なぜ人は自ら痛みを得ようとするのか/著者:リー・カワート

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書籍情報

タイトル

なぜ人は自ら痛みを得ようとするのか

発刊 2024年2月3日

ISBN 978-4-562-07386-3

総ページ数 318p

著者

リー・カワート

研究者であり科学ジャーナリスト。

ワシントンポスト、ニューヨークマガジン他、多数に記事を投稿している。

出版

原書房

もくじ

  • はじめに
  • 第一章 そもそものはじまり
  • 第二章 人体に存在する痛みの電気回路
  • 第三章 聖者の苦しみ
  • 第四章 溶岩をくわえた口
  • 第五章 ものの名前
  • 第六章 灯りが消えるとき
  • 第七章 社会的生物
  • 第八章 ウルトラマラソン
  • 第九章 真剣な遊びの場
  • 第十章 至福のとき

書籍紹介

どんな本か

 リー・カワートが痛みへの興味深い旅に誘う一冊です。彼女は、人々がなぜ進んで痛みに向き合うのかを探求し、その心理的、文化的な背景に迫ります。著者自身がエクストリームスポーツや身体改造などの経験を持ち、それらの活動で感じる「快感」と「痛み」の複雑な関係性を自身の視点から分析しています。

痛みとは

 本書は、科学的な研究だけでなく、歴史や哲学からも痛みに関する見解を取り入れています。カワートは、痛みがもたらす生理的な反応や心理的効果に加えて、宗教的儀式やスポーツ、アート、さらには恋愛における痛みの役割にも注目。なぜ多くの人が、痛みを求めるような活動や経験に惹かれるのか、その普遍的な理由を解き明かしていきます。

どんな人にオススメか

 この本は、人間の行動や心の奥底に潜む欲望に光を当て、痛みと快感が表裏一体であることを示します。読者はこの本を通じて、自分自身の感情や行動を理解するヒントを得られるでしょう。カワートの鮮やかな筆致は、痛みという異質なテーマに興味をそそり、私たちが思わず避けたくなるような現象の背後にある魅力を浮き彫りにします。人間の複雑な心理に迫る本書は、他者の行動や自己理解への扉を開く一冊です。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

人体に存在する痛みの電気回路

 人体の神経系は、シグナルを送り応答するために複雑に構成されています。数多くの感覚ニューロンが外界の刺激に反応して体を守るための情報を提供します。

 簡単に言えば、末梢神経が脳に何が起こっているかを伝える役割を持っています。人体には特別な細胞で覆われた感覚受容器があり、音、熱、光、味、匂いなどの刺激に反応します。この末梢神経には、警告信号を送る感覚ニューロンである侵害受容器も含まれます。

 顔のニューロンは、頭部にある三叉神経節に集まりますが、他の部位の侵害受容器の細胞体は脊髄の後根神経節に位置しています。

 これらの感覚ニューロンの軸索は、これらの拠点から曲がりくねって伸びており、皮膚の中では特に筋肉や内臓の表面よりも侵害受容器が密集しています。特に指先では、1平方センチメートルあたり最大1200個もの侵害受容器が存在します。

灯りが消えるとき

 仕事が休みの日、私が行うのは自傷行為です。食べては吐き、失神することで一時的な幸福感を感じます。

 体が限界を超えると、食べたものが胃から押し上げられ、痛みが伴いますが、それが私には快感に感じられます。この行為を何時間も続けることができます。

 それだけでは足りない時は、自分の体を力強く切りつけてしまいます。私の体には、白い傷跡が残り続けます。

 なぜこんなことをするのでしょうか。怒りや憎しみ、自分を傷つけたいという強い衝動があるからです。まるで自分自身に薬を与えるかのような必死の行為です。

 この深刻な自傷行為を、見えない傷と共にメンタルヘルスの専門家の助けを借りて、静かに克服しようとしています。

ウルトラマラソン

 ビッグ・ドッグ・バックヤード・ウルトラは、世界で最も過酷なレースの一つとして知られています。このレースの特徴は、毎時間に6706メートルのコースを走ることです。昼間はほとんど整備されていない森林を、夜は舗装された道路を走ります。これ自体は他のウルトラマラソンと変わりありません。

 このレースの過酷さは、走る距離にも制限時間にも上限がないことにあります。参加者全員がリタイアするまでレースは終わりません。ルールはシンプルで、各周回のスタートが始まる1時間前にはスタートエリアに戻らなければならないというものです。

 レース中、休憩時間が延長されることはありません。食事や睡眠の時間も設けられておらず、次のスタート信号が鳴るまでのわずかな時間でこれらを済ませなければなりません。

 コースから戻ってくるランナーを見ると、人間が走るのに適した身体構造を持っていることが明らかです。ランナーは長い脚と短い前腕、弾力のある腱を持ち、肩は首の動きに束縛されずに自由に動かしてバランスを取ることができます。

 また、ランナーは前方に向かって大きなつま先を使い、蹴り出す力を増加させます。進化により関節面が広がり、かかとの骨が大きくなったことで、衝撃を吸収し、走りやすくなっています。

真剣な遊び

 なぜ人が痛みにふけるのか。人は様々であるように、理由も数え切らないほど存在します。けれど、痛みを伴いう行為には共通するものをもちます。信頼と同意です。合意なしではひどい危害を与え続けてしまうことになるのです。

 恋人になら強く髪を引っ張られても大丈夫かもしれません。けれど、知らない相手なら、腕の触れ方がなれなれしいだけで振り払うでしょう。

 コンテクスト、限界、合意。私が求める痛みは、その背景や状況を大事にし、限界を明確にし、合意に基づいたものです。そうでなければ、わたしはただ苦しんでいるだけです。

 限界がどこにあるのかを探し、ファンタジーを求め、血が出るまで叩かれたりして、あなたはわたしを理解します。

 気持ちの入っていない平手うちなら拒絶することさえあるのに、ムチの先端を通して得た感覚がはるかに痛いものであっても、信頼とちょっとだけの愛を感じれば楽しめるのです。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 グロ耐性のない人は本当にオススメしません。

 読むのが苦しくなるほど、最後まで全く理解できませんでした。世の中には想像を超える感性が存在するみたいです。

 理解する必要も感じないですが、共感できる人も中にはいるし、この手の話が好きな人が読んだら良いと思います。科学的な部分もあるので、ある程度は知識ものとして読めました。

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