※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
目次
図の力(はじめに)
いつの時代でも強い物語には絵が添えられているものです。
イメージや図や表は古くから、人間がものを語るときに要になってきました。人間の脳が視覚と結びついているからです。神経科学によって、認知には視覚が支配的な役割を果たしていることが確かめられています。
経済学の主要な図で使われている円や放物線などの図を思い出してください。経済とは何で、どのように成り立っているのかを描いた図には、さして害はないように見えます。
しかし、図をあなどってはいけません。、何に注目し、何を無視するかが決まり、ひいてはそのすべてが影響を被ります。
経済理論の盲点の部分は巧みに整えられており、わたしたちに固定概念を植え付けます。少なくとも、経済学では、授業で学んだりする図には注意を払う必要があります。
書籍情報
ドーナツ経済学が世界を救う
人類と地球のためのパラダイムシフト
第1刷 2018年2月18日
訳者 黒輪篤嗣
発行者 小野寺優
発行 (株)河出書房新社
装幀 清水肇(prigraphics)
印刷 (株)享有堂印刷所
製本 小髙製本工業(株)
ISBN
総ページ数
ケイト・ラワース
経済学者。21世紀の社会問題に必要なものを探求しています。オックスフォード大学環境変動研究所の講師兼上級客員研究員。
河出書房新社
二十一世紀のコンパス
作者: ごち
ドーナツの中にみんなが入ることで、人類の繁栄が可能になることを表したのが、ドーナツの概念図です。
ドーナツの内側の円は、社会的な土台を表しており、人類の福祉における不足が横たわっています。食料や教育や住居など生活に不可欠なものを欠いた状態だと、ドーナツの内側の穴に落っこちてしまうのです。
外側の円は環境的な上限を表しています。気候変動や海洋酸性化、化学物質汚染が適切な範囲に収まっていないと、人類の安全が保たれません。
生活に必要なものが満たされている社会的な土台があり、なおかつ環境に優しい範囲の地球への負荷を収めて、全人類を安全なドーナツの上にのせるかが二十一世紀の課題となるのです。
人間像
Image by Gerd Altmann from Pixabay
どういう自画像を描くかで、どういう人間になるかが決まります。経済学における人類の肖像画を新しく描きなおすことが欠かせないのはそのためです。
私たちは利己的というよりも、社会的であり、報恩行動を特徴とします。
私たちは固定した好みというものがなく、何に価値を見出すかはたえず変わります。
私たちは孤立しているわけではなく、依存しあっています。
私たちは計算高いというよりは、ふつうは大ざっぱです。
私たちは人間が自然を支配しているという勘違いをしていて、本当は生命の網のなかに深く組み込まれています。
これらは納得でできるでしょう。しかし、これは誰をモデルに選ぶかという問題があります。「集めやすい」大学生の行動は、世界の大半の人々の行動は違うものでしょう。
このサンプリングの偏りは、どういう意味を持つのでしょうか。文化や社会によって行動や行動の動機にどういうちがいがうまれるかは、それ自体、研究を要する重要なテーマです。
ドーナツのなかでビジネス
企業は非環境再生的な産業設計のせいで、地球環境に過大な負荷がかかっていることを意識すると、コストを下げられるか、ブランドの評価を高められる環境効率に優れた手法を採用して、「見返りのあることをする」反応を示します。
考え方が進むにつれて、「害をなさない」という反応がでてきます。しかし、これでは環境汚染の程度が下がっただけです。有害物質の代わりに健康の増進につながるものを取り入れてはどうかと、考えるようになります。
たどり着く先は「惜しみなく与える」という反応です。それは設計により環境再生的な企業を築くことを意味します。
この以降の段階を一段一段進んでいく必要はありません。実際にはその時間もないはずです。
到着はまだ
経済という名の飛行機が飛び続けるにせよ、上空で失速するにせよ、分断された世界へと向かっています。
環境再生的な世界の実現のためには、多くの分野で変革が不可欠です。鉱業、石油、天然ガス、畜産業、解体業、ごみの埋め立て、投機的な金融などは大幅に縮小しなければなりません。その分、再生可能エネルギー、公共交通、コモンズ、環境循環型生産、建物の改修などへの長期的な投資は、拡大しなければならないでしょう。
安いエネルギーであるオイルサンドやシェールガスに走り、クリーンエネルギー革命に必要な公共投資をおろそかにしています。
どこに着陸すべきか、関心を向けていくべきではないでしょうか。
感想
サイト管理人
ドーナツの上に人間が住めるような、着地地点を考えた方がいいのではないか。とのお話でした。
環境に優しいことしてますと主張し、見返りを期待している企業ばかりだなと、なんか腑に落ちる記述もありました。
ドーナツの範囲がどの程度なのかも知らずにボーと生きていますが、それなりに贅沢な暮らしができているので他人事ではないのかもしれません。
下にリンクを貼っておきますので、本書の購入を検討してみて下さい。
購入リンク
紙
※amazonの商品リンクです。画像をクリックしてください。