嚥下障害治療大全/監修:藤島一郎

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書籍情報

タイトル

健康ライブラリー

名医が答える! 嚥下障害 治療大全

発刊 2024年4月16日

ISBN 978-4-06-535360-8

総ページ数 158p

監修

藤島一郎

浜松市リハビリテーション病院 特別顧問。

脳神経外科で研鑽を重ね、リハビリテーションを勉強してきた。聖隷三方原病院リハビリテーションセンター長、浜松市リハビリテーション病院病院長など、歴任。
嚥下、臨床、リハビリテーションの第一人者として知られる。

出版

KODANSHA

もくじ

  • 第1章 命にかかわる嚥下の問題
    • なぜ「口から食べること」が重視されるのでしょう?
    • 「嚥下」とは?「嚥下障害」とは?
    • 嚥下障害を放っておくと、どうなりますか?
    • 「食べる」ためのしくみとは?
    • なぜうまく食べられなくなるのでしょう?
    • 嚥下紹介の始まり方は?
    • 都市をとると誤嚥しやすくなるのはなぜですか?
    • 飲み込む力を確かめる方法は?
    • 誤嚥性肺炎とは?ほかの肺炎との違いは?
    • ただの風邪か肺炎か、見分ける方法は?
  • 第2章 嚥下障害は治るのか
    • 嚥下障害は治るのでしょうか?
    • 嚥下リハビリでは、どのようなことをおこないますか?
    • だれに相談すればよいですか?
    • 嚥下リハビリを始める前にしておくことは?
    • どんな検査がおこなわれますか?
    • 嚥下機能の程度を知る簡単な方法はありませんか?
    • ふだんの生活で誤嚥の有無を確かめるには?
    • 嚥下リハビリを効果的に進めるには?
    • 脳卒中後、うまく食べられません。回復しますか?
    • 神経系の病気を患っています。どうなりますか?
    • がんの手術をします。食べることへの影響は?
    • 認知症があります。どのように対応すればよいですか?
  • 第3章 食べる力を高めよう
    • 食べる力を高めるための基礎訓練とは?
    • 口の動きを促すマッサージのしかたは?
    • 「ごくん」と飲み込む練習のしかたは?
    • 口が開かないときは、どうすればよいですか?
    • 声を出すことは訓練になりますか?
    • 胸やけや逆流の改善をはかるには?
    • のどや舌の筋肉を鍛えるには?
    • 座ったままでできる訓練法はありますか?
    • 咳の練習が必要な理由は?やり方は?
    • 呼吸訓練のやり方は?
    • 全身の筋力アップで嚥下機能は高まりますか?
    • 嚥下体操のやり方を教えてください
    • 噛む機能を保つために必要なことは?
    • 口腔ケアのやり方を教えてください
    • トラブルの解消に役立つ補助具はありますか?
    • 手術をすれば食べられるようになりますか?
    • 嚥下機能改善手術とはどのようなものですか?
    • 嚥下防止の手術にはどのような方法がありますか?
    • 気管切開をするだけで誤嚥は防げますか?
  • 第4章 誤嚥せずに食べる工夫
    • 摂食訓練とは?どのように進めますか?
    • 絶食が続いたあとでも食べられるようになりますか?
    • 食事の内容以外に、注意したほうがよいことはありますか?
    • 安全に食べるための姿勢のポイントは?
    • 誤嚥しにくい食べ方のポイントは?
    • のどの奥の残留物をとるには?
    • 食事中にむせたとくの対応法は?
    • 窒息のサインは?対応法は?
    • 「嚥下食」とは、なんですか?
    • 段階的摂食訓練の進め方は?
    • 食べやすいのはどんな性状のものですか?
    • 飲み込みにくい食品は?
    • 家庭で嚥下食の用意はできますか?
    • 献立の立て方や、調理のポイントを教えてください
    • 調理の負担を減らすには?
    • 簡単にできる定番のメニューは?
    • せっかく用意したのに食べてくれません。改善点は?
    • 水を飲みたがりません。脱水が心配です。
    • おやつには、どのようなものが適していますか?
  • 第5章 十分に食べられなくなったら
    • 口から十分に食べられないとき、栄養補給の方法は?
    • 管を入れたら、もう口からは食べられないのでしょうか?
    • 本人が「口から」を強く希望しているときは?
    • 鼻から管を入れる方法の特徴は?
    • 口から管を入れる方法の特徴は?
    • 胃ろうとは?どんな場合に必要ですか?
    • どうやって胃ろうをつくるのでしょう?
    • 逆流や下痢がよく起こります。対応策は?
    • 回復の見込みがない場合、どう対応すればよいでしょうか?
    • 「事前指示書」とは?「人生会議」とは?

