もくじ
- 米中衝突と同盟関係
- 米中戦争と台湾・第一列島線 戦争の長期化・広域化と多領域化に備えよ (アンドリュー・F・クレピネビッチ)
- 米中地政学とグローバル経済 同盟国との経済連携の強化を (ピーター・E・ハレル)
- 米中にとっての台湾の軍事的価値
- プーチンと欧米右派の連帯?
- プーチンが思い描く「極右インターナショナル」とは 世界の極右を連帯させて、欧米を揺るがす (ミハイル・ザイガー)
- 欧州の戦争疲れ ウクライナへの支持低下をいかに覆すか (スージー・デニソン、パヴェル・ゼルカ)
- 欧州における右派の台頭 移民と法の秩序(マティアス・マタイス)
- 漂流する超大国
- 自己を見失った超大国 自ら築いた世界に背を向けるのか(ファリード・ザカリア)
- トランプと地政学
- トランプと地政学 変化し始めた同盟国と敵対国の立場(グレアム・アリソン)
- 共和党外交の再建はできるか アメリカファーストと国際主義の相克(ジェラルド・F・セイブ)
- パスポート売買ビジネス 市民権、国籍の値段と意味合い(アトッサ・アラクシア・アブラハミアン)
目次
欧州の戦争疲れ
監修
不安定化した戦争支援
ウクライナの戦闘継続への欧州の支持は低下し始めています。
ウクライナがすべての領土を回復することを望む人は平均38%でしたが、2023年9月には34%に落ちているのです。
一方でウクライナがロシアに領土を奪われることになっても紛争をできるだけ早く終わらせたい人の割合は19%で変わりません。
ウクライナの勝利が欧州の将来にとって、どう不可欠なのかを有権者に示す必要があるでしょう。
戦争疲れ
スロバキアでは、ポピュリストのロベルト・フィツォ元首相率いる政党が9月の議会選挙で勝利し、フィツォは首相に返り咲きました。就任後、すぐにウクライナへの軍事支援を停止しています。
EUでは100万人を超えるウクライナ難民を受け入れています。難民でさえ紛争地域から離れるにつれて、関心が薄れていくようです。
ウクライナから遠く離れた人々にとって、戦争はもはや緊急事態とはみなされていません。
ロシアが核兵器を使用して、戦争がエスカレートするのではないかと恐れていたが、そうはならなかったため、EUでは抽象的なものとみなされています。
トランプと地政学
監修
安全保障はどうなる
プーチンはウクライナ情勢が思った方向に進まないことから、戦争を終わらせる準備があるのではないかとの楽観的な憶測も広がっています。
しかし、トランプ・プットの結果、1年後も戦争が続いている可能性の方がはるかに高いです。トランプなら、ロシアにとってはるかに有利な条件を示す可能性があり、プーチンはそのタイミングを待つでしょう。
ロシアの3倍の人口とその9倍以上のGDPをもつ欧州連合が、なぜアメリカに防衛を依存しなければならいないと、考えているのはトランプだけではありません。オバマも同じような意見を言ったことがあるのです。
貿易と移民
トランプ2期目で、世界貿易秩序が見直され、無秩序へ向かっていくのはほぼ間違いありません。
彼は、太平洋パートナーシップから離脱し、その後も、自由貿易協定だけでなく、ヨーロッパとの包括的貿易投資協定の交渉も打ち切りました。
政権初日で印藤太平洋経済枠組は葬り去ると選挙キャンペーンでも明言しています。
さらないイスラエルやウクライナへの支援を承認しないとしていて、バイデン政権による国境警備の失敗を大きな争点に「アメリカ史上最大の強制送還作戦」と称して「不法滞在者」を一網打尽にする計画を発表しているのです。