※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
目次
書籍情報
いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方
発刊 2023年9月5日
ISBN 978-4-478-11688-3
総ページ数 262p
中村和彦
南山大学人文学部心理人間学科教授。専門は、組織開発、ラボラトリー方式の体験学習、グループ・ダイナミックス。
早瀬信
組織開発コンサルティング会社セセリー代表。約11年のコンサル実績、延べ2000人以上の始動経験を持つ。定年退職後に独立。
高橋妙子
組織開発コンサルタント。リクルート系企業を経て、事業会社経営後、コンサルティング会社設立。組織開発コンサルタント歴は15年におよぶ。
瀬山暁夫
経営理念浸透コンサルタント。中小企業診断士。中小・中堅企業を対象とした経営理念の策定・浸透の搬送支援者。中小・中堅企業経営者との交流500人超。関与企業約100社。
ダイヤモンド社
- はじめに
- 監修者まえがき
- chapter1 職場のもやもやを消し去る!組織開発の「きほん」
- 職場に生じる「モヤモヤ」の正体とは?
- 「人材開発」とは異なる、「組織開発」というアプローチ
- 組織のモヤモヤの原因は「目に見えない」ことが多い
- 「組織開発」とは何か?
- 組織開発で得られる「3つの効果」とは?
- 組織開発で得られる「3つの効果」とは?
- なぜいま、「組織開発」が求められているのか?
- 「技術的な解決」ばかりに目を向けていないか?
- 「トップダウン」では難しい。だから組織開発が有効
- 組織開発の出発点は「関係の質」の向上
- chapter2 知識ゼロからでも実践できる組織開発の「はじめ方」
- 「タスク・プロセス」と「メンテナンス・プロセス」に目を向ける
- 組織開発の第一歩は「対話」による関係づくり
- 「対話の環境づくり」から始めよう
- 組織開発の対話では「ポジティブなテーマ」を設定する
- 異なる意見・考え方に「気づく」場を目指す
- 対話の「ファーストステップ」とは?
- メンバーの相互理解を促す対話の「テーマ」とは?
- 「ファシリテーター」を効果的に使う
- 「小さな声」も拾うためのひと工夫とは?
- 組織開発における「実践の4段階」
- 対話のチカラで「行動」が変わる
- 組織開発で起きる「メンバーの心の変化」とは?
- 「対話」が「結果の質」につながる
- 対話で重要な「5つの価値観」
- chapter3 7つの成功事例から読み解く組織開発「実践のポイント」
- case1 中小企業×組織開発① 三和化工紙
- 「モチベーションの低い職場」を変えた新米社長の職場改革
- 「お嬢ちゃん」と呼ばれた新米経営者
- 社員の「誕生会からスタートした社内改革
- 「お互いを知る」コミュニケーションから「成果を上げる」コミュニケーションへ
- 「積極的な空気」を生み出した、次世代経営リーダーの養成
- 社員の自己肯定感を劇的に高めた「人生の棚卸し」とは?
- 相手のことを認め、素直に話すための「感謝」
- case1のポイント
- 積極的な対話の場づくりで生まれた「関係の質」「思考の質」の向上
- 中小企業の組織開発のカギは、経営者の「学習」と「成長」
- 組織の自律を育んだ「ヒューマニスティック」の視点
- case2 中小企業×組織開発② ビッグスマイル
- 「どんどん人が辞めていく」と向き合った経営者
- 順調に経営を拡大するなかで起きた「社員の集団離職」
- スタッフ1人ひとりとの対話で、「本物の信頼関係」を築く
- 「ワンマン組織」から「ワンチーム組織」へ
- case2のポイント
- 組織を良い方向に向かわせた「3つの変化」
- ビジョンに込める「意味の書き換え」が空気を一変させた
- case3 大企業×組織開発① パナソニックグループ
- 「人と組織のポテンシャル」を引き出し、自己実現と事業成果の両立を目指す
- 「優秀な人材」が活かされていない。大企業が抱える重要課題に取り組む
- パナソニックに見る、組織開発「3つの活動」
- ①事業部や部署を直接支援する活動_「やる気のある部門」に働きかける
- ②自走支援活動_実践とフィードバックを組み込んだ「実践者の養成」
- ③啓発活動_認知を広げるための「あの手この手」
- 「組織開発には時間がかかる」と考え、粘り強く取り組む意志を持つ
- case3のポイント
- パナソニックが実践した組織開発「3つのポイント」
- 「経営理念」が土台となる組織開発
- case4 大企業×組織開発② 東芝テック
- 「大企業病」を変えたオフサイトミーティング
- 「大企業病」を変えるにはどうすれば良いか?
- 対話活動を加速させた「オフサイトコーディネーター」の養成
- 100項目を超える会社への要望が飛び出した「オフサイトミーティング」
- 建前ばかりの研修から「本音が飛び交う場」へ
- 約200名の「オフサイトコーディネーター」が対話をリード
- case4のポイント
- 大企業の組織開発は「小さく始める」
- オフサイトコーディネーターの養成で「継続性」のある取り組みへ
- column #1 越境オープンラボから学ぶ「目的のない対話」の意義
- case5 地域コミュニティ×組織開発 広島県熊野町
- 「ヒエラルキーのない組織」を活性化させる方法とは?
- 「上下関係のないコミュニティ」での組織開発とは?
- 価値観をうまくつなげる「場の設計」とは?
- 全員が「サポーター」という自走する組織を目指して
- case5のポイント
- 関係の質を改善させた「仲間づくり」という考え
- 地域コミュニティをつくるカギは、組織観の「アンラーニング」
- case6 街づくり×組織開発 横浜中華街
- 対立を乗り越える「大きな目標」の価値
- 横浜中華街の陰にあった「意外な過去」
- 二派の協力を生んだみんなの「本心」
- 街を支える「ゆるやかなルール」と「対話」
- case6のポイント
- 地域の組織開発に応用できる「求大同・存小異」の姿勢
- case7 教育×組織開発 南山大学 人文学部心理人間学科 中村ゼミ
- 組織開発を実践するゼミに学ぶ、「自走する組織」のつくり方
- なぜ、学生たちが「主体的」にゼミを運営できたのか?
- 「目的」を定義し、人に依存しない組織へ
- case7のポイント
- 「目的の共有」と「対話」が、組織に主体性を生む
- column #2 教育現場での「個業化」を改善した組織開発
- chapter3 監修者解説
- 組織開発とは、「人が本質的に持っている」もの
- 「組織開発」という言葉の扱い方
- 組織開発では、どんな「価値観」を尊重すべきか?
- 「価値のジレンマ」をどうとらえるか
- 「成果にどうつながるか」を丁寧に伝えるのがはじめの一歩
- 事例から見えてくる「関係の質」の4段階
- case1 中小企業×組織開発① 三和化工紙
- chapter4 さあ、組織開発を始めよう
- まずはできるところから始める。「集まる場所」をつくってみる
- 目的やイメージ、良い組織観を共有し続ける「意志」を持つ
- メンバー間の差異に着目し、「良い」の物差しをつくる
- 最初に時間を取る、そして焦らない。変化がなくても「諦めない」
- 忖度が起きない方法で、組織のモヤモヤを「見える化」する
- 心理的安全性を高めるための「グラウンドルール」をつくる
- 「組織が変わる」とは、「個人が変わる」こと
- 「愛」を持って、多様性を尊重して進める
- 「小さなグループ」から初めて、意図的に働きかけていく
- 組織が変わる「最高の瞬間」を楽しむ
- おわりに
はじめに
本書では、組織開発に成功した7つの事例を紹介しています。
大企業や中小企業、飲食店、自治体、教育現場まで、さまざまな事例を通して、組織開発の始め方や進め方のポイントの紹介です。
組織開発の力を知り、少しでもその一歩を踏み出すお手伝いができればと思います。
技術的な解決に目を向けてないか
組織が抱えている課題は、「なんとなくモヤモヤする」というものから、要因が複雑に絡まっていて解決法がわからないものまで、技術的な対応や短期間での解決が難しいものが多いのではないでしょうか。
これまでの経験則では解決できない課題を「適応課題」と呼ぶことがありますが、これを技術的な対応によって解決しようとすると、かえって事態がこじれてしまいます。
適応課題に対しては、「この先どうなれば良いのか」と未来に対する思考が進むような、組織開発ができれば効力を発揮するでしょう。そのためには、新しいアイデアを考えるゆとりを持つことが必要です。
少し長い射程でとらえて、一緒に組織の未来を考えてください。すると、目の前の課題にとらわれず、「未来に向かって、いま何をするべきか」と視界が変わることがあります。個人でも、組織でも、チームでも、同じように当てはまります。
組織開発における「実践の4段階」
- 「関係の質」の整備
- 自分を知る
- 相手を知る
- 他人に関心を持つ
↓
- 「思考の質」の深化
- 深く考える
- 広く考える
- 一緒に考える
↓
- 「行動の質」の変化
- 計画的な行動
- 事前に課題解決
- 実践と振り返り
↓
- 「結果の質」の向上
- 具体的な成果
- 学びと成長
- 自走と継続
良い習慣を継続する仕組みを整えるのが理想です。組織は良い状態を維持して「自走する」ことができるでしょう。
ワンマンからチームへ ビッグスマイル
ビッグスマイルの社員たちは、経営状況に陥った際に、広島県庄原市の株式会社敷信村農吉の生産現場を訪れました。スタッフたちは、生産者のチーズ製造工程などの製法を聞き、楽しそうです。
生産者までを含めて「ワンチーム」と考え、事業を進めていこうとする思いが感じられます。もともとは個人的な事業意欲によって興された会社ですが、社員と生産者を含めて組織とするオープンな環境におく企業へと変貌したのでしょう。
時間をとる、焦らない、諦めない
モヤモヤを解消するには、対話によって進めていく必要があります。組織開発は、最初に時間を取るほうが、後半に速く成果がでるのです。
やりたいこと、できることなどを聞きあったり、理解し合ったりしてから始めると、ゴールまで走り切ることができるでしょう。
「こう思っていた」「聞いていない」などが出てくるので、結局は最初のプロセスに戻ってモヤモヤを洗い出す時間をとらなければなりません。
おわりに
企業のビジネスであれ、地域活動であれ、教育であれ、私たちが社会でなすことは、他者とのかかわりから生まれて続いていきます。
組織開発というラベルは、人間が工業化を成し遂げて、会社で集まって仕事をするようになってからです。人が持っている力を呼び覚ますために続いてきたことだろうと感じています。普通にやってきたことです。
組織開発を技法としてとらえることを避けて、多くの経験と束としてお伝えすることができたと思います。
購入リンク
紙
※amazonの商品リンクです。画像をクリックしてください。
電子
※amazonの商品リンクです。画像をクリックしてください。