書籍紹介

 嚥下障害は、食べ物や飲み物を飲み込むことが難しい、または不可能になる状態を指します。この障害は、高齢者や特定の病状を持つ人々に特に多く見られ、日常生活の質を大きく低下させる可能性があります。そんな中、嚥下障害に関する包括的な治療ガイド「嚥下障害 治療大全」が講談社から出版されました。本書の監修を務めるのは、嚥下障害の権威である藤島一郎先生です。

本書の概要

 「嚥下障害 治療大全」は、嚥下障害に関する最新の知見と治療法を網羅した専門書です。医療従事者はもちろんのこと、嚥下障害に直面している患者やその家族にも有益な情報が満載です。本書は、以下のような内容で構成されています。

  1. 嚥下障害の基礎知識:嚥下のメカニズムから障害の原因、症状、診断方法までを詳しく解説します。
  2. 治療法の紹介:薬物療法、リハビリテーション、外科的治療など、多岐にわたる治療アプローチを紹介します。
  3. リハビリテーションの実践:嚥下機能の改善を目指した具体的なリハビリテーションの方法をイラスト付きで説明しています。
  4. 最新の研究と技術:最新の研究成果や技術革新についても取り上げ、未来の治療法への期待を抱かせます。

監修者のプロフィール

 藤島一郎先生は、長年にわたり嚥下障害の研究と臨床に携わってきた専門医です。多くの論文や書籍を執筆し、国内外で高い評価を受けています。藤島先生の豊富な経験と知識が、本書の信頼性と価値を一層高めています。

まとめ

 「嚥下障害 治療大全」は、嚥下障害に関するあらゆる側面を網羅した貴重なリソースです。藤島一郎先生の監修のもと、最新の情報と実践的なアドバイスが詰め込まれた本書は、嚥下障害に関わるすべての人にとって必読の一冊と言えるでしょう。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

嚥下障害を放っておくと

 うまく飲み込めない状態を放置すると、窒息や誤嚥の危険性が高まります。

 気道がふさがれて呼吸ができなくなる可能性があり、対応を誤ると死亡事故に至ることもあります。

 窒息しなくても、食べ物や唾液が気道に入ると誤嚥性肺炎を引き起こす原因になります。むせることができない場合、非常に危険です。

 嚥下機能が低下すると、十分に飲食できず、栄養不足を招き、肺炎などの病気にかかりやすくなります。

 認知症や物忘れによって口腔ケアを怠ると、口の中の細菌が繁殖し、嚥下機能がさらに低下します。この悪循環により、多くの方が誤嚥性肺炎を引き起こしています。

 むせることが多くなったら、放置せずに注意を払いましょう。

普段の生活で誤嚥の有無を確かめる

本人の様子をよくみる

 誤嚥に早く気づくには観察が重要です。体温や体重は毎日測りましょう。発熱、体重の減少、元気のなさなどがみられたら、早めに医師に相談してください。

聴診器で呼吸音を聞く

 肺やのどの呼吸音が、飲食の前後で変化していれば誤嚥が疑われます。

 市販の安価な聴診器でも十分に役立ちます。ゴロゴロ、グーなどという低い音や、呼吸音が聞こえにくいところがある場合は注意してください。

血液中の酸素濃度を測る

 パルスオキシメーターという、指に挟んで使う機器があります。酸素飽和度を計測してくれるもので、飲食後3%以上低下したり、90%以下になったりしたときは誤嚥などの疑いがあります。

喉の奥の残留物をとるには

 横向き嚥下右下を向いてごくん、左下を向いてごくんと空嚥下すると、食堂の入り口の両側のくぼみにたまった食塊が下に落ちやすくなります。

 うなずき嚥下:首を前屈させながら空嚥下すると、奥舌と喉頭蓋の間のくぼみにたまった食塊を誤嚥せずに飲み込みやすくなります。

 食事をする以上、誤嚥や窒息の危険はつきものです。むせるのは気管に入りそうな異物を取り出すために起こる自然な生体防御反応です。苦しそうにみえても、咳が出ていればむしろ安心できます。あわてず対処しましょう。下を向いて背中を叩いてもらったり、落ち着いたら深呼吸したりという方法を取るといいと思います。

水を飲むのはダメ!
むせていないときであれば水を飲むのも良い方法ですが、むせているときは水とともに残留物が気管に入るおそれがあります。

窒息のサイン

ハイムリッヒ法のイメージ ※あくまでイメージ図です。

 食品による窒息事故で命を落とす人は、年間で1万人近くにのぼります。そのうちの8割以上が65歳以上の高齢者です。

 以下のような窒息のサインが見られたら、すぐに食事を中断し、できるだけ多くの人を呼んで対応しましょう。苦しそうにしている、咳が弱くなってきた、顔の表情が険しくなった、のどがゴロゴロ鳴る、問いかけに反応しない、食事中に急に動作が止まる、咳が出ない、などのサインです。

 対応方法としては、顔を下に向けて手のひらで肩甲骨の間を4~5回強くたたく方法や、背後から脇の下に両手を入れ、みぞおちのやや下に握りこぶしを当ててお腹を突き上げるように4~5回繰り返す方法※があります。これらの方法で対処できない場合は、すぐに救急車を呼びましょう。

 ※:ハイムリッヒ法と言われています。この方法は子どもや妊娠中の人には行わないようにしてください。

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