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目次
書籍情報
社員がメンタル不調になる前に
発刊 2024年6月30日
ISBN 978-4-8005-9235-4
総ページ数 204p
藤田康男
株式会社Smart相談室 代表取締役・CEO
従業員のメンタル不調に関して課題感を持ち、独自の視点を持っている。課題を解決するためのソリューション「Smart相談室」を提供中。
日本能率協会マネジメントセンター
- はじめに
- 第1章 新卒が一人退職すると、1104万円損失という現実
- 自分ではメンタル不調に気付けない
- 医師はメンタル不調になるのを待っている?
- 風邪のようには治らないメンタル不調
- 「合理的に」悩みを言えない実情
- 第2章 人事労務担当者の想いとメンタル不調者の〝深いギャップ〟
- 悩みを言って欲しい人事労務担当の私
- 悩みを言って欲しくない人事労務担当の私
- 本当は知っていながら、今日も休職者対応
- 会社の代弁者を演じる人事労務担当の私
- 人事労務担当者もメンタル不調者
- 第3章 「モヤモヤ」したら、まずは相談してイイ ─?番やっかいなのは「私傷病」だった!─
- ご存知ですか「私傷病」
- 「モヤモヤ」したら、まずは相談してイイ
- 「もっと早く相談しておけばよかった」という社員
- 「彼氏が浮気しているんです」って上司に言えますか?
- 「相談したら給与が下がるかもしれない……」という恐怖
- 「何かあったら相談しにきてね」と言われてもできない
- 安心して相談できる場とは?
- 第4章 メンタル不調は誰にでも起こる ─大きな挫折と成長の機会─
- 絵に描いたような猛烈社員だった私
- 一緒に働いていた社員が突然メンタル不調に
- 鋼のメンタル、メンタル不調になる
- 社員として、事業責任者として
- モヤモヤの正体とは
- 「価値観や認識」と「事象」の差は個性です
- 安易に会社を辞めるより、すべきこと・
- 第5章 人の数だけ相談がある+カウンセラー問題 ─Smart相談室を開設して分かったこと─
- 事業責任者の立場から見た社員の心
- 「お皿洗い」から「資金調達」まで、相談内容がバラバラ
- 「その相談は受けられません」って言ってしまうカウンセラー
- 30分話を聴いてもらうだけで、80%の人の霧が晴れる
- カウセリングが有効か? コーチングが有効か?
- 鍵は、相談回数を決めないこと
- 中間管理職のモヤモヤが一番難しい
- 大企業と中小企業の相談から見えてくる組織課題
- 月曜日に集中するカウンセリング予約
- 徐々に悩みが変わってくるスタートアップ企業から上場前・
- 第6章 Smart相談室の現場から ─人事労務担当者、相談者、カウンセラーの声─
- 【相談者の声】聴いてもらえるだけで涙が溢れた
- 【相談者の声】65歳、来月15日で定年退職の私を変えたセッション
- 【相談者の声】上司には言えないモヤモヤが晴れた
- 【相談者の声】相談した方が良いと分かっていても、相談できない
- 【人事労務担当者の声】子育てと仕事の両立は想像以上の大変さ
- 【人事労務担当者の声】一番必要なのは「相談すること」。何もできなかった人事労務担当だった私ができること
- 【カウンセラーの声】労務当事者の私が第三者としてできること
- 【カウンセラーの声】人材紹介ではない、キャリアカウンセリングを提供することの尊さ
- 第7章 今後、求められる人事労務担当者の役割 ─人的資本に対する新しいアプローチ─
- 会社経営における「社員」の意味合い
- 「個人」の中にある「社員」という役
- 「個人の成長」と「組織の成長」を一致させる
- 個人としての生き方を選択できる仕組み
- 人事労務担当者も大切な社員
- おわりに
書籍紹介
書籍の概要
社員のメンタル不調を未然に防ぐための手法を多角的に探求しています。著者の藤田康男氏は、長年にわたり企業のマネジメントに関わり、実践的なノウハウを豊富に持つ専門家です。その経験を元に、社員のメンタルヘルスを守るための実践的なアドバイスが多数盛り込まれています。
主な内容
- メンタル不調の早期発見
社員がメンタル不調に陥る前兆を見逃さないためのサインやチェックポイントを紹介しています。具体的な事例を挙げながら、日常の業務やコミュニケーションの中で気づくべきポイントを丁寧に解説しています。 - 予防策と環境整備
メンタル不調を予防するための職場環境の整備方法や、ストレスを軽減するための具体的な取り組みを紹介しています。例えば、フレキシブルな勤務時間の導入や、社員間のコミュニケーション促進など、すぐに実行可能な施策が豊富に紹介されています。 - マネジメントの役割
管理職やリーダーが果たすべき役割についても詳述しています。社員のメンタルヘルスを守るためには、マネジメント層の理解と協力が不可欠です。リーダーシップのあり方や、社員との信頼関係構築の方法についても具体的なアドバイスが提供されています。
おすすめポイント
- 実践的なアドバイス
現場で即実行できる具体的な対策が多く、すぐに効果を実感できる内容となっています。 - 豊富な事例
実際の企業での成功事例や失敗例を多数紹介しており、読者は自社の状況に照らし合わせて参考にすることができます。 - 読みやすい構成
専門用語を避け、平易な言葉で書かれているため、誰でも理解しやすい内容です。忙しいビジネスパーソンでも無理なく読み進められます。
結論
社員のメンタルヘルスを守ることは、結果的に企業全体の生産性向上にも繋がります。本書は、効果的な対策を学び、健康で生き生きとした職場を築いていく一助となるでしょう。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
1104万円損失
仮に退職した社員の年収を480万円として、その損失を計算してみます。
- 労働配分率を50%とすると、年間960万円の付加価値減
- 480÷50%=960万円
- 利益率を30%とすると、3,200万円の売上減 960÷30%
- 採用時の人材紹介手数料を30%とすると、144万円
- 480×30%=144万円
単純計算で、960+144=1,104万円の損失です。
さらに入社時の面接コスト、入社時の調整コスト、育成に関するコストなどを含めると、さらに大きなものになるでしょう。
この資産を目にすると、計画通りに採用することも大切ですが、退職させないことも非常に重要なことだと思います。
安心して相談できる場とは?
オープンスペースでの面談や人事労務担当者からの質問攻め、相談内容を関係者に事実確認するような行為など、NG行動が起こらないように設計されていると思います。
ここで、もう一歩踏み込んだアイデアとして、「相談者に成功体験を提供することを意識する」ということが挙げられます。
相談してきた社員が、相談したことで物事が良い方向に進む成功体験を積むことができるような相談設計をすることが望ましいです。これにより、相談の意義を実感し、必要に応じて再度相談するといった好循環が生まれるのが理想でしょう。
相談内容がバラバラ
Smart相談室をリリースして驚いたのは、寄せられる相談内容の幅広さです。
自分のパフォーマンスが思うように発揮できず、評価が下がってショックを受けたという相談がありました。その方は、「15分くらい残業できれば解決できる」という内容で、家でパートナーが家事を手伝ってくれないため、私生活での時間配分が厳しいと語っていました。
また、「資金調達のことで悩んでいる」という相談もありました。カウンセラーの方は経営や財務の経験がなかったため、相談者が自分の状況や気持ちをしっかりとした口調で話し、相談時間のほとんどを相談者が話す形で進みました。相談者は最後に「すっきりした」と言っており、相談内容を口に出せなかったことでフラストレーションが溜まっていたようです。
人間関係、子どものこと、介護の状況、資産運用、健康問題など、多岐にわたる相談が寄せられます。それぞれの悩みには優劣や大小はありません。
月曜日にカウンセリング予約が集中する
週末を通じて蓄積されたモヤモヤに耐えきれず、日曜日の夜には「明日会社に行きたくない!」という気持ちが消えません。だからこそ、月曜日にカウンセリングが集中するのです。
そもそも、月曜日を憂鬱に感じる一番の原因は、週末の休みで生活リズムが崩れることです。夜更かしや遅い起床、食事の時間の変化など、物理的なリズムが急に変わります。その結果、自律神経が乱れ、ひどくなると休み明けに出社できなくなることもあります。
生活リズムの乱れからくる気分の浮き沈みは、どんな社員にも起こり得ます。この状態で働き続けると、高い確率で体調を崩してしまうでしょう。そのため、週末の過ごし方について社員に啓発する必要があります。