忘れる技術

※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

まえがき

 私たちは誰でも、過去に自分の身に降りかかったなかなか忘れられない思い出を、ひとつふたつはもっているものです。多くは通常の記憶であり、少しずつ記憶から遠ざかっていくものでしょう。

 なかには頭にとりついたようになって、日常を完全に支配してしまう記憶もあります。これは、明らかに異常であり、深刻な毎日を送らなくてはなりません。

 人生あくまでも「七転び八起き」でなくてはなりません。最後には立ち上がって再び歩き出すことに意義があるのです。

書籍情報

タイトル

精神科医が教える 忘れる技術

第1刷 2019年1月10日

発行者 矢部敬一

発行 (株)創元社

組版・装丁 北尾崇(HON DESIGN)

ISBN 978-4-422-11488-0

総ページ数 206p

著者

岡野憲一郎

 精神科医・精神分析家

出版

創元社

消えない恨み

作者: ちょこぴよ

 精神的な外傷を負うと、私たちの心に忘れられない記憶が形成されます。

 もし誰かに危害を加えられたり、はずかしめを受けたりすると、その恨みは私たちの心を一生悩ませつづける可能性があるのです。

 程度の差はあっても人から愛され、望まれることによって毎日生きていく力を獲得しています。世の中には自信満々で、どう見られようと動じないような人もいます。そうした人の多くは、理由はどうあれど必要とされていると信じているのです。

 何かのきっかけで自分の恨みが根拠がある正しいものだと信じ込んでしまったとしたら、恨みを中心に回り出したとしてもおかしくありません。

 しかし、恨みをもつことは人生の目標が明確で、生きている意味を探さなくてすむということです。すくなくとも恨みを抱く人は、生きる目標がなくて自殺を考えたりすることはないでしょう。

忘れたい刺激を遠ざける

Image by NoName_13 from Pixabay

 忘れたいと言いつつ、それに関した刺激を身のまわりに置き続けている場合があります。

 様々な知覚の刺激を受け、それが大きく行動を支配していると考えられるのです。目の端でとらえたものや、それと気が付かずにバックグランドで耳に入ってくる音に刺激を受けます。

 元パートナーが去っていった部屋には、家全体に辛いものがしみついているのです。そんなときは、まったく新しい環境に引っ越しましょう。意識下の刺激を全て除去することで、初めて過去を忘れるプロセスが本格的に進み、気持ちを切り替えることができるのです。

 日常生活で忘れたいものを視野にいれないように工夫できるものであれば、どのようなものでも実行するべき価値はあります。

相手を知り、許す

UnsplashPriscilla Du Preezが撮影した写真

 許すことで忘れる方法は、深く傷ついた記憶、恨みの記憶に応用できます。

  1. 明確に特定できるような被害を受けた場合、それによる怒りや傷つきをはっきりと認める
  2. 加害者に苦しみを負わせたり、懲らしめたりしようという復讐の気持ちを心に禁じる
  3. 加害者の立場を考える。その行為をわかろうとする
  4. 痛みを加害者にぶつけることなく、自分で受け入れることを決断する
  5. 加害者に共感を向ける。そうすることで被害者は被害から解放される

 また相手を許したら、自分の苦しみがもっと深くなってしまうケースもあります。相手を許すという行為は、かなり危険な賭けかもしれません。この方法はハードルも高いことも問題でしょう。

思考制止術

Image by congerdesign from Pixabay

 忘れられない悩みに対してこれほどの正攻法はありません。あまり注目をされないのは、確実なエビデンスがだされていなかったからです。

 思考制止術は、苦しい過去をいくらでも考えていい時間を30分設けて、それからぱっと頭を切り換えるという練習を繰り返します。

 いやなことを好きなだけ考えるという奇妙な作業を通して、自分の心のなかの自虐的な部分に気が付くのです。

 コツコツとできるタイプの人なら、この種のトレーニングを行うことができます。忘れようにも忘れられない記憶を頭から消し去る方法としては、もっとも信頼できるものといってよいかもしれません。

あとがき

 心の問題に正解はありません。忘れる方法としてどれが自分にあっているかは、人の体験を開き、自らも模索していくものです。

 本書で述べた方法でしっくりくるものが見つかればいいと思います。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 良い事も悪い事も、頭のなかにあるものをそのまま全て書き出してしまう方法はよく使います。書き出して日の翌朝、起きてみると頭の中が整理されていて、ストレスも減っていますし、もやもやしていた内容もどうでも良くなっています。

 頻繁に日常でやる作業になるので、コツコツやれない人には向いていないかもしれません。でも、一番効果があるストレスの対処法だと思います。

 愚痴を人に吐き出すくらいならば、抱えている悩みの対処法をこの本で探してみてはいかがでしょうか。

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