もくじ
- アジェンダ 2024 台湾、中東、レジリエンス
- 本当の対中抑止力とは_米台が中国を安心させるべき理由
- 「踏み込んだら撃つぞ」の意味
- 威嚇と安全の保障
- 海峡での疑念と不安
- アメリカの行動
- 本当の抑止力
- 中東を一変させたガザ戦争_混乱をいかに安定と秩序に導くか
- 新枠組みの形成を
- 変化した流れ
- 新合意とリヤドの役割
- アラブとイランの関係
- イランとの核協議を
- 中国との競争
- 平和を創造する
- ハイリスク環境における安定とは_システミック・レジリエンスの確立を
- システミック・レジリエンス
- リスクと恩恵をどう判断するか
- 吸収、適応、変革
- レジリエンスの大頭
- レジリエンスを強化するには
- リスク管理を方法
- 本当の対中抑止力とは_米台が中国を安心させるべき理由
- ロシアとウクライナ
- プーチン独裁と大衆の無関心_終わらない戦争とロシアの日常
- 選挙で平穏な日常を買う
- 選挙の意味
- 社会契約
- 欧米との戦争
- ロシア経済の実態
- 戦争のなかの静けさ
- ウクライナ戦争の戦略シフトを_反転攻勢から防衛へ
- 反転攻勢から防衛へ
- 手詰まり状態
- 流れを変える
- より良い賭け
- スマートな指導者がなぜ愚かな判断をするのか_外交政策は合理的か
- すべては合理的判断なのか
- 一つの決定、錯綜する考え
- 合理的な選択とは
- 理論と現実
- プーチン独裁と大衆の無関心_終わらない戦争とロシアの日常
- Current Issues
- 欧州における右派の台頭_移民と法の秩序
- オランダにおける極右勢力の台頭
- ウィルダースの政策
- EUへの影響
- 紛争後のガザを誰が統治するのか_紛争から外交への長い道のり
- イスラエルの迷走
- 紛争後のガザ統治
- 非アラブの解決策
- 外交空間を確保せよ
- ハビエル・ミレイがアルゼンチンを変える?_過激なリーダーシップの可能性とリスク
- 過激主義と現実主義
- インフレをいかに抑えるか
- 自由貿易と中国
- 現実主義
- トランプ現象とアメリカの政治文化_ヘンリー・フォードとトランプ
- トランプをどう理解するか
- 病んだ歴史文化的伝統
- ヘンリー・フォードとトランプ
- 欧州における右派の台頭_移民と法の秩序
目次
本当の対中抑止力とは
監修
踏み込んだら撃つぞ
台湾海峡に関わる3者は、十分な「保証」を提供していません。敵を思いとどまらせるには脅威だけではだめなのです。
アメリカとしては、北京による統一の強制に反対し、台北による独立を求める政治的な動きにも反対です。衝突回避のために安心材料を提供すれば、助けになるでしょう。
台湾防衛のために同盟コミットメントを示せば、中国は「中国による統一を阻止するつもりか」と主導者が考えるかもしれません。その場合は、アメリカの軍事的威嚇は効力を失い、ワシントンが地域的な軍事力強化にいくら力を注いでも、戦争は防げなくなります。
海峡での疑念と不安
北京はかねて、台北が恒久的な分離や正式な独立を模索した場合、「非平和的」な手段をとることも辞さないと威嚇してきました。
中国の軍備増強と台湾近海での激しい軍事訓練は、北京が台湾の独立を抑止する政策から、強制力や軍事力による統一を強要する政策に移行しつつあるのではないかと懸念を高めています。
ナンシー・ペロシ米下院議長が2022年8月に台湾を訪問したことへの不快感を示すために、北京は大規模で強硬な軍事演習を実施したが、空と海の演習を、台湾海峡の中間線を尊重してきた20年来の慣行に戻すべきです。
台湾の次期総統が、民進党の候補が勝利した場合、過去に正式な独立を支持したことがあるため、緊張が高まるでしょう。
ハビエル・ミレイがアルゼンチンを変える
監修
過激主義と現実主義
ハビエル・ミレイが勝利した理由の一つは、政治経験の少ない人物として、多くのアルゼンチン市民が感じている現状に対する怒りを体現していたからです。若い世代に人気が高く、メディアでの暴言を楽しんでいるようです。
また、元大統領のマクリシオ・マクリが支持したことで、穏健派有権者の票を獲得することができたのも大きいです。
政権奪取の際にみせた大胆さと、不必要な争いを避けることが課題とされています。
インフレを抑える
ミレイは、ペロン派に働きかけなければなりません。公共事業の全廃などの急進的な提案を弱め、乏しい地方財源を補うために連邦政府の援助を提供する必要があります。
一方でマクリの影響力はミレイにとって、もろ刃の剣かもしれません。マクリはインフレを抑えるための市場主義的政策を実施すると約束し、返済に苦しんでいる440億ドルの国際通貨基金からの融資を得たにもかかわらず、目的を達成できませんでした。マクリが経済領域の政策で影響力をもちすぎれば、ミレイに投票した人は裏切られたと感じるでしょう。
ミレイが完全なドル化やアルゼンチン中央銀行閉鎖といった主要な提案を後退させたことは良いニュースです。1990年代にアルゼンチン・ペソを米ドルにペッグしたときは、インフレは抑えられたが2001年の深刻な社会経済危機のなかで、この戦略は破綻しました。財政赤字を削減するだけでなく、予選をファイナンスするために紙幣を印刷するやり方を避けなければなりません。
中国と自由貿易
中国企業は、アルゼンチンのリチウムやインフラ部門に深く関わっています。
保護主義のトランプと違って、ミレイは自由貿易を信奉しています。大規模な競争力を生む可能性もありますが、産業が適応するために長期的な計画が必要です。
バイデン大統領と友好的な電話会談をしながらも、貧困にあえぐアルゼンチンはアメリカではありません。ブラジルとも関係を悪化させてはならないし、キューバ、ニカラグア、ベネズエラの左派独裁政権とは波長が合いそうです。
ワシントンと北京を気にかけて、リチウム、石油、ガス、インフラといった重要分野へのさらなる投資を求めるでしょう。