を図っています。
アパホテルは、リーズナブルな価格と無駄のない客室、駅前の立地を確保して拡大する経営方針です。基本的に土地建物を取得し、ストックビジネスと考えて展開しています。