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目次
書籍情報
イーロン・マスク 下
発刊 2023年9月10日
ISBN 978-4-16-391731-3
総ページ数 449p
ウォルター・アイザックソン
ジャーナリスト、戦記作家。
米国『TIME』誌編集等、CNNのCEO、アスペン研究所CEOを歴任。
世界的ベストセラ―になった『スティーブ・ジョブズ』(講談社)などの著作がある。
現在はトゥレーン大学教授。
井口耕二
文藝春秋
- 第52章 スターリンク スペースX(2015~2018年)
- 第53章 スターシップ スペースX(2018~2019年)
- 第54章 オートノミー・デイ ステラ(2019年4月)
- 第55章 ギガテキサス テスラ(2020~2021年)
- 第56章 家族(2020年)
- 第57章 フルスロットル スペースX(2020年)
- 第58章 ベゾス対マスク(第2ラウンド) スペースX(2021年)
- 第59章 スターシップのシュラバ スペースX(2021年7月)
- 第60章 ソーラーのシュラバ(2021年夏)
- 第61章 夜遊び(2021年夏)
- 第62章 インスピレーション4 スペースX(2021年9月)
- 第63章 ラプターの大改造 スペースX(2021年)
- 第64章 オプティマス誕生 テスラ(2021年8月)
- 第65章 ニューラリンク(2017~2020年)
- 第66章 ビジョンのみ テスラ(2021年1月)
- 第67章 お金(2021~2022年)
- 第68章 今年の父(2021年)
- 第69章 政治(2020~2022年)
- 第70章 ウクライナ(2022年)
- 第71章 ビル・ゲイツ(2022年)
- 第72章 積極的な投資家 ツイッター(2022年1~4月)
- 第73章 「申し入れをした」 ツイッター(2022年4月)
- 第74章 熱と冷 ツイッター(2022年4~6月)
- 第75章 父の日(2022年6月)
- 第76章 スターベースのオーバーホール スペースX(2022年)
- 第77章 オプティマスプライム テスラ(2021~2022年)
- 第78章 波乱含み ツイッター(2022年7~9月)
- 第79章 オプティマス発表 テスラ(2022年9月)
- 第80章 ロボタクシー テスラ(2022年)
- 第81章 「洗いざらい」 ツイッター(2022年10月26~27)
- 第82章 買収 ツイッター(2022年10月27日木曜日)
- 第83章 三銃士 ツイッター(2022年10月26~30日)
- 第84章 コンテンツモデレーション ツイッター(2022年10月27~30日)
- 第85章 ハロウィーン ツイッター(2022年10月)
- 第86章 青いチェックマーク ツイッター(2022年11月2~10日)
- 第87章 オールイン ツイッター(2022年11月10~18日)
- 第88章 本気 ツイッター(2022年11月18~30日)
- 第89章 奇跡 ニューラリンク(2022年11月)
- 第90章 ツイッターファイル ツイッター(2022年12月)
- 第91章 迷い道 ツイッター(2022年12月)
- 第92章 クリスマスの大騒ぎ(2022年12月)
- 第93章 車用AI テスラ(2022~2023年)
- 第94章 人間用AI X・AI(2023年)
- 第95章 スターシップの打ち上げ スペースX(2023年4月)
- 謝辞
- インタビュー取材先リスト
- 参考書籍
- 原注
- 写真クレジット
ベゾス対マスク(第2ラウンド)
2013年以来、どちらがケープカナベラル第39A発射台をリースするのか、どちらが先に宇宙の際まで行ったロケットの着陸を果たすのか、軌道まで上がったロケットの着陸を果たすのか、人を軌道まで送り届けるのかと繰り返し競ってきました。
宇宙がビリオネアの趣味になってしまったと尖った意見もありますが、中国やロシアに先行された宇宙開発の最前線に帰り咲けたのは、打ち上げを民間が担うべしという彼らのビジョンあったればこそです。
ベゾスとマスクは似ているところがあります。情熱とイノベーションと意志の力で業界を根底から変えてきました。部下の扱いは雑だし、なんでもすぐばかやろうよ言い出すし、できない理由ばかり探す人がいると腹を立てます。目先の利益を追求せず、未来を見すえて進みます。
マスクとベゾスの違いは、ベゾスは体系的であり、マスクは直感的であることです。マスクが技術的な提案を命令したりすることにベゾスはいぶかしげです。ベゾスからすると下手の横好きで技術を重視していないと言います。お互いにつつきあっているのです。
衛星網でも、軌道まで打ち上げる質量1トンあたりのコストでも、パイロットの走行可能距離でも、ソーラーパネルの光子の数でも角を突き合わせています。それを基準にするという発想がなかったなと、いろいろ工夫するようです。
お金で買えないモノ
お金で幸せは買えないとよく言うがm、お金を一番たくさん持つようになったときのマスクを見ると、たしかにそうなのかもしれません。2021年秋、マスクは不幸せでした。
妻の誕生会をメキシコのカボ・サン・ルーカスで企画し、マスクも現地には飛んでいましたが、自室にこもって『ポリトピア』をプレイしていたようです。
「いい医者、知りませんか?」カボの滞在を切り上げて戻ってきたマスクは私にメッセージで訪ねてきました。2週間ほど休んでいたときに私と2時間あまりも話をしてくれたのです。
2007年ごろから拳銃を突き付けられ、テスラを何とかしろ、魔法でうさぎを出せというのです。命をかけた戦いを続けてアドレナリンモードでいたら、無事なはずがありません。
でも今年は、もうひとつ、気づいたことがあります。命がけの戦いこそ、前に進み続ける原動力なんです。正か死かという状況でないと、毎日、モチベーションを保つのがけっこう難しくなっています。
ふつうの人なら満喫したいと思ういい時間は、彼にとって不安をかき立てられる時なのです。
青いチェックマーク
ツイッター運営の肝だとマスクが考えていることのひとつが、サブスクリプションです。名前はツイッターブル―。認証手続きを踏み著名で信頼に値するとツイッターに認めて貰えば、青いチェックマークが付く制度です。
セレブや政府系の要人といったアカウントに適用されていました。当初、月額料金を払っていることを示す認証バッチをもうひとつ作ろうと考えていたようです。最終的には、著名人と有料ユーザーで同じ青いチェックマークをつけるということになりました。
ツイッターブルーのロールアウトが始まると、マスクが恐れていた「なりすましアカウント」が頻発しました。コカ・コーラ社、任天堂、テスラの偽アカウントの投稿も増えたのです。
ツイッターブルーの導入を先延ばしにしたり、規制を増やすなどの対応におわれました。
マスクのデータストリーム
AIの燃料はデータです。膨大な情報で訓練しているのです。使われるのは、数えきれないほどあるインターネットのページをはじめとする文書となっています。グーグルもマイクロソフトも、訓練に使えるデータがどんどん湧いてくる泉を持っています。
マスクはなにを携えてここに参入するのか。ひとつはツイッターのフィードです。累計すると1兆ツイートを超えているし、1日5億ツイート増えています。対話、ニュース、興味、トレンド、議論、わけのwからない言葉がぶんぶん飛び交う場で、最高に生きのいいデータが得られます。
このデータストリームを活用して有料化する方法を検討し、「収益化のチャンスなんだ」と技術者に発破をかけます。有料にできれば、グーグルやマイクロソフトがAIチャットボットの改良にツイッターのデータを使うのも制限できるはずです。
マスクには、もうひとつ、データの泉があります。テスラの車載カメラから送られてくる1日1600億フレームの動画です。このデータは、チャットボットに適用するテキストベースの文書と異なり、現実世界を移動していく人間から見える風景です。
チャットボットだけでなく、物理的ロボットのAIも作れる可能性があります。
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