※読んだ本の一部を紹介します。
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
はじめに
お茶は、過去の積み重ねから成り立ち現在の形になっています。紅茶の歴史を知ることは、文化の一部を知ることに他ならないのです。
目次
書籍情報
タイトル
仕事と人生に効く
教養としての紅茶
著者
藤枝理子
ティースペシャリスト
英国紅茶&アフタヌーンティー研究家。
紅茶をライフワークにしたいと仕事を辞め、イギリスに紅茶留学しました。ヨーロッパの生活様式や芸術を研究し、帰国後に容共で紅茶教室「エルミタージュ」を主宰したのです。
英国スタイルの歴史・文化。マナーを学べる「大人の教養サロン」を開いています。
出版
PHP研究所
江戸時代、煎茶の誕生
御茶壺道中
徳川将軍家が愛飲する御用達のお茶を茶壺に入れて、宇治から江戸へと運ぶ恒例行事がありました。
空の茶壷を携えて江戸を出発し東海道を進んで、宇治で新茶を詰めた後、中山道を通って江戸へと向かいます。
1000人以上にも及ぶ大行列が通る際は、大名行列でさえ道を譲られんばならず、庶民は道端でひれ伏して迎えたようです。
江戸時代の庶民に浸透していたお茶は、中国から伝えられた新しい飲む方で、リーフティーに熱湯を注ぎ、煎じて飲むという「淹茶法(えんちゃほう)」です。抹茶を用意する手間がないので手軽ではありましたが、茶色で味が粗末になります。
のちに「煎茶の祖」となる永谷宗円は、15年の月日をかけて「青製煎茶製法」を考案しました。生葉を蒸し、揉みながら乾燥させることによって、緑色のまま香り高く味わい豊かな煎茶を作りだしたのです。
青製煎茶製法は、宇治製法と呼ばれ「日本茶」のスタンダードになり、宇治茶は日本中の茶の間に浸透していきます。
戦争とお茶の規制
日本の紅茶史が始まったのは明治20年(1887年)、紅茶100㎏が輸入されて舶来品のハイカラ飲料として、少しずつ広がりをみせます。
明治39年(1906年)に明治屋がリプトン紅茶・イエローラベルの輸入をスタートしました。
民間企業としてブランド化したのは昭和2年(1927年)です。三井財閥が「三井紅茶」として発売します。当時の紅茶は高級品で、一般人には高値の花でした。
第二次世界大戦では、日本とイギリスは敵対関係となります。
イギリス人にとってティータイムは日常に欠かせないものとなっていたため、1940年に紅茶が制限され配給制となってからは、紅茶が戦う兵士たちの命綱ともいえる存在になったのです。
チャーチル首相は「兵士にとって重要なのは弾薬よりも紅茶」と言い、戦火のなかでも、紅茶とビスケットが戦地に送られ続けたのです。
1942年のイギリス政府が購入したリストを見ると、重量順に弾丸、紅茶、砲弾、爆弾、爆薬という記録が残されています。
日本は、直茶が日常生活に定着していました。食料不足とともに嗜好品の位置づけだった緑茶は制限作物となり、茶畑ではジャガイモなどの穀物への転作が始まります。
危機感を覚えた宇治の茶業組合は軍用として抹茶を採用してもらえないか陸軍航空技術研究所に訴えました。覚醒作用とビタミンの補給源として評価され、軍の食糧庫へ納められることになったのです。
航空機や潜水艦に乗り込む兵士の疲労回復と眠気覚ましとして、広く重用されました。
Break Time
ウクライナ侵略戦争と紅茶
ウクライナ侵攻の様子がSNSを屈指して世界中にメッセージを拡散する情報戦という側面が現代の戦争にはあります。
戦場から届く映像の中に、ロシアの兵士がウクライナ市民から渡された紅茶とパンを口にして涙を流す様子が発信させました。
ウクライナの主婦たちがキーウ郊外の前線近くにテントの中で兵士たちに振る舞う映像です。
両国とも昔から台の紅茶好きの国、平和なティータイムが戻ることを願うばかりです。
世界最高峰の紅茶
紅茶のシャンパン
紅茶の世界で最高峰とされているのが、インドのダージリンです。
ヒマラヤ山脈の麓に広がる高地一帯に、英国人が植民地支配していた避暑地があります。英国風の建物が残されていて、日本でいう軽井沢のような趣があります。
険しい斜面に位置し、寒暖差があることから、深い霧を生み出し茶園を包んでいるのです。これが、風味や香りを生み出している要因です。
インドのダージリンは、ピュアダージリンと呼ばれ、インドの紅茶生産のわずか1%しかありません。
ブランドの価値を守るために、100%ダージリン産であることを補償する証明書を発行しています。
そのピュアダージリンの中でも「極上品」と呼ばれるものは5%程度と言われていて、希少価値がついているのです。
仕事や勉強に集中
仕事中の疲れは、身体よりも脳の疲労によるものが大きいと言われています。
「大脳新皮質」が稼働した状態が続くと、脳が披露し仕事の効率が下がります。その脳疲労に効果を発揮するのが「茶カテキン」です。
カテキンは、お茶に含まれる苦味や渋味の成分になります。詳しくは、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートの形の違う4種類の成分です。
茶カテキンには、人間の体のサビつかせる悪玉活性酸素を取り除く抗酸化作用があり、脳の神経細胞を保護し、脳機能の低下を抑制することが期待できます。
「90分ごとに90度以上で入れたお茶」を飲むことで脳疲労をリセットし、ワークコンディションを整えてみてはいかがでしょうか。
感想
サイト管理人
カテキンという、体に良い成分が紹介されていますが、シュウ酸やカフェインなどの副作用もあるので、摂りすぎには注意が必要だと思います。
今やどこにでも自販機があり、手を伸ばせばすぐに紅茶が手に入ります。生活を支える紅茶の歴史、お話の種にしてみてはいかがでしょうか。