目次
覚醒した中国民衆
監修
ゼロコロナ政策が刺激した今回の抗議行動を通じて、中国民衆は北京の政策に明確に異を唱えました。最高指導者になって10年間、習近平は統制制作の強化に血筋を上げてきたのです。
民衆デモは、人々が個人の自由を求めていることだけでなく、中国政治が激動の時代を迎えることを告げているのではないでしょうか。
変化した中国社会
習近平は、独立系映画祭の開催を禁止したり、歴史専門誌を廃刊にしたりして、自由な考えをする人々を追い込みました。しかし、政治腐敗や格差の拡大に辟易している中・低所得者層からの支持を得ていることは明らかです。党の腐敗に対して、相手にする覚悟を持っていました。
3年前に都市封鎖(ロックダウン)開始されたときは、アメリカなどの先進国が病院の対応能力を失っていることと比較して、民衆はロックダウンの対応を評価していたのです。
しかし、世界各国がパンデミックから解放されつつあるかにみえるなか、終わりの見えない封鎖政策に対して不満を抱くようになります。
中国では、小さな抗議行動は珍しくなく、ほとんどは公害や賃金未払いなどのローカルな問題がテーマです。けれど、この1年の抗議行動は、全国規模で習近平に向けられたものが多くなっています。
人命よりもゼロコロナ政策を優先しているとみられたために、多くの人が我慢の限界に達したようです。
失われた成長と豊かさ
2018年から現在まで、私が実施したぺ期ノン労働者階級への聞き取り調査や、フォローアップの会話を前提にすれば、多くの中国人は「普通の生活に戻ること」を望んでいるようです。
パスポートが自動的に発行され、国内外を旅行できた時代、国内に外国人観光客がいて世界と関係をもっているようにみえた時代のことを「普通の生活」と、中国人は認識しています。
今後、何十年に渡って北京が経済成長をし続けていくことを当然視するようになっているのです。そんな繁栄の時代に戻るのは、彼ではおそらく無理でしょう。
未来への不安
中国の16歳から24歳の失業率は18%以上に跳ね上がっています。パンデミックが起きてから、ますます深刻になり、国内総生産GDPの成長率も3.2%(2021年は8.1%)と低下しました。
今まであてにしてきた単純労働の多くは、オートメーションにとって代わるほか、外国にアウトソースされています。高齢化、国家統制経済の拡大、防衛システムのコストと問題が山積みです。
けれど、国は宇宙開発計画や、外国技術への依存度を減らすことに資金をつぎ込み、すでに多くの市民が社会階層の情報にシフトできなくなっています。
多くの市民は「中国が正当な一を占めるための試み」として国家主導のプロジェクトを受け入れているようです。けれど、これら政策が経済を減速させている以上、人々はその余波に直接さらされています。
混乱の時代へ
生活水準が低くなった理由として、ロックダウンが引き合いに出されたにすぎません。
今後ゼロコロナ政策が解除されて、一時的に景気が回復したとしても、これまでと同じように市民の不安が高まるのであれば、避けようのない危機が促す抗議行動に直面するのではないでしょうか。
変化したグローバルな潮流
監修
ウクライナ戦争や欧州安全保障の問題を越えた流れをもっています。ドイツとヨーロッパは、世界が再び競合するブロック圏に分裂してくとする運命論に屈することなく、国際秩序を守る貢献をしていかなければなりません。
多極化した世界では、民主主義世界のコンフォートゾーンを越えて、対話と協力を広げていかなければならないのです。
時代の転換
ドイツは国連憲章の原則に基づく国際秩序を守り、育んでいくためにできる限りのことを試みています。ドイツの民主主義、安全保障、繁栄は、共有するルールがもつ各国を束ねる力に依存するからです。
歴史ゆえに、ファシズム、権威主義、帝国主義の流れと戦く特別な責任を負っています。分断された経験ゆえに新たな冷戦の危険を直接的に知っているのです。
冷戦後
壁が崩壊した直後にヴィリー・ブラント首相が語ったように、われわれはついに「ともにあり、共に成長できる」ようになったのです。
しかし、ブッシュが述べた「欧州全体が自由であること」は、根拠なき希望ではなくなっています。ロシアは西側諸国のパートナーになる可能性さえあると思い、ほとんどのヨーロッパ諸国は軍隊の縮小と国防予算の削減をしたのです。隣国が友好的であれば50万規模の大戦力を維持する必要がありません。
2007年には「アメリカによる支配の道具に過ぎない」とプーチンが発言をしたり、2014年にクリミアを占拠したり、シリアのアサド政権を支援して残忍な軍事介入を遂行しました。
ロシアは、ヨーロッパから離れて協力的で平和な秩序から遠ざかる道を選択をしたのです。
欧州の防衛力強化
プーチンの思い通りにさせてはなりません。ロシアの失地回復的帝国主義を止めなければならないのです。現状でドイツに求められている重要な役割は、欧州安全保障の主要な担い手として、その試みを強化することになります。
ウクライナ攻撃後に、ドイル政府が最初に下した決断の1つは、約1000億ドルの特別基金を設け、ドイツ連邦軍の軍備を増強することでした。基金を設立するために、憲法も改正したのです。ドイツは国内総生産GDPの2%を国防に投資しています。
NATOの行動がロシアとの直接対決に向かわないように配慮しつつも、ロシアのさらなる侵略を確実に抑止しなければなりません。
ドイツが主導するリトアニアのNATO戦闘群を強化し、同国の安全を確保するための旅団を配備しています。ドイツ海軍は、バルト海におけるNATOの抑止・防衛活動に参加しているのです。さらに、即応性をもつ航空・海軍の重要アセットを提供する予定になっています。
新しいパートナーシップを
中国、北米・ヨーロッパ諸国がグローバル化の変化に適応するなかで、過去に原材料を低コストで生産して見事な成長を遂げたアフリカ、アジア、カリブ海、中南米の多くの国々も豊かさを増しています。
これらの地域は、グローバル化もたらす機会をとらえ、人口・経済的な比重の高まりに応じて、より多くの役割を求めていくでしょう。ヨーロッパや北米の市民にとって、それが脅威になることはありません。
多極化した世界で多国間主義を維持する維持するには、ドイツと多くの国々が新たなパートナーシップを形成するべきです。既存のパートナーシップ拡大するための投資を行っているのは、まさにこの理由からでしょう。
戦争を終わらせるには
監修
ロシアのエリートにとって、生き残るために、とりあえず戦争への支持を表明することが重要になっています。
そして、ウルトラナショナリストたちは、いまだにキーウを陥落させるという、はっきりとした夢を見ているのです。
リアリストたちが欧米との暫定合意を通じて、紛争を凍結に持ち込むことを求める可能性はありますが、プーチンに現実を認めさせ、紛争へのより冷静なアプローチを選ばせる必要があるのです。
リアリストでさえ、欧米はロシアを隷属させたいと考えているふしがあります。ロシア国内のリアリストを守るために米欧ができることは、ほとんどありません。
欧米がリアリストの立場を強めたいと考えるならば、ウクライナとの和平交渉に応じればモスクワが懸念している戦略案件に関しての米ロ対話も実現するという筋書きを示す必要があるのではないでしょうか。
購入リンク
紙
※amazonの商品リンクです。画像をクリックしてください。