ギャンブル脳/著者:帚木蓬生

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書籍情報

タイトル

ギャンブル脳

発刊 2025年1月20日

ISBN 978-4-10-611074-0

総ページ数 220p

書評サイト 読売新聞オンラインBookBang

出版社リンク 新潮社

著者

帚木蓬生

作家。精神科医。

出版

新潮社

もくじ

  • はじめに
  • 第一章 ギャンブル脳の正体
    • ギャンブル症とは
    • ギャンブル症の脳内化学伝達物質
    • ドーパミンまみれの脳
    • パーキンソン病の患者の豹変
    • ギャンブル症者の脳画像
    • 変化した脳は元には戻らない
    • ギャンブル症とADHD(注意欠如多動症)
    • ギャンブル症とアルコール依存症
    • ギャンブル症とうつ病
    • ギャンブル症と自殺
    • ギャンブル症の遺伝的傾向
    • アルコール依存症や薬物依存との違い
  • 第二章 ギャンブル症になりやすい人、なった人
    • 一種の生活習慣病
    • 子供のときにカンシャク持ちだった
    • 興奮を求めやすい人
    • 新奇なものに惹かれる人
    • 負けず嫌いな人
    • 内向きの性格
    • 誉められたことがない人
    • ギャンブルに対する過剰な期待
    • 自己過信
    • 迷信じみた信じ込み
    • 長い目で勝負を見ることができない
    • 嘘と借金
    • 妄想じみた二つの思考
    • 「三ザル」状態と「三だけ」主義
    • ギャンブル脳を利用した胴元の戦略
  • 第三章 脳が壊れ、家族が崩壊し、犯罪に手を染める
    • 配偶者の苦しみ
    • ギャンブル脳による犯罪
    • ギャンブル規制の歴史
  • 第四章 国と官僚の不作為が国を亡ぼす
    • 調査するたびに下がる有病率
    • 戦後に続々と誕生した公営ギャンブル
    • 公営ギャンブルの活況
    • パチンコ・パチスロの奇怪
    • 日本にはマカオが六つある
    • パチンコ・パチスロの売上額はスーパー並
    • 各省が競い合う公営ギャンブル
    • 骨抜きの 「ギャンブル等依存症対策基本法」
    • 新型コロナ禍で急激に進んだオンライン化
    • 増える中学生のスマホゲームでの課金
    • 日本も狙っているスポーツ賭博の解禁
    • 見て見ぬふりのオンラインカジノ
  • 第五章 ギャンブルと日本人
    • 今だけ、金だけ、自分だけのカジノ解禁
    • 見ザル、聞かザル、言わザルの国と官僚
    • 子をかばう親
    • 日本人のギャンブル好きは古代から
    • 生まれた時から周りはギャンブルだらけ
    • あと戻りができない日本人
  • 第六章 それでもギャンブル脳は回復する
    • 戦いは一生続く
    • 自助グループが効く
    • ギャンブラーズ・アノニマス
    • アノニマス・ネーム
    • 言いっ放しの聞きっ放し
    • 無力そして心を開く
    • ゆっくりやろう
    • 回復途上の試練
    • 家族のための自助グループ
    • お金をどうするか
    • 平安の祈り
    • 思いやり、寛容、正直、謙虚
    • ギャンブル症になってよかった
  • おわりに

書籍紹介

 精神科医であり作家でもある帚木さんが長年の経験をもとに綴った一冊です。ギャンブル依存症というテーマを扱っており、その恐ろしさと向き合い方を丁寧に解き明かしています。

ギャンブル依存症になる前には戻れない

 本書の中では、ギャンブルにのめり込むことで脳がどのように変化していくのかが詳しく描かれています。特に衝撃的なのは、一度依存症に陥ると脳の神経回路が変形し、もとに戻ることが極めて難しいという事実です。ドーパミンが過剰に分泌され、衝動を抑えられなくなったり、リスクの高い選択を繰り返すようになる過程は、まるで脳が暴走しているかのようです。帚木さんは、こうしたメカニズムを科学的な知見と豊富な臨床例を交えて説明しており、読んでいて背筋が寒くなる瞬間もあります。

周囲の影響

 ギャンブル依存症が本人だけでなく家族や周囲にも深刻な影響を及ぼす様子も描かれています。借金や嘘が積み重なり、家庭が崩壊していくケースは決して珍しくありません。さらに、社会的な背景として、日本の公営ギャンブルやオンラインカジノの広がりが問題を加速させていると警鐘を鳴らしています。国や規制のあり方にも鋭い視点が向けられており、単なる個人の問題ではなく、社会全体で考えるべき課題だと感じさせます。

 それでも希望を失わないのがこの本の素晴らしいところです。治療の難しさは認めつつも、自助グループや家族のサポートを通じて回復への道があることを示しています。依存症は完治が難しい病気かもしれませんが、正しい理解と支えがあれば、再び前を向いて歩き出せるのです。帚木さんの言葉には、患者と向き合ってきた医師としての温かさがにじんでいます。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

日本にはマカオが6つある

 日本のギャンブルがどのくらいの売上額を誇っているか、検証しましょう。2022年の実績をみると、パチスロが14兆6000臆円、競馬が4兆3400億円、中央競馬が3兆2700億円、地方競馬が1兆700億円です。競艇が2兆4100億円、競輪が1兆900億円、オートレースが1000億円、宝くじが8300億円スポーツ振興くじが1100億円です。

 20兆円の7割がパチスロであり、日本がギャンブル症の有病率世界一だとも、ギャンブル天国だとも言われるような金額です。

 売国の試算ではギャンブル病者ひとり当たりの社会面の損失額が1万ドルとされています。自己破産、生活保護、貧困化、育児、介護、ネグレクト、犯罪被害などが含まれているようです。

 これを日本にそのまま当てはめると200億ドルとなり、約3兆円となります。パチスロでの利益が海外に渡り、国内の損失が毎年3兆円あると考えれば、日本のギャンブル依存の深刻さが理解できるでしょう。

お金をどうするか

 ギャンブル依存症の患者の収入は家族が管理するように勧めています。本人が管理すると綱渡りの生活をするからです。「手元のお金が化けるかもしれない」という妄想から抜け出すことができません。家族が管理した方が本人の気が楽でしょう。

 幸いなことに、家族が管理すると患者さんが大金を持たない生活に慣れてきます。毎日を1000円で過ごす患者さんは「ギャンブルをしているときは、1000円札は紙切れでした。今はこの金額のありがたさがわかります」と言います。財布を持たない生活が楽だとは知らなかったと話す人までいるくらいです。お金に悩まされないだけで救われる人がいます。

